評価点:63点/2019年/イギリス/113分
監督:アンドレア・ディ・ステファノ
うそだろ、こんなオチかよ。
元軍人だったピート(ジョエル・キナマン)は、妻に絡んできた男たちと喧嘩になり、殺人犯となる
服役して仮釈放になったが、その道から抜け出すことができずに、麻薬の売人をしていた。
妻と子のことを考えて、FBIと取引し、大物の麻薬組織のボスリチャード・クリメックの逮捕に協力する。
しかし、事前に聞いていた計画と異なる相手が取引現場に現れる。
不自然さを感じたピートは、その相手が刑事であることを看取する。
焦った新人のその刑事は、その場で売人達に殺されてしまう。
麻薬組織のリーダーはピートに激怒し、彼に再び服役していた刑務所に入るように命じる。
妻子の命をちらつかされたピートは……。
アマゾンでおすすめされたので、勢いで見た。
やはりどういうストーリーなのか全く知らずに再生した。
元々は有名な小説が原作で、その映画化である。
「三秒間の死角」という副題は、その原作のタイトルである。
タイトル「informer」とは、情報提供者を意味し、主人公ピートのことである。
クライムアクションで、そこそこ面白い。
あまり期待してみるほどではない。
話題、出来ともにわざわざレンタルするほどではないので、アマゾンで見放題なのはこの作品にとってはよかったのかもしれない。
▼以下はネタバレあり▼
途中まではすごく面白くて、これは名作かもしれないとハラハラしていたが、終盤以降ほとんど見るに値しないほどその期待がしぼんでしまった。
なるほど、状況の見せ方が面白く、中盤までは観客がサスペンテッドな状況に追い込まれる。
情報提供者として麻薬捜査官のFBIに協力するピートは、別の刑事が潜入捜査をしていることを見抜く。
そのまま捜査されてしまうと、自分が犯人として検挙される可能性もある。
巧みに捜査を失敗に追い込もうと説得するが、刑事は逆上し身分を明かしてしまう。
この場面はとても面白く、これを見るためだけにこの映画をみてもいいかもしれないほどだ。
しかし、刑事を相棒が殺してしまい、「警官殺し」の汚名を背負うことになってしまう。
麻薬取引がしにくくなったボスは、ピートに責任を取らせるために、刑務所に入ってそこでのシマを牛耳るように命令する。
妻と子も捕まり、「絶対に戻りたくない」刑務所に、ほとんど捨て身で飛び込むことになる。
入所までのやりとりが非常に長く、丁寧なこともあり、どういう方向性で物語を落とし込もうとしているのか見えなかった。
もしかしたら、入所前に何か劇的な方法で解決させるのかとも思ったが、すんなり入所してしまう。
解決策が見いだせないまま、FBIからも裏切られ、完全に孤立無援になってしまう。
頼りにしていたFBIとのやりとりを記録していたテープまで奪われ、絶体絶命に陥る。
ここまではなんとか面白かったが、これ以降なし崩し的に結構(プロット)が瓦解してしまう。
売人の商売敵からも命を狙われ、身の危険を感じたピートは看守を人質に取り、立てこもる。
この行動にどれくらいの計画性があったのか、わからない。
そして、看守と自分の服装を入れ替えることで、看守のふりをして救出され、救急車に乗る。
同じ救急車に乗り込んだFBI捜査官のエリカ・ウィルコックスを拘束し、逃げてしまう。
次のシーンには、二人のFBI捜査官がやりとりをして、それを盗聴されることで、上司が逮捕、ハッピーエンドを迎える。
この最後までの流れに、必然性がなく、ラッキーだったのか狙い通りだったのかわからない。
ラッキーならラッキーのような演出で描くべきだったが、展開が急で、あたかもそれがすべてピートに予期されていたかのような演出になっている。
だから、結果的にカタルシスが乏しくて、よく分からないままエンドロールを迎えてしまう。
そして蛇足だったのが、エンドロール直前の妻子と再会できなかったというピートの姿だ。
物語として落ち着かないし、もやもやしたまま終わってしまう。
そこまで描くなら、最後にきちんと再会できたことを示すワンシーンをさらに入れるべきだったし、そうでないなら、上司が逮捕されたところで終わっておけば良かった。
観客は安心感を得ることも出来ず、かといって夫婦ふたりのやりとりがそこで完結するわけでもない。
終盤以降、あまりにも都合良く進み、無理矢理はハッピーエンドに仕立てるために、FBI上司を「犯人」に仕立ててしまった印象を受ける。
看守を盾に取ったことは確かだし、大きな騒ぎになったからといって、何の説明もなしに証人保護プログラムによってすべて解決、というのはちょっと無茶だ。
その違和感を払拭するために、ちょっとセンチなラストにしようとしたのではないかとさえ、疑ってしまう。
(あまりにすべてがうまくいったことにするとリアリティが欠如するだろうと考えた?)
