評価点:62点/2023年/アメリカ/104分
監督:スコット・ウォー
コンセプトを見失った?
リー・クリスマス(ジェイソン・ステイサム)の元を訪れたバーニー(シルヴェスター・スタローン)は、賭けで失った指輪を取り戻して欲しいと依頼する。
しぶしぶ付き合わされたリーは、再びバーニーに来た仕事を手伝うことになった。
それはバーニーにとって因縁の謎の男、オセロットとの取引相手が、核兵器を強奪したというものだった。
再び集結したチームは、その場所リビアをポンコツの輸送機で向かうのだが。
とにかく往年のアクションスターが一堂に会して、ばんばん人を殺していくというアクション虐殺映画の続編。
トレーラー映像からもわかるように、今回は目玉になるようなアクションスターの紹介がない。
それがこの映画のすべてを表しており、上映館数も控えめなものになっている。
本当に見たい人以外は見る必要はない。
見ても新しい発見はない。
映画に、新しい発見を求めない人に向けられた作品だ。
いわば、大盛りの白ご飯をただひたすらに食す、という感じの映画なので、白ご飯に惹かれないひとは、そもそもオーダーするべきではない。
そのご飯には、ふりかけもかかっていない。
なんなら、ほとんど無名の銘柄の炊きたて白ご飯である。
(適当に書いただけだけれど、この比喩、我ながらすごいと思う)
▼以下はネタバレあり▼
アーノルド・シュワルツェネッガーや、ブルース・ウィリス、ジェット・リー、メル・ギブソンなど名だたるキャストがこれまで登場してきたが、今回はそういう紹介がほとんどできない。
なぜなら、すごく微妙なスターしか出ていないからだ。
トニー・ジャーはまだしも、50セントは……アクションスターなの?
もはやこのキャスティングで、アンディ・ガルシア以外に敵対できるヴィランがいない。
もっと他にいなかったのか。
ニコラス・ケイジ、ジョン・トラボルタ、ヴィン・ディーゼル、リーアム・ニーソン、キアヌ・リーブス……まだまだいるだろう。
心躍るキャストが集結できないのに、このシリーズを作ってしまった、そのことが最大のミスである。
どんな筋書きのストーリーを描こうとも、とにかくスターたちが出まくる、そして無駄遣いされていく感じがよかったのに。
トニー・ジャーにしても魅力が引き出されていたとは思えない。
と、ここまででほとんど「白ご飯」であるという意味合いは理解できただろう。
残念ながら期待できるメインとなるおかずはなさそうだ。
であれば、その質の高さを求めるしかない。
この作品でこのシリーズから引退を表明しているスタローンは、冒頭早々に死んでしまう。
あまりにあっけないので、どこまでもウソ臭さが漂うが、物語の最終盤その真相は明かされない。
「いや、ひょっとしたらこのまま死んでいるのか」と疑われたそのとき、その直前まではそれでも映画としておもしろかった。
もしかしたら、白ご飯の中に具材が隠されているかもしれないという期待が持てたから。
けれども、いきなり海に漂うタンカーがミサイルで襲撃されて、「おまえ仲間を呼んだんだな!」とか暢気な黒幕の台詞があり、それでも「一対一で勝負だ」という意味の分からない提案をした日には、もう本当にうんざりしてしまうわけだ。
まずその襲撃に備えるやろ、勝つ気あるんか、というツッコミもまもなく、あえなく蜂の巣にされてしまい、当然のようにバーニーが嬉しそうに登場する。
実は謎の黒幕オセロットに関する資料を引き出すために師を装ったというバーニーの説明があり、しかも死を偽装するために冒頭に出てきた指輪を賭けで奪った男をその身代わりの死体に仕立て上げるという、だれが悪役なのか倫理観を失う真相を話されて、「ちょっとそんな理由であいつ殺した?」とあせっているのもつかの間、エンドロールを迎えてしまう。
大盛りの白ご飯の最後に出てきたのは、【梅干し】でもなく、【おかか】でもない。
むしろ【残飯】くらいの裏切りである。
そもそもそれまでの展開も、退屈極まりなかった。
これまで地上での作戦が多かったこともあり、スポンサーも少ないはずなのにがんばって人里離れた場所でどっかんどっかん殺戮を繰り返していた。
しかし、今回はタンカーの上が主戦場となり、スケール感が一気に矮小化してしまった。
顔のある敵はスアルト・ラフマトただ一人。
ただ殺されるために出てくる敵ばかりだから、とうぜんクリスマス一人であったとしてもまったくハラハラさせられない。
むしろ人質となるような一般人がほとんど今回は出てこないので、誰のために戦っているのかもよく分からない。
箱庭のキンケシで戦わしている小学生の感覚だ。
「絶対に味方はやられない」わけだ。
それもバーニーが本当に死んでいればちょっとは理解できた(既にメンキャラを殺しているのだからこれ以上は殺せない)が、そうでもなかったという茶番に閉口するしかない。
こんな「同窓会」もできないような内輪の飲み会に、2000円も払うことはできない。
まだ続けるつもりなら、もっと驚くような競演者を引っ張ってくるしかない。
(次こそはキャスティングでオーダーするかどうかを決める!)
