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世界のリーダーが語る日本への提言 ③エネルギー問題の権威 シェール革命の影響は

2014-02-13 08:00:00 | ビズ プラス
2月2日 BIZ+SUNDAY

アメリカのシンクタンク ケンブリッジ・エナジー・リサーチ・アソシエーツ ダニエル・ヤーギン会長。
著書「石油の世紀」で優れた報道などに贈るピューリツァー賞を受賞。
エネルギーを軸に国家の興亡をとらえる視点がいまも高く評価されている。
ヤーギン氏がいま最も注目しているのがアメリカのシェール革命が世界に与えた影響である。
技術革新がもたらしたシェール革命で天然ガスと原油の生産が急増。
アメリカの天然ガスの価格は日本の3分の1 
ヨーロッパの半値にまで低下している。
オバマ大統領はエネルギーコストの減少がアメリカの競争力を大いに高めていると胸を張った。
(1月28日 一般教書演説 オバマ大統領)
「投資先として最も有望な国は今や中国ではない。
 アメリカだ。」

Q.シェール革命がこれほど早くさまざまな分野に影響が広がると思ったか?
(ケンブリッジ・エナジー・リサーチ・アソシエーツ ダニエル・ヤーギン会長)
「いまエネルギーの競争力という考え方が世界的に大きな議論を呼んでいる。
 2年前にはなかったことだ。
 シェール革命で状況は一変した。
 生産拠点をドイツなどからアメリカに移す企業が増えている。
 あるヨーロッパの大企業のトップが
 『製造業の大脱出だ。行き先はアメリカだ。』と表現していた。
 シェールガスが豊富に出てアメリカの天然ガスの安さは異次元だといえる。」

シェール革命は中東の政治情勢にも大きな影響を与えているとヤーギン氏は指摘している。
その象徴がアメリカと長く対立してきたイランの変化だと言う。
(イラン ロウハニ大統領)
「イランは今後 ヨーロッパ諸国との関係を正常化するだろうしアメリカとの関係も新たな段階に入った。
 イスラム革命後 最も重要な時代となった。」

イランは核開発を続けているとして欧米諸国はイランから原油を輸入しない制裁措置をとっている。
これに対してイラン側は最近 核開発交渉に応じるなど柔軟な姿勢を見せるようになった。
(ケンブリッジ・エナジー・リサーチ・アソシエーツ ダニエル・ヤーギン会長)
「もしシェール革命が無ければイランに対する経済制裁は効果をあげなかっただろう。
 なぜならアメリカの原油の生産量ははるかに少なかった。
 イランは当初 
 『制裁は効果が無い 最後はイランを頼る』
 そう考えただろう。
 しかし代わりの原油はいくらでも出てきた。
 核開発交渉への影響は大きかった。」

Q.今の日本にとって必要なエネルギー政策は何か?
「競争力。
 グローバル経済の中で日本の産業力と活力を確保できるエネルギー政策が必要だという意味。
 去年 日本を訪れた際 
 原子力発電所を再稼働するかどうかの判断にあたっては産業の競争力を考慮するべきだという声も耳にした。
 仮に日本のエネルギーコストが高止まりすれば産業の空洞化が進み影響はさまざまなところに及ぶだろう。
 日本はエネルギーの技術革新においても素晴らしい才能を持っている。
 省エネ 代替エネルギーの開発も競争力の維持に欠かせない。
 日本人は気づいていないのかもしれないが日本は省エネに関しては真のトップランナー
 世界のお手本だ。
 エネルギーの技術革新で日本は重要な役割を果たし続けるべきだ。」
コメント

世界のリーダーが語る日本への提言 ②ノーベル経済学賞 シラー氏がみるアベノミクス

2014-02-12 08:00:00 | ビズ プラス
2月2日 BIZ+SUNDAY


新興国市場の減速が懸念される中で世界経済を引っ張ることを求められているのが先進国。
なかでも日本の再生には各国の期待がかかる。
特に注目されるのが日本の大規模な金融緩和である。
しかしこの金融緩和は度が過ぎればバブルを引き起こすと心配する専門家も少なくない。
ダボス会議では
アメリカのITバブルやサブプライム問題への警鐘を鳴らしたことでも知られるロバート・シラー教授をゲストに迎えた特別セッションが設けられた。
テーマは「金融緩和による資産価格の高騰」。
(エール大学 ロバート・シラー教授)
「アメリカで再び住宅バブルが起きつつある。
 住宅価格が上昇しているのはアメリカだけではない。」
去年ノーベル経済学賞を受賞したシラー教授。
株式や住宅の市場でバブルが発生していないか判断する指標を開発。
その功績がたたえられたのである。