そもそも証人保護プログラムにかかったのなら、妻子も一緒に逃がせば良いのに。
妻子はこの町に残って、ピートだけ逃げても、再会すればまた命が狙われてしまう。
それなら、ピートの命を狙う人間をすべて逮捕すれば良い。
ちぐはぐさが拭えないラストになっている。
夜中に見てかなり疲れているところに、すっきりしなラストで余計疲れた。
これだからまた違う映画を見たくなって、というのを繰り返してしまう……。
アマゾンプライムが最大の【売人】なのかもしれない。
監督:アンドレア・ディ・ステファノ
うそだろ、こんなオチかよ。
元軍人だったピート(ジョエル・キナマン)は、妻に絡んできた男たちと喧嘩になり、殺人犯となる
服役して仮釈放になったが、その道から抜け出すことができずに、麻薬の売人をしていた。
妻と子のことを考えて、FBIと取引し、大物の麻薬組織のボスリチャード・クリメックの逮捕に協力する。
しかし、事前に聞いていた計画と異なる相手が取引現場に現れる。
不自然さを感じたピートは、その相手が刑事であることを看取する。
焦った新人のその刑事は、その場で売人達に殺されてしまう。
麻薬組織のリーダーはピートに激怒し、彼に再び服役していた刑務所に入るように命じる。
妻子の命をちらつかされたピートは……。
アマゾンでおすすめされたので、勢いで見た。
やはりどういうストーリーなのか全く知らずに再生した。
元々は有名な小説が原作で、その映画化である。
「三秒間の死角」という副題は、その原作のタイトルである。
タイトル「informer」とは、情報提供者を意味し、主人公ピートのことである。
クライムアクションで、そこそこ面白い。
あまり期待してみるほどではない。
話題、出来ともにわざわざレンタルするほどではないので、アマゾンで見放題なのはこの作品にとってはよかったのかもしれない。
▼以下はネタバレあり▼
途中まではすごく面白くて、これは名作かもしれないとハラハラしていたが、終盤以降ほとんど見るに値しないほどその期待がしぼんでしまった。
なるほど、状況の見せ方が面白く、中盤までは観客がサスペンテッドな状況に追い込まれる。
情報提供者として麻薬捜査官のFBIに協力するピートは、別の刑事が潜入捜査をしていることを見抜く。
そのまま捜査されてしまうと、自分が犯人として検挙される可能性もある。
巧みに捜査を失敗に追い込もうと説得するが、刑事は逆上し身分を明かしてしまう。
この場面はとても面白く、これを見るためだけにこの映画をみてもいいかもしれないほどだ。
しかし、刑事を相棒が殺してしまい、「警官殺し」の汚名を背負うことになってしまう。
麻薬取引がしにくくなったボスは、ピートに責任を取らせるために、刑務所に入ってそこでのシマを牛耳るように命令する。
妻と子も捕まり、「絶対に戻りたくない」刑務所に、ほとんど捨て身で飛び込むことになる。
入所までのやりとりが非常に長く、丁寧なこともあり、どういう方向性で物語を落とし込もうとしているのか見えなかった。
もしかしたら、入所前に何か劇的な方法で解決させるのかとも思ったが、すんなり入所してしまう。
解決策が見いだせないまま、FBIからも裏切られ、完全に孤立無援になってしまう。
頼りにしていたFBIとのやりとりを記録していたテープまで奪われ、絶体絶命に陥る。
ここまではなんとか面白かったが、これ以降なし崩し的に結構(プロット)が瓦解してしまう。
売人の商売敵からも命を狙われ、身の危険を感じたピートは看守を人質に取り、立てこもる。
この行動にどれくらいの計画性があったのか、わからない。
そして、看守と自分の服装を入れ替えることで、看守のふりをして救出され、救急車に乗る。
同じ救急車に乗り込んだFBI捜査官のエリカ・ウィルコックスを拘束し、逃げてしまう。
次のシーンには、二人のFBI捜査官がやりとりをして、それを盗聴されることで、上司が逮捕、ハッピーエンドを迎える。
この最後までの流れに、必然性がなく、ラッキーだったのか狙い通りだったのかわからない。
ラッキーならラッキーのような演出で描くべきだったが、展開が急で、あたかもそれがすべてピートに予期されていたかのような演出になっている。
だから、結果的にカタルシスが乏しくて、よく分からないままエンドロールを迎えてしまう。
そして蛇足だったのが、エンドロール直前の妻子と再会できなかったというピートの姿だ。
物語として落ち着かないし、もやもやしたまま終わってしまう。
そこまで描くなら、最後にきちんと再会できたことを示すワンシーンをさらに入れるべきだったし、そうでないなら、上司が逮捕されたところで終わっておけば良かった。
観客は安心感を得ることも出来ず、かといって夫婦ふたりのやりとりがそこで完結するわけでもない。
終盤以降、あまりにも都合良く進み、無理矢理はハッピーエンドに仕立てるために、FBI上司を「犯人」に仕立ててしまった印象を受ける。
看守を盾に取ったことは確かだし、大きな騒ぎになったからといって、何の説明もなしに証人保護プログラムによってすべて解決、というのはちょっと無茶だ。
その違和感を払拭するために、ちょっとセンチなラストにしようとしたのではないかとさえ、疑ってしまう。
(あまりにすべてがうまくいったことにするとリアリティが欠如するだろうと考えた?)
そもそも証人保護プログラムにかかったのなら、妻子も一緒に逃がせば良いのに。
妻子はこの町に残って、ピートだけ逃げても、再会すればまた命が狙われてしまう。
それなら、ピートの命を狙う人間をすべて逮捕すれば良い。
ちぐはぐさが拭えないラストになっている。
夜中に見てかなり疲れているところに、すっきりしなラストで余計疲れた。
これだからまた違う映画を見たくなって、というのを繰り返してしまう……。
アマゾンプライムが最大の【売人】なのかもしれない。
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