おそらく私が最も人生で何度も読んだ本が、この「坊っちゃん」だろう。
何度読んでもおもしろい、ということと、なぜか読みたくなるタイミングが訪れるからだ。
今回は夏休み前後で、夏の読書として平積みしてあったのを手に取った。
何度も読んでいるにもかかわらず、結局10年以上読んでいなかったので、懐かしくなったのかもしれない。
まさに漱石らしい、書かれた時代が明治時代だとは思えないほどの軽妙な語り口だ。
小森陽一や石原千秋の影響で、どうしても漱石の小説を読むとその裏にある、語りに隠された何かを読もうとしてしまう。
「坊っちゃん」というタイトル通り、この作品は「清」に対する愛情と悲哀に満ちている。
なぜなら、「坊っちゃん」と読んで語り手の「俺」を甘やかすのは清だけだからだ。
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