Q.バブルとはどういうものか?
(エール大学 ロバートシラー教授)
「バブルとは物の値上がりにメディアなどの焦点が当たり引き起こされる人々の興奮状態を指す。
 株や住宅の価格が上昇したとして
 それに浮かれている人たちを見てもっと上がるぞと興奮する人が出てくる。
 こうした人たちがさらに買いに走って実際にバブルが起きる。
 バブルは“自己増殖的”な現象。
 そうなるとバブルはどんどん膨らむ。」

シラー教授の評価を高めたのは経済学に心理学の要素を取り入れた独自の分析である。
心理学者の妻との対話が貢献したという。

Q.心理学者の奥様からはどんな影響を受けたか?
「人間の審理を考えるようアドバイスしてくれたのが妻。
 経済学は数学的なアプローチを重視しがちで自分もそうしてきたが
 妻と出会って人間の本質について深く考えるようになった。
 人の感情を抜きには考えられないということ。」

今回のダボス会議で特に高い関心を集めた日本の金融政策。
出席した日銀の黒田総裁はセッションでデフレからの脱却に自信を見せた。
(日銀 黒田総裁)
「金融政策によって2%のインフレ目標に大きく近づいている。
 経済成長が続く限り私は極めて楽観的だ。」
日経平均株価は去年1年間で56,7%も値上がりした。
(会議参加者)
「アベノミクスは世界経済にも大きな影響を与えた。」
「安倍首相は日本のムードを良い方向に変えた。」

(エール大学 ロバート・シラー教授)
「日本経済はとても成功している。
 安倍総理は課題を解決しようとしている。
 世界が日本とその政策を見ている。
 もともと金融の量的緩和という離れわざは日本があみ出しそれを各国が学んだ。
 批判する人もいるが各国がついづいしているのだから成功したと言える。
 世界は安倍総理の制作が上手くいくのかどうか見ているし
 うまくいけば我々は大いにヒントを得るだろう。」

Q.そのアベノミクスで日本では気分が一転した。
  この状況を根拠なき熱狂という人もいる。

「日本には新たな楽観主義が芽生えている。
 それは必要なもの。
 根拠なきというレベルにはなっていない。
 株価だって1989年の最高値には程遠い。」
Q.日本経済に今必要なものは何か?
「地に足の着いた楽観主義です。
 日本経済の真の力に気づき
 これまでの成功体験から学び
 さまざまなことに積極的に挑戦せよという意味。
 これは大変。
 決してマネーゲームを楽しむというようなわけにはいかない。
 大変な労力が必要。
 世界の中で日本がどのような位置にあって日本の強みはいったい何なのか。
 それを真剣に考えなくてはならないことを意味する。
 科学技術や有効なビジネスのアイデアが重要になってくる。
 最近何をやっても上手くいかないからやめておこうなどとあきらめてはいけない。
 時間はかかるがしっかりとした戦略を練れば経済は必ず改善する。」

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これからいただく都民の料理

2014-02-11 08:00:00 | 編集手帳
2月10日 編集手帳

レストランで。
「ボーイ君、どうして皿がこんなに濡ぬれているのかね?」
「お客さま、それはスープでございます」。
西洋の小話にある。
量が物足りないうえに、
用意された料理がそのひと皿だけでは、
腹をすかせた人はがっかりする。

客は雇用のステーキも食べたい。
防災のソテーも食べたい。
福祉のケーキも、
五輪のパンも食べたい。
ごく少量の、
それも生煮えの「即・脱原発」スープひと皿に頼れば、
まあ、
この結果も致し方のないところである。

都知事選で台風の目になった細川護熙氏が、
舛添要一氏に大差で敗れた。

都民の暮らしを良くするために持論を訴えた、
というよりは、
持論に日の目を見させるための踏み台として都知事選を利用した。
その印象が最後までぬぐえない。
レストランのお客として丁重に扱われるつもりでいたところを、
自分の1票がシェフご推奨料理の“ダシ”に使われそうな気配に嫌気が差し、
背を向けた有権者もいたはずである。

都民はまだ何の料理も口にしていない。
メニューを見比べて口八丁の舛添レストランを選んだだけである。
手八丁のほどは、
これから見せてもらう。
コメント

世界のリーダーが語る日本への提言 ①日産ゴーン社長 どうみる新興国市場

2014-02-10 08:00:00 | ビズ プラス
2月2日 BIZ+SUNDAY

新興国シフトを強める日産。
去年1年間に新興国で生産した自動車は256万台にのぼる。
日本国内の生産を大きく上回っている。
いま力を入れているのがインド。
新興国向けに専用ブランド ダットサンを復活。
日本円で65万円以下という低価格を売りに拡大する中間層を獲得しようとしている。
しかし頼みにしていた新興国市場がここにきて大きく減速。
業績見通しの下方修正を余儀なくされた。

Q.日産は新興国市場の減速を受けて今年度の業績予想を下方修正した。
  新興国市場の先行きをどこまで懸念しているか?

