11月28日 おはよう日本
観光客が触れ合う馬たち。
かつて競走馬として活躍してきた。
(観光客)
「ぱっと見えたんで入りました。
競走馬と触れ合えるところが少ないので
すごくいいところだと思う。」
高知県土佐清水市にある牧場。
宮崎栄美さん(60)が7年前から経営している。
「この子は競走馬のときはナムライナズマという名前。」
「マチカネカミカゼという名前で走ってました。」
G1レースなどでも活躍した11頭の馬。
人間で言えば70代以上の高齢の馬の余生を支えている。
きっかけは宮崎さんが趣味で始めた乗馬。
馬の魅力に引き付けられた。
そこで衝撃を受けたのが
引退した競走馬のうち一部の馬しか余生を過ごせないことだった。
なんとか余生を全うさせたい。
目指すのは高知競馬で注目された1頭の生き方である。
ハルウララである。
引退まで負け続けたにもかかわらず懸命に走る姿が人気を集めた。
今も千葉県の牧場で余生を過ごしている。
(宮崎栄美さん)
「競馬で勝てなかった馬たちが余生を送れる
命を全うできるシステムを作ることは大事。
陰に隠れてた馬たちを保護できるようにしたい。」
宮崎さんの1日は毎朝5時から始まる。
馬たちの世話である。
1頭1頭の餌やりや馬小屋の掃除など1日も休むことなく続ける
馬中心の生活である。
高齢の馬を育てるうえでの工夫も。
固い干し草のかたまりを食べやすいように砕いたり
餌の配合を変えたりしている。
(宮崎栄美さん)
「お相撲さんの朝稽古みたいに
食事の前にひと仕事。
馬は朝早い方が放牧しても喜ぶし
この仕事始めてから自分のために何もしてないですよ。」
しかし馬の数が増えるとともに牧場の経営も厳しさを増していく。
えさ代や薬代などで年間1,000万円近くかかる。
馬を預けている馬主からの委託金や全国の約50人の会員から月に1口3千円の会費を集めているが
ぎりぎりの状況である。
それでも続けるのは馬の魅力を知ってもらいたいという思い。
誰でも触れ合うことができる牧場を作り上げてきた。
この日訪れたのは地元の小学生。
子どもたちに馬と仲良くなってもらうため特別な方法を教える。
宮崎さんだけが知っているこの馬の特徴。
じっと聞き耳を立てて歌を聴くのである。
「おとなしくなった。」
「ね 聞きようやろ?
大好きなんよ。」
1人でも多くの人たちに関心を持ってもらい
引退馬の命を救うことにつなげたいと考えている。
(宮崎栄美さん)
「地域の人たちや
周りの支援者の皆さんと協力して
動物の命を守っていける場所にすることに力を貸してもらいたい。
1つの命でもいいから救いたい
助けてあげたい。」
引退した競走馬の余生を支える宮崎さん。
馬の一生に寄り添い
歩く。