1月16日 おはよう日本
シンガポールでは高齢化が急速に進んでいる。
この15年で65歳以上の高齢者の割合は60%増加。
2050年には全人口の約3割に達するとみられている。
このため介護の担い手をどう確保するかが社会問題となっているが
今注目されているのが介護にも対応できるメイドである。
女性の社会進出が進み
結婚している家庭の8割以上が共働きのシンガポール。
それを支えてきたのがフィリピンやインドネシアからの外国人のメイドである。
公園では昼間 子守りをする人々の姿を多く見かける。
この外国人のメイドが介護の担い手として社会の期待を集めている。
外国人のメイドが研修を受ける民間の施設。
これまでは家事や育児などの基本的なことを教えていたが
いま最も力を入れているのが介護の技術である。
生徒たちは互いに高齢者役になりベッドに寝かせる方法を学ぶ。
研修の約半分を介護の実習に割いている。
メイドの約半数が高齢者のいる家庭に派遣されるからである。
シンガポールでは介護施設の数が不足している。
このため政府は危機感を強め
介護の講師費用を負担することで介護にかかわる人材の育成を進めようとしている。
また高齢者の介護を目的にした場合には
メイドの雇用にかかる税金を去年から通常の4分の1に引き下げた。
(メイド研修施設代表)
「シンガポールでは介護研修をより重視する企業がどんどん増えています。」
さらに介護の専門知識を持った即戦力を海外から引き抜こうという動きも加速している。
この会社では周辺国から看護師や介護士の資格を持つ人材を集め紹介している。
介護ができるメイドを雇いたいとオフィスを訪れる人の数は増え続けている。
1か月の賃金は日本円で6~10万円程度と一般的なメイドの約2倍。
しかし介護施設に比べれば半額ほどで済む。
いまでは月に約30人を紹介。
これまでに合わせて300人以上を紹介した。
(メイドの派遣会社代表)
「彼女たちは胃ろうの患者の介護など
普通のメイドには無い技術を持っています。
介護施設と同じレベルの介護を自宅で受けることが出来るのです。」
この会社の紹介でフィリピンからやってきたロレンゾさん(26)。
家族と離れて暮らしている認知症のリーさんを許年から住み込みで介護している。
日常生活のサポートに加え
認知症の進行を遅らせるトレーニングなどを行う。
夜は同じ部屋で寝て一晩中目を配る。
(ロレンゾさん)
「自分で寝返りが打てないので押してあげて
2時間たったら逆方向に寝かせます。」
リーさんの娘は家事や自分の孫の世話などで同居は難しいと考えロレンゾさんを雇った。
(リーさんの娘)
「介護ができるメイドはとてもありがたいです。
彼女の良いところは
母にやさしく話しかけ笑顔でいてくれることです。」
ロレンゾさんが介護を始めてから半年
リーさんは寝る前必ず手を差し出しさすってくれるよう求めるようになったと言う。
(ロレンゾさん)
「自分の母親のように接しています。
そうすれば最高の介護を提供できるからです。」
急速に高齢化が進むなか誰が介護をするのか。
外国人メイドがシンガポールにとって将来に欠かせない存在になろうとしている。
シンガポールでは介護の現場で外国人のメイドの雇用が進んでいるが
なかには高齢者との間で意思疎通がうまく取れず
トラブルに発展することもあるそうである。
シンガポールには介護士の国家資格がなく
出身国が異なり
それぞれ経験の異なる人材の管理は基本的に業者に委ねられている。
介護を行う外国人メイドが増えるなかで
利用する側としては
今後はいかに介護士としての能力を見極めていくかということも課題になる。