(日産自動車 カルロス・ゴーン社長)
「去年 逆風に直面し若干苦戦したのは事実。
 ただ新興国への投資は続ける。
 チャンスが目の前にあるのだから。
 楽観している。」
Q.新興国の先行きに強気なのはなぜ?
「自動車業界で最も重要な指標は1000人あたりの自動車の保有台数。
 アメリカは700台 日本は600台 ヨーロッパ500台 ロシア300台 ブラジル200台 中国100台。
 そしてインドは20台。
 この数は増える。
 市場の見方は短期で見るかそれとも中長期で見るかで全然違う。
 見る指標も違ってくる。
 やはり中長期で見る場合は自動車の普及率やインフラの整備の度合い 生活水準や人口動態を見る。
 すべての指標が上向きならば躊躇なく投資するべき。」

日産は世界最大の自動車市場となった中国で積極的に事業を拡大してきた。
現在日本メーカーの中でトップのシェアを獲得している。
しかし日中関係は緊張した状態にあり1月のダボス会議でも高い関心を呼んだ。
(世界経済フォーラム クラウス・シュワブ会長)
「世界からは靖国神社への参拝が中国や韓国との関係を悪化させたように見えるが。」
(世界フォーラム 安倍首相)
「中国との関係は最も大切な二国間関係のひとつであり
 さまざまな課題があるからこそ首脳間の話し合いを胸襟を開いて行いたい。」

Q.日産にも日中関係悪化の影響が出ている。
  どう見るか?

「安倍総理は今回 日中関係の重要性について語った。
 我が社のためだけでなく日本の産業界のためにも強固な日中関係が必要だと常に訴えており
 理解いただいていると考えている。」
Q.中国経済が回復しているという実感はあるか?
「毎年ダボス会議で
 『今年は中国にとって厳しい年になる』と聞いてきたがそうはなっていない。
 中国は成長する。
 潜在的な需要が膨大にあるのだから。
 一昨年の数字で車を買った人の90%以上が初めて買った。
 車を買うことが夢でお金もあるという人がたくさんいる。」
Q.新興国で事業を展開するうえで何が重要か?
「今日の新興国は明日の先進国。
 何が言いたいかと言うと今日のナイジェリアは明日のヨーロッパ。
 今日のブラジルは明日のアメリカだということ。
 新興国を単なるリスクとして見てはいけない。
 チャンスとして見よう。
 日本企業は新興国市場でやるべきことはまだある。」


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母や祖母に辞世の歌をささげたいと思う国がどこにある

2014-02-09 08:32:52 | 編集手帳
2月7日 編集手帳

子供たちはカタカナがやっと読める年齢らしい。
その手紙にある。
〈ヒトノオトウサンヲウラヤンデハイケマセンヨ〉。
お父さんは神様になって、
お前たちをずっと見守っているからね。

久野正信中佐。
29歳。戦死。
〈オトウサンハ「マサノリ」「キヨコ」ノオウマニハナレマセンケレドモ…〉。
どんなにか、
お馬になって、
わが子の重みを背中で感じたかったことだろう。

鹿児島県南九州市の知覧特攻平和会館には、
特攻隊員の遺書や日記が残されている。
世界記憶遺産に登録するよう、
市が国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)に申請した。

〈おやさしき我が祖母様よお先にて三途さんずの河の浅瀬知らせむ〉
(高田豊志少尉。19歳。戦死)。
ソチ冬季五輪の日本人選手にも同じ年頃の若者が大勢いる。
“命懸け”が比喩であることの、
平和であることの、
ありがたみを胸に刻む記憶遺産である。

「戦争を賛美するもの」と、
いずれ中国や韓国があらぬ言いがかりをつけてくるのはうんざりするほど目に見えている。
休みやすみ言うがいい。
孫が祖母に辞世の歌を捧ささげた昔に戻りたいと願う国が、
地球上のどこにある。
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寒風と荒波にもまれ強くなる