監督:スコット・ウォー
コンセプトを見失った?
リー・クリスマス(ジェイソン・ステイサム)の元を訪れたバーニー(シルヴェスター・スタローン)は、賭けで失った指輪を取り戻して欲しいと依頼する。
しぶしぶ付き合わされたリーは、再びバーニーに来た仕事を手伝うことになった。
それはバーニーにとって因縁の謎の男、オセロットとの取引相手が、核兵器を強奪したというものだった。
再び集結したチームは、その場所リビアをポンコツの輸送機で向かうのだが。
とにかく往年のアクションスターが一堂に会して、ばんばん人を殺していくというアクション虐殺映画の続編。
トレーラー映像からもわかるように、今回は目玉になるようなアクションスターの紹介がない。
それがこの映画のすべてを表しており、上映館数も控えめなものになっている。
本当に見たい人以外は見る必要はない。
見ても新しい発見はない。
映画に、新しい発見を求めない人に向けられた作品だ。
いわば、大盛りの白ご飯をただひたすらに食す、という感じの映画なので、白ご飯に惹かれないひとは、そもそもオーダーするべきではない。
そのご飯には、ふりかけもかかっていない。
なんなら、ほとんど無名の銘柄の炊きたて白ご飯である。
(適当に書いただけだけれど、この比喩、我ながらすごいと思う)
▼以下はネタバレあり▼
アーノルド・シュワルツェネッガーや、ブルース・ウィリス、ジェット・リー、メル・ギブソンなど名だたるキャストがこれまで登場してきたが、今回はそういう紹介がほとんどできない。
なぜなら、すごく微妙なスターしか出ていないからだ。
トニー・ジャーはまだしも、50セントは……アクションスターなの?
もはやこのキャスティングで、アンディ・ガルシア以外に敵対できるヴィランがいない。
もっと他にいなかったのか。
ニコラス・ケイジ、ジョン・トラボルタ、ヴィン・ディーゼル、リーアム・ニーソン、キアヌ・リーブス……まだまだいるだろう。
心躍るキャストが集結できないのに、このシリーズを作ってしまった、そのことが最大のミスである。
どんな筋書きのストーリーを描こうとも、とにかくスターたちが出まくる、そして無駄遣いされていく感じがよかったのに。
トニー・ジャーにしても魅力が引き出されていたとは思えない。
と、ここまででほとんど「白ご飯」であるという意味合いは理解できただろう。
残念ながら期待できるメインとなるおかずはなさそうだ。
であれば、その質の高さを求めるしかない。
この作品でこのシリーズから引退を表明しているスタローンは、冒頭早々に死んでしまう。
あまりにあっけないので、どこまでもウソ臭さが漂うが、物語の最終盤その真相は明かされない。
「いや、ひょっとしたらこのまま死んでいるのか」と疑われたそのとき、その直前まではそれでも映画としておもしろかった。
もしかしたら、白ご飯の中に具材が隠されているかもしれないという期待が持てたから。
けれども、いきなり海に漂うタンカーがミサイルで襲撃されて、「おまえ仲間を呼んだんだな!」とか暢気な黒幕の台詞があり、それでも「一対一で勝負だ」という意味の分からない提案をした日には、もう本当にうんざりしてしまうわけだ。
まずその襲撃に備えるやろ、勝つ気あるんか、というツッコミもまもなく、あえなく蜂の巣にされてしまい、当然のようにバーニーが嬉しそうに登場する。
実は謎の黒幕オセロットに関する資料を引き出すために師を装ったというバーニーの説明があり、しかも死を偽装するために冒頭に出てきた指輪を賭けで奪った男をその身代わりの死体に仕立て上げるという、だれが悪役なのか倫理観を失う真相を話されて、「ちょっとそんな理由であいつ殺した?」とあせっているのもつかの間、エンドロールを迎えてしまう。
大盛りの白ご飯の最後に出てきたのは、【梅干し】でもなく、【おかか】でもない。
むしろ【残飯】くらいの裏切りである。
そもそもそれまでの展開も、退屈極まりなかった。
これまで地上での作戦が多かったこともあり、スポンサーも少ないはずなのにがんばって人里離れた場所でどっかんどっかん殺戮を繰り返していた。
しかし、今回はタンカーの上が主戦場となり、スケール感が一気に矮小化してしまった。
顔のある敵はスアルト・ラフマトただ一人。
ただ殺されるために出てくる敵ばかりだから、とうぜんクリスマス一人であったとしてもまったくハラハラさせられない。
むしろ人質となるような一般人がほとんど今回は出てこないので、誰のために戦っているのかもよく分からない。
箱庭のキンケシで戦わしている小学生の感覚だ。
「絶対に味方はやられない」わけだ。
それもバーニーが本当に死んでいればちょっとは理解できた(既にメンキャラを殺しているのだからこれ以上は殺せない)が、そうでもなかったという茶番に閉口するしかない。
こんな「同窓会」もできないような内輪の飲み会に、2000円も払うことはできない。
まだ続けるつもりなら、もっと驚くような競演者を引っ張ってくるしかない。
(次こそはキャスティングでオーダーするかどうかを決める!)
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