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和牛をどう売り込む 日本の輸出戦略 

2014-07-29 07:15:00 | ビズ プラス

7月13日 BIZ+SUNDAY


これまで農産物の輸出は自治体や企業がバラバラに行っていたが
JA全農やJETRO日本貿易振興機構や企業などが協力してオールジャパンで輸出していこうとしている。

オランダの大手食肉卸会社を6月にJA全農グループの幹部が訪れた。
狙いはこの会社が持つヨーロッパ全域の販売ルートを手に入れること。
ヨーロッパへの販売戦略を練る JA全農 ロンドン事務所 多田充利さん。
最高級の霜降り肉を富裕層に売り込む。
初輸出となる今年は手始めに20トン販売することが目標である。
(JA全農 ロンドン事務所 多田充利さん)
「22か国 EUのほぼ全域に流通網を持っていて
 彼らと組めばヨーロッパの市場に和牛を売り込めるのではないか。」
和牛の霜降り肉をヨーロッパでどう売り込むのか。
多田さんはパリ中心部にある肉屋を訪ねた。
霜降り肉のパンフレットを見せながら反応をうかがうと
(精肉店店主)
「油が多すぎてあまり好みじゃない。
 フランスで売るのは難しいね。」
赤身の肉を好むヨーロッパの人たちに霜降りは受け入れられないと言うのである。
しかも和牛の値段はこの店で売られている赤身牛肉の約10倍。
異なる食文化の中でどう売り出していくのかが大きな課題である。
(多田充利さん)
「脂が多すぎてだめだとかその通りと思ったが
 そういう中でもどうしたらこのマーケットで売れるかこれから考えたい。」
多田さんが相談を持ちかけたのが全農がタッグを組むジェトロ。
ジェトロ パリ事務所 葛原裕介さんは和牛の輸出開始に備え去年から市場調査を進めてきた。
(ジェトロ パリ事務所 葛原裕介さん)
「肉といえば赤身を食べる文化ですから和牛の特徴である霜降りは今までの概念にない。
 フォアグラの場合はメインで大量に食べるものではない。
 食事の最初の方にアミューズブッシェ前菜の一種として出る。」
このとき葛原さんはすでに秘策を練っていた。
向かった先はパリの富裕層に人気の三ツ星レストラン。
世界的なフレンチの巨匠 ピエール・ガニェールさんはフレンチに世界各地の食材を取り入れ
その良さを最大限に引き出す腕前から“厨房のピカソ”と呼ばれている。
ヨーロッパの人たちの口に合う霜降り肉を使った料理を考案してもらえば知名度を上げられると考えたのである。
(フレンチレストラン オーナーシェフ ピエール・ガニェールさん)
「ここで酢を加えます。
 和牛は脂っこいので少し酸味を加ええるとちょうど良くなる。」
日本人の発想からはなかなか生まれない調理法である。
(ピエール・ガニェールさん)
「和牛は高価な食材なので少量しか使いません。
 脂は多いけど何より柔らかい。
 少量でも食べる人を満足させられるんだ。」
1回に使う肉の量はわずかだが消費を広げる糸口をつかむことが出来た。
(ジェトロ パリ事務所 葛原裕介さん)
「新しいものを創るという点で奇才と呼ばれるガニェール氏に期待するところはある。
 フランス料理の持つ発信力は世界規模のものがありますから。」

ロンドンにある日本料理店。
ここでも和牛を広めていこうという模索が始まっている。
「こっちの人向けにはエイジングをかけた方がいい。」
日本人のシェフが取り組むのはドライエイジングというヨーロッパ伝統の熟成加工。
冷蔵庫で数週間乾燥させることで肉のうま味を凝縮させる。
ドライエイジングするとヨーロッパの人が好む味になると考えたのである。
この店ではさらに試行錯誤を続け
近いうちに和牛をメインの肉料理として売り出そうとしている。
(日本料理店 料理長)
「これだけの立派な肉 おいしくないわけがない。
 絶対おいしいのでそのおいしさを追求してさらにおいしい売り方で。」
7月7日 JETROは霜降り肉を売り込もうとイベントを開いた。
招かれたのは高級レストランのシェフや肉屋のオーナー 100人。
(精肉店店主)
「和牛を食べたことはありません。
 今日は調理法も紹介されるのでとても興味深いです。」
この日作られたのは和牛の創作料理8品。
人だかりの先にはフレンチの巨匠 ピエール・ガニェールさん。
作ったのはフランス伝統の煮込み料理和牛のブレゼ。 
高級食材フォアグラのようにわずかの量でもインパクトのある料理に仕上げた。
用意した100人分はあっという間になくなった。
(食品輸入会社 営業担当)
「牛肉の自然な味が出ていました。
 口に入れると溶けるようでした。
 思わず微笑んでしまいました。」
(フランス料理店 シェフ)
「私もぜひ和牛を調理してみたい。
 新しい食材なので新しい技術が必要だ。」
一度和牛を使ってみたいという引き合いは高級レストランなど50件に上った。
一時的な盛り上がりに終わらせず消費を着実に増やしていけるのか。
模索は続いている。
(JA全農 ロンドン事務所 多田充利さん)
「感触はすごい。
 期待度は予想以上にある。
 1回だけじゃなくて継続的に使ってもらうためにどうするかが今日終わってこれからの課題。」




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