2014-02-08 08:00:00 | 編集手帳
2月2日 編集手帳

目が覚めても、
部屋の空気が冷たくてなかなか布団から抜け出せない。
あと5分などと思っているうちに再び寝入り、
気がついたら1時間たっていたという朝もある。

春眠暁を覚えずというけれど、
一年で人がもっとも長く眠るのは今頃かもしれない。
断定的にいえないのは、
自分とは違う人々を知るからだ。

松下竜一著「豆腐屋の四季―ある青春の記録」に、
単車で豆腐を運ぶ情景を詠んだ歌が出てくる。
〈豆腐積み暁の闇ひらきゆく我が灯にかすかな氷雨きらめく〉。
肌を刺す雪片によって「生」を確かめることができるのだと、
自らの日常をつづって著者は語る。
半世紀近く前の手記だが、
豆腐店の朝が早いのは今も変わらない。

東北で三陸ワカメの収穫が始まった。
この仕事も朝が早い。
寒風吹きつける日の出前の漁港で、
刈り取りの道具を舟に積み、
明け方に出漁する。

三陸ワカメは肉厚で歯応えがあるといわれる。
リアス式海岸特有の荒い波にもまれるうちに、
分厚く、
強くなるのです――
地元の人の説明は、
彼ら自身のことでもあるように聞こえた。
そんな人々を思い、
おのが居ずまいを正す日もある。
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タイ政治対立 ③日本人社会にも影響

2014-02-07 08:00:00 | 海外ネットワーク
2月2日 NHK海外ネットワーク

深刻な政治対立はタイに暮らす約10万人の日本人社会にも暗い影を落としている。

日本人が多く暮らすバンコクのスクンビット地区。
終わりが見えない対立に不安が広がっている。
夫の転勤で3年前からバンコクで暮らしている市井佐智子さん。
「1週間分あれば安心と思って。
 余分に置いている。」
市井さんは状況が悪化し買い物ができなくなったり停電したりした場合に備えている。
一番気がかりなのが2人の子どもの安全。
幼稚園のバスはマンションの下まで送り迎えに来てくれる。
しかし無事に帰ってくるまでは安心はできないと言う。
(市井佐智子さん)
「爆発があったら怖いなと思って。
 1日も早く今まで通りのバンコクに戻ってほしいと思う。」

デモの影響は日系企業にも及んでいる。
(クレジット会社現地法人 長澤博社長)
「観光客の数も減っているし厳しい状態だと思う。」
観光客が減るとカードが使えなくなり会社の売り上げは落ち込む。
カード会員用のラウンジを訪れる人も少なくなった。
デモの行方が気になる長澤さん。
デモ隊は会社の目の前の通りでも座り込みを行うようになった。
(長澤博さん)
「日本人の客が来にくい状況であることは間違いないと思うので
 売り上げを今増やすのは困難だと思っている。」

さらにタイ進出を考える企業にも影響は広がっている。
機械工具を扱う商社に勤めている杉本いづみさん。
タイに現地法人をつくるため去年11月からバンコクに来ている。
(杉本いづみさん)
「バンコクでの打ち合わせがキャンセルになったり延期になったりして
 話がなかなか前に進まない。」
去年のうちに現地法人を設立する予定だったがデモの影響でまだ見通しすら立っていない。
(杉本いづみさん)
「オフィスを借りようと思って見に行ったところでデモ隊が行進し始めて
 危険だと思ってその場を立ち去った。」
このまま法人設立の手続きを進めるべきか企業の海外進出を支援するJETROに相談した。
(杉本いづみさん)
「会社登記の準備を進めている段階だけれど
 バンコクの政情が不安定な中このまま会社登記に踏み切るべきか。」
(JETROバンコク事務所 海外投資アドバイザー)
「デモがいつ収束するか正直に言うとわからない。」
今後の展開まで予測するのは難しいと言われた。
そして本社に連絡を取った杉本さんは
いったんタイを離れ事態の推移を見守ることにした。
(杉本いづみさん)
「早くビジネスを展開したいという焦りと
 このような状況の中で進出して本当に大丈夫かという不安とでいろいろ複雑です。」


