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ASEANラオスの経済潜在力

2015-03-26 07:30:00 | 報道/ニュース

3月10日 キャッチ!


インドシナ半島の中央に位置し
タイやベトナムと国境を接するラオス。
内陸にあるため開発が遅れていたが
域内各国を結ぶ経済回廊が整備され交通の要衝として発展。
1人当たりのGDPはカンボジアやミャンマーより高い約1,700ドル。
8%を超える高い経済成長を続けている。
このラオスを新たな投資先として検討しようと
ジェトロ(日本貿易振興機構)視察団が派遣された。
参加したのは中小企業の経営者など30人。
首都ビエンチャンから車で30分ほどのところにある工業団地を訪れた。
広さ110ヘクタール。
去年8月にラオス政府と台湾企業の共同出資によってオープンしたが
すでに35の企業の進出が決まっている。
電子部品メーカーなど3つの日系企業が進出している。
ラオス政府はここを含む2か所の工業団地を経済特区に指定。
進出企業に法人税の減免など特典を与え投資を呼び掛けている。
(工業団地 経営者)
「ここは交通の便がよく
 タイへの輸出に最適だ。
 経済共同体の発足でラオスの貿易はより活発になるだろう。」
次に視察団が訪れたのはラオス南部の中心都市サバナケット。
ここはミャンマーからベトナムまでの約1,400キロを結ぶ東西経済回廊沿いにある。
タイのバンコクまでは約670キロ。
車で10時間で行き来できる。
この町で操業する日系おもちゃ製造工場。
子ども向けの入浴剤とその中に入れるおもちゃを作っている。
350人の従業員の多くは
現金収入の少ない農家の出身で会社の寮に住み込みで働いている。
ラオスの平均賃金はタイの3分の1。
進出企業にとって大きなメリットになっている。
(従業員)
「前はこんなにたくさんの会社はなかった。
 基本給は約1万円だけど給料はさらに増えている。」
さらにラオスの大きなメリットはタイ語が通じること。
オーダーメードのかつらを作る工場。
この会社はタイに工場を持っているが従業員の賃金高騰化や高齢化に直面している。
そこで若い従業員が確保できるラオスに進出し
ベテランのタイ人の指導の下かつら作りを行っている。
この会社では新たに工場を建設し生産を拡大しようとしている。
現在はタイの工場を経て日本に出荷しているが
将来的にラオスでの一貫生産を目指している。
(アデランス 皆川伸彦さん)
「日本から直接オーダーを受けて
 日本に直接納品することを目指す。
 1,000人規模の操業状態で来年半ばに完成させたい。」
視察に参加した経営者たちはラオスに進出するメリットを感じている。(視察に来た経営者)
「タイ語が自由に通じて
 非常にタイ人と気質が似ている。
 タイ人の管理者がここにきて管理できる。
 タイとの互換性
 タイの子会社として進出するメリットを感じる。」
ジェトロでは去年7月 新たにビエンチャンに事務所を設けた。
(柴田哲夫所長)
「ひとつは地理的特性。
 メコンの要衝にあるということ。
 2点目はGDP成長率7~8%の高い成長率を維持していること。
 政治的社会的に安定している。
 そして自然災害が少ない。
 ただこのメリットを生かすも殺すも物流にかかっている。
 いかに国境を超えるコストと時間とリスクを抑えられるか。
 この国の将来を左右すると思う。」

首都ビエンチャンの日本人商工会議所には71の企業が登録していて
4年前の2倍以上に増えている。
すでにタイに工場を持っていて一部の生産工程をラオスに移す
タイプラスワンの企業が多くなっている。
タイの3分の1と人件費が安いこと
ラオスでは水力発電がさかんなため電力供給が安定していて
電気代もタイの半分程度と安い。
ジェトロのビエンチャン事務所には月に200人ほどが進出の相談に訪れているほどで
これからさらに進出企業が増えることが予想される。
ラオスの課題はまず物流。
経済回廊は整備されたものの
実際に走ってみると道路が一部で損壊していて通行に時間がかかるといったことはままある。
また行き来する荷物の量がまだ少ないため
物流コストが割高になってしまうのが現在の課題である。
それから各企業とも人材確保の難しさを口にしている。
もともとラオスの人口は700万人弱。
しかも工場で働いた経験のある人はごくわずか。
このため進出企業は働き手を農村に捜しにいかなければならない。
そして苦労して雇っても工場の仕事が合わないとやめてしまう人が多い。
2~4割の従業員が数か月でやめている。
どの企業も離職率を下げるため
自前で寮を整備するなど従業員を定着させるための環境づくりに苦労している。
ビエンチャンの街は中国語の看板が多い。
そして韓国や中国の車が多い。
ラオス政府によるとラオスへの投資額は
中国が日本の9倍
韓国が1,7倍となっている。
中国とラオスにはもともと長い経済支援の歴史があるだけでなく
最近は中国の開発業者が高層マンションの建設を進めるなど
ラオス経済に深くかかわっている。
韓国も自動車販売で低価格路線を打ち出しシェアを拡大している。
これに対し日本のラオスへの進出は今のところ製造業が中心で
業種に広がりがないと指摘されている。
今後ラオスでは外資企業の投資に対する規制緩和が進む見通しである。
こうしたチャンスを生かしASEANで利益を生み出す基盤を作ることができるのか。
日本企業にとっては高い情報収集力と迅速な経営判断が求められている。




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