コメント

タイ政治対立 ②いまだ衰えないタクシン人気

2014-02-06 08:00:00 | 海外ネットワーク
2月2日 NHK海外ネットワーク

「タクシン氏を愛している。
 いつ戻ってきても飛行場まで迎えに行く。」
「タクシン氏は発想力も実行力もある。
 貧しい人を救ったのは彼だけだ。」
首相在任中(2001~2006)農村の活性化や低所得者層の支援に力を入れたタクシン氏。
北部や東北部の農村地帯で絶大な人気を誇った。
(タクシン首相《当時》)
「困っている国民はたくさんいる。
 今できることからやろう。」
失脚後も根強い支持を集めている。
地域ぐるみでタクシン派を支持している村はシンボルの赤い色のTシャツから「赤シャツ村」と呼ばれている。
その数は今では2万か所以上にのぼっている。
東北部の赤シャツ村で村長を務めるサンコム・スワンヴィロードさんはタクシン派の熱心な支持者である。
(“赤シャツ村”村長 サンコムさん)
「タクシン氏のことを100%信頼している。
 彼がこの国に戻ってくるならすべてを犠牲にしてもいい。」
なぜ今も強く支持するのか。
タクシン政権が2001年から全国の村に支払った300万円の補助金のおかげでこの村も潤ったからである。
道路や水路が整備され生活は大幅に改善された。
(サンコムさん)
「タクシン政権になって家を改築できた。
 月収が20万バーツ(約60万円)になった時もあり車も買えた。」
今では村人のほとんどが車を持つまでになった。
また村の特産品タイシルクによる収入も増えた。
タクシン政権が村ごとに特産品を決めて生産を奨励し国内外で販売する「一村一品運動」を実施したからである。
それまで近くの村で物々交換されるだけだったシルクがいまでは日本や欧米にまで輸出されるようになった。
「収入が増えてうれしい。
 だから一生懸命働いている。」
タクシン氏がもたらした豊かさを守りたい。
サンコムさんはタクシン氏の妹インラック首相率いる政権の動向に注目している。
この日は村の仲間と議会選挙に向けた話し合いを行った。
「私たちの候補者は苦戦しているが“赤シャツ”は団結しなければならない。」
「大丈夫。
 この村はまとまる。」
投票を目前に控えた日 村の候補者を応援しようと集会にかけつけた。
(サンコムさん)
「ステープ元副首相の主張は実現できないことばかり。
 今の政府を守るため
 インラック首相を救うため皆で知恵を出し合っていく。」
コメント

タイ政治対立 ①反政府の抗議行動

2014-02-05 08:00:02 | 海外ネットワーク
2月2日 NHK海外ネットワーク


タイで続く混乱は何がきっかけで始まったのか。
キーマンとなっているのは元首相のタクシン氏。
タクシン氏をめぐっては親族による不正な株の取引が明るみに出たことをきっかけに退陣を求めるデモが相次ぎ
2006年 軍のクーデターで国を追われた。
今の首相のインラック氏はタクシン氏の妹である。
タクシン派は農村部に強固な支持基盤を持っている。
タクシン氏が追放された後の選挙で勝利してきた。
これに対し都市部ではタクシン派への不満が高まりバンコクで大きな暴動に発展したこともあった。
そして去年の秋 
インラック首相が兄のタクシン氏の帰国に道を開く法案の成立を目指したことから反政府デモが拡大し今に至る事態となった。

1月28日 政府が議会選挙を予定通り行うと発表した直後に反政府デモ隊の抗議行動は一段と激しさを増した。
デモを主導してきたステープ元副首相も駆けつけ選挙の延期に応じようとしない政府の対応を厳しく非難した。
(ステープ元副首相)
「タクシンかいらいのインラック政権を倒すため抗議を加速させなければならない。」
プラモート・スワンケーウさん(36)は運輸相に勤務する官僚。
10年間 国の行政に携わってきたが
タクシン派の政権のもとで農村への露骨な利益誘導など政治の腐敗が目に余るようになったと感じ国の将来を憂えてデモに参加するようになった。
(プラモート・スワンケーウさん)
「今の政府は票を買って権力を維持してきた。
 政治を改革したうえでの選挙でなければならない。」
プラモートさんが普段働いている運輸省の建物のまわりはデモ隊のテントが設けられ人が入れないようになっている。
プラモートさんは職場から書類を持ち出しバンコクの大学の図書館などで仕事を続けている。
(プラモート・スワンケーウさん)
「腐敗の実態を知っているから公務員のかなりの部分がデモに参加している。
 国民のためになることをすることこそ公務員の仕事だ。」
インターネットのフェイスブックではデモに参加したときの様子を積極的に発信している。
デモの比には200件を超える反応があった。
プラモートさんは今のタイが抱える問題は選挙では解決できないと考えている。
(プラモート・スワンケーウさん)
「選挙を行なえるような状況ではない。
 民主的な選挙というのはすべての人々のために国を発展させるのが目的。
 今の政権に同じことを繰り返させるためではない。」

反政府デモ隊を資金面で支えてきたのが大企業を含めたビジネス界の人たちである。
タイでも有数の不動産開発会社社長のソンクラーン・イッサラさん。
プーケットなどのリゾート地で大きなホテルなどの開発を手掛けてきた。
会社の年間の売り上げは60億円余にのぼる。
選挙よりも腐敗をなくすことが先決だという主張に賛同しデモ隊を支援してきた。
(ソンクラーン・イッサラさん)
「デモ隊は多くの資金が必要。
 さまざまな支援が何よりも重要。
 食料を届けに行ったこともある。」
ソンクラーンさんはしばしば抗議行動の現場で直接ステープ氏を激励してきた。
(ソンクラーン・イッサラさん)
「彼こそ国のことを思っている人物だ。」
1月にソンクラーンさんの会社が入っている高層ビルの窓に銃撃を受けたのではないかという跡が見つかった。
この件を報じた地元の新聞は
銃撃だとすればソンクラーンさんがデモを支持していることと関係があるのではないかと指摘している。
農村ばかりを手厚く保護するタクシン派の政権が続けば自分たちの経済的な権益が脅かされかねない。
ソンクラーンさんは懸念を募らせている。
(ソンクラーン・イッサラさん)
「タイの市民として正しい道を選びたい。
 企業と同じで信頼をなくしたら何もできない。
 堂々と行われる不正や違法行為で信頼が失われている。」



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“海のASEAN” ③ヒト・モノ・カネを集めるシンガポールの“ハブ戦略”

2014-02-04 08:00:01 | ビズ プラス
1月26日 BIZ+SUNDAY


シンガポールは
人口540万、面積は716平方キロメートル(東京23区よりやや大きい)。
小さな国だが金融や物流の拠点としてASEANで高い存在感を示している。
小さい、資源もないという厳しい制約条件のもとで
1人あたりのGDPは日本を上回る5万ドルを実現している。
緻密な国家戦略のもとヒト・カネ・モノ、情報を集めるハブ戦略に徹している。

世界第2位のコンテナ取扱量を誇るシンガポール。
その規模は日本最大の東京港の7倍に及んでいる。
さらに取扱量を倍増させアジアの海上物流の中心としての地位をゆるぎないものにする国家戦略を立てている。
(シンガポール ルイ運輸相)
「シンガポール政府は長期的な視点に立ち
 経済の支柱である港湾産業をさらに発展させていく。」
海上物流の活発化に伴いコンテナ船の大型化が猛スピードで進んでいる。
輸送コストを下げるためである。
1隻あたりに積めるコンテナの量は10年で2倍余になった。
シンガポールはこの動きにいち早く対応している。
巨大なガントリークレーンはコンテナ船の大型化に対応するため導入された。
コンテナを積み替える時間を短縮するため岸壁の出入り口には自動でコンテナの情報を読み取り計量もする最新の装置が設けられている。
チェックにかかる時間は25秒。
コンテナ船が着岸から離岸まで12時間以内。
他の港より圧倒的にスピーディーな対応である。
シンガポールが蓄積する港湾のノウハウは世界中の事業をひきつけている。
日本の大手商社三井物産はシンガポールで港を運営する民間企業を3年前に買収した。
この会社の世界最先端の港湾運営のノウハウと日本の技術を組み合わせ
アジア以外の新興国での事業に活用したいと考えている。
(ポーテック・インターナショナル 大森孝生社長)
「日本の自動化の技術とか物流の効率化、資金調達の仕組み
 こういうものをシンガポールの人材と組み合わせながら
 新しい新興国での物流インフラの活性化につなげていきたい。」

世界中のモノやカネの中継地点となることを目指すシンガポール。
いま最も力を入れているのが教育の分野。
去年8月 シンガポール国立大学はアメリカの名門エール大学と共同で新大学を設立した。
(エールNUS大学 ルイス学長)
「我々の使命はアジアで世界に通用する人材を育てることだ。」
教授の人件費やキャンパスの建設資金をシンガポール側が全面的に負担することで名門大学の誘致に成功したのである。
第1期生は難関を突破した155人。
6割はシンガポール人で残りはアメリカ、インド、中国などからの留学生。
(インド人留学生)
「スタンフォード大やハーバード大にも出願しました。
 この大学のほうが教授たちと接する機会が多いと思います。」
教授陣は欧米の有名大学などで教鞭をとっていた一流揃い。
高額の報酬で招へいした。
また優秀な学生を集めるため奨学金も充実している。
年間約240万円の学費は希望すれば政府と大学が出す奨学金でほぼ無料になる。
奨学金の条件は卒業後3年間シンガポールの企業に勤務することである。
日本人留学生の今村ちはるさん(18)も奨学金に応募し学費は無料になった。
(日本人留学生 今村ちはるさん)
「世界から選ばれてきた人たちの間にいると自分が変わっていくのが目に見えてくる。」

海のASEANにあって強烈な存在感を示すシンガポール。
世界中から国の成長に役立つものを貪欲に取り込み
さらに一歩先を目指そうと動き続けている。

コメント

“海のASEAN” ②インドネシアで人気 日本のカルチャー 日本のマンガ 現地化で売り込め

2014-02-03 08:00:00 | ビズ プラス
1月26日 BIZ+SUNDAY

日本企業がインドネシアに可能性を見出すのにはその“若さ”にある。
インドネシアの人口ピラミッド(2010年)を見ると
30歳以下の若い世代が非常に多く富士山のようなピラミッド型。
こうした世代の購買力が高まれば一気に巨大な市場になる姿が容易に想定できる。

ジャカルタのある場所に集まった大勢の若者たちのお目当ては日本がプロでユースするアイドルグループ JKT48である。
現地のCMやテレビ番組でも活躍し熱狂的なファンを獲得している。
いまインドネシアでは日本のカルチャーが大人気。
街にはアニメや特撮ヒーローのグッズが溢れている。
特に人気なのがマンガである。
インドネシアで読まれているマンガの7割以上が日本のコミックの翻訳版。
500種類以上取り揃えている店もある。
店の常連客のオキ・ユディアブラタさん(25)。
「絵やキャラクターの描き方が日本マンガは素晴らしい。」
自宅の本棚には小学生のときから集めてきた本がズラリ。
日本マンガの数は500冊にのぼる。
特に気に入っているのが「どらえもん」。
日本のカルチャーがいまインドネシアの若者をとりこにしている。

ビジネスチャンスを見出し3年前に進出したベンチャー企業。
アニメのキャラクターなどのビジネスを手がける会社である。
社長の原浩平さんは現地に日本のカルチャーを広く浸透させるために新たな取り組みが必要だと感じている。
(トキオ・ゲッツ 原浩平社長)
「日本のものを持ってくるがインドネシアのものに作り変えて
 しっかりこの国のカルチャーに合ったものを我々として商品化していく。」
原さんがいま現地の漫画家とともに取り組んでいるのがある日本のマンガのリメイクである。
タイトルは「特進クラス ドラゴン」。
日本で600万部以上売れた受験マンガ「ドラゴン桜」が原作である。
不良や勉強嫌いが集まる高校を舞台に元暴走族の主人公が生徒に東大合格という目標を与え奮闘する物語。
ユニークな指導が話題になった。
いまインドネシアでは受験競争が過熱し進学塾が乱立している。
受験をテーマにしたマンガはこの国でもヒットすると原さんは考えたのである。
インドネシアの人に受け入れられるようキャラクターやストーリーを一新した。
目指す大学は東大ではなくインドネシア大学など現地の有名大学に変更。
原作では合格を願って植えられる桜を現地で勝利を意味する月下美人に変更された。
第1巻の発売は今年3月。
原さんはいま読者を想定した若者への聞き取りを始めている。
よりインドネシアらしさを出すにはどうしたらよいのかを検討するためである。
「もと渋滞などインドネシア独特の雰囲気を入れた方がいい。」
「公立高校は服装に厳しい。
 女子高生のスカートはもっと長くないといけない。」
原さんは日本のマンガを現地流にリメイクする新たなビジネスを確立したいと考えている。
(トキオ・ゲッツ 原浩平社長)
「今までの翻訳ではとれなかったターゲット(読者)をとっていきたい。
 トライアルを何度も繰り返しやってみて
 どういったものがビジネスとして成り立っていくのか考えていきたい。」



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“海のASEAN” ①日本メーカーの新戦略

2014-02-02 08:30:00 | ビズ プラス
1月26日 BIS+SUNDAY

“海のASEAN”
ブルネイ、マレーシア、フィリピン、シンガポール、マレーシア、インドネシア。
海のASEANの特徴は民族や宗教、言語が多様なことである。
いま日本企業がこの地域に強い関心を持っていることを示すデータがある。
今後3年間でこの地域に事業展開するのにどの国が有望かと日本企業500社に聞いたところ
1位だった中国が4位
3位 タイ、2位がインド
1位が海のASEANの雄 インドネシア。
50%近い企業が有望だと答えた。

“海のASEAN”の大国インドネシア。
1人あたりのGDPは消費が爆発的に増えるとされる3000ドルを3年前に超えた。
新車の販売台数も年間(去年)122万台。
市場の9割を占めるのが日本のメーカーである。
いま各社は現地のニーズを取り入れた車づくりに力を入れている。
ホンダは去年9月 ASEANで開発した新型車を発表した。
特徴の一つは地上からの高さ。
地面から車体までの高さは18,9センチ。
ホンダが現地で販売するなかで最も高くした。
インドネシアでは大雨が降ると道路が頻繁に冠水。
対策として十分な高さを確保したのである。
また部品の現地調達率を高めるなどしてコストを削減。
価格を日本円で130万円台に抑えた。
ホンダはこの車をテコに年間の販売台数を2年後には今の3倍以上に拡大したいとしている。
(ホンダ 伊東孝紳社長)
「インドネシアの人々の役に立つ楽しい車を提供していきたい。
 さまざまな要望に応えられるように体制を整えたい。」

一方 インドネシアで先行するのがトヨタ。
去年は43万台を販売し20年以上シェアトップを続けている。
去年3月には第2工場も稼働。
現地での販売だけでなくここで生産した車を中東や中南米へ輸出する拠点にしている。
来年末までにインドネシアからの輸出を2倍に増やしたいとしている。
トヨタは今新たな取り組みも始めている。
現地で深刻化している渋滞への対策である。
都市部では車の増加に道路の整備が追い付かず1キロ進むのに1時間以上かかることもある。
このためトヨタは日本政府とともに渋滞の激しい交差点の改善に乗り出している。
整備前の道路は交差点内で車が交錯し激しい渋滞の元となっていた。
整備後は交差点に入る車を制限しスムーズに流れるようにした。
現地の交通事情を改善することで自動車社会の発展を促そうという長期的な戦略である。
(インドネシアトヨタ 福井弘之会長)
「トヨタの持っている“カイゼン”マインドで少しでも渋滞を解消できればと。
 この国と一緒に成長していくことが何かできないかと。」

一方 地道な人材育成を続けることで売り上げを急速に伸ばしている企業がある。
飲料メーカーのヤクルトである。
23年前にインドネシアに進出。
今では年間11億本を売り上げる。
1日500本以上を売るベテランの販売員はお客の懐に入り込み次々と売っていく。
急成長のカギは販売員への徹底した教育にある。
過去の苦い経験がそのきっかけとなった。
進出当初の1990年代は売り方は販売員にまかせっきり。
商品の知名度は上がらず売り上げも伸びなかった。
辞める販売員が続出し売り上げがさらに低迷する悪循環に陥っていた。
(インドネシアヤクルト 上野早苗社長)
「ここでどういうヤクルトレディシステムがうまくいくか
 いろいろやってみよう。
 もう1回やり直しをしようと。」
教育についての考えを改め手間と時間をかけることにした。
販売員になったばかりマエムナさん(25)には教育係が1か月つきっきりで指導に当たる。
「毎日飲めば健康にいいですよ。」
「ゆっくりね。
 よく聞こえないよ。」
実際の販売にも同行する。
「こちらはユディさん。
 やってみて。」
「おはようございます。」
「名前を呼んで。」
「ユディさん おはようございます。」
客との会話が上手く弾まずなかなか商品が売れない。
「たまに買うけど今日はいらない。」
教育用のチェックシートも用意。
・あいさつやご機嫌伺いをする
・顧客を名前で呼ぶ
など30項目を細かく指導する。
「今度はご機嫌伺いをすること。
 まだ社交辞令が少ないね。」
こうした取り組みで売り上げが増え販売員の収入も増加。
辞める販売員は大幅に減少したのである。
(インドネシアヤクルト 上野早苗社長)
「まだ我々がインドネシアで入っていない場所は相当ある。
 今の3倍くらいの売り上げは上がってくるんじゃないかと信じている。」
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「いなし」の心

2014-02-01 16:03:29 | 編集手帳
1月28日 編集手帳

相撲のわざに「いなし」がある。
相手の攻勢を軽くかわす。
力士ならぬ勤め人の土俵では日ごろ、
突っ張りやがっぷり四つよりも「いなし」のお世話になることが多い。

人事であれ、
給与であれ、
会社に抱く不平不満といつも正面からぶつかっていては身がもたない。
子供の寝顔や、
盃(さかずき)にこぼす愚痴や、
趣味の時間や、
それらのありったけを燃料にして、
不満を右にいなし、
左にいなし、
かろうじて日々の土俵を務めているご同輩がほとんどだろう。

冷凍食品に農薬が混入された事件で「アクリフーズ」群馬工場の契約社員(49)が逮捕された。

容疑を否認しており、
動機はまだ分からない。
「給料が安い」と待遇に不満を漏らしていたとも報じられている。
農薬で会社を困らせたところで給料が上がるわけでもあるまいに、
何をどう、
いなしそこねたのだろう。

「五行歌の会」を主宰する草壁焔太えんたさんに、
人生の酸味あふれる歌がある。
〈馬鹿ばかにするな/馬鹿にするな/馬鹿にするな/といい続けて/終わる一生か〉。
十人に聞けば十人がうなずくだろう。
「いなし」の心があれば、
それでも人は明日を生きられる。
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