評価点:52点/2001年/アメリカ
監督:ロン・ハワード
2001年度アカデミー賞の作品賞受賞作品。
▼以下はネタバレあり▼
パンフレットの評論家の文章には、「生きることの意味を問い尽くした」とあるが、この映画はそう冠するには少し物足りない。
いい話ではある。しかし全然「巧い」話ではない。
この話が実話を元にしていることは承知している。
完全な実話ではないことも。
同じ角度の緩やかな坂に空き缶を転がしたような展開だった。
ずっと同じペース。
だから、どこの部分を一番見せたかったのかどこの部分が大事なのか、いまいち伝わらなかった。
誤解を恐れずに言うなら「記録映画」だったのだ。
接続詞で表現するなら「そして」の多用。
変人と周りから呼ばれていた数学者のナッシュ(ラッセル・クロウ)は、競争の論理ではなく共存の論理に「勝ち」を見出す。
そして論文が評価され研究者に。
しかし暗号解読に長けていた能力を買われ政府の機密作戦に加担させられるようになる。。。
これが序盤の部分であるが、それがあまりにも長く丁寧にそして疑問なく進むため、その後の「真相」が薄れている。
そこに何らかの伏線や疑問点を与えていないとその真相のほうを疑ってしまい、ストーリーから取り残されてしまう。
そしてそこから立ち直っていく姿が重要であるはずなのに、その部分は少し説明的なシーンの連続でその大変さや苦悩が伝わりにくくなっている。
この立ち直っていくシーンをもっと丁寧に描かないとその苦労が伝わらない。
丁寧に描く箇所を間違っていたのでないか。
やがて最後に功績が評価されるが、それは「問題」を克服したからではなく、学生時代の論文が評価されてのものだ。
つまり、問題を克服しなくても評価はされたのではないかと感じてしまい、どうしても「病気の克服」に対する達成感にかける。
そして最終的な結論は映画を見る前から予想できるほど、陳腐なものだ。
スポコン映画並に読める。
これではさすがに感動できない。「ああ、やっぱりね」である。
話のもっていき方は非常によかった。
しかし「真相」がわかってからというもの、急に、ありきたりでそれでいて感情移入しにくい内容になってしまった。
伏線や暗喩の大切さが改めてわかった。
そしてアメリカの求めているものの理想もよく分かる作品だ。
「クレイジーな奴は要らん!」
「物語はハッピーエンドだ!」
(2002/04/14執筆)
監督:ロン・ハワード
2001年度アカデミー賞の作品賞受賞作品。
▼以下はネタバレあり▼
パンフレットの評論家の文章には、「生きることの意味を問い尽くした」とあるが、この映画はそう冠するには少し物足りない。
いい話ではある。しかし全然「巧い」話ではない。
この話が実話を元にしていることは承知している。
完全な実話ではないことも。
同じ角度の緩やかな坂に空き缶を転がしたような展開だった。
ずっと同じペース。
だから、どこの部分を一番見せたかったのかどこの部分が大事なのか、いまいち伝わらなかった。
誤解を恐れずに言うなら「記録映画」だったのだ。
接続詞で表現するなら「そして」の多用。
変人と周りから呼ばれていた数学者のナッシュ(ラッセル・クロウ)は、競争の論理ではなく共存の論理に「勝ち」を見出す。
そして論文が評価され研究者に。
しかし暗号解読に長けていた能力を買われ政府の機密作戦に加担させられるようになる。。。
これが序盤の部分であるが、それがあまりにも長く丁寧にそして疑問なく進むため、その後の「真相」が薄れている。
そこに何らかの伏線や疑問点を与えていないとその真相のほうを疑ってしまい、ストーリーから取り残されてしまう。
そしてそこから立ち直っていく姿が重要であるはずなのに、その部分は少し説明的なシーンの連続でその大変さや苦悩が伝わりにくくなっている。
この立ち直っていくシーンをもっと丁寧に描かないとその苦労が伝わらない。
丁寧に描く箇所を間違っていたのでないか。
やがて最後に功績が評価されるが、それは「問題」を克服したからではなく、学生時代の論文が評価されてのものだ。
つまり、問題を克服しなくても評価はされたのではないかと感じてしまい、どうしても「病気の克服」に対する達成感にかける。
そして最終的な結論は映画を見る前から予想できるほど、陳腐なものだ。
スポコン映画並に読める。
これではさすがに感動できない。「ああ、やっぱりね」である。
話のもっていき方は非常によかった。
しかし「真相」がわかってからというもの、急に、ありきたりでそれでいて感情移入しにくい内容になってしまった。
伏線や暗喩の大切さが改めてわかった。
そしてアメリカの求めているものの理想もよく分かる作品だ。
「クレイジーな奴は要らん!」
「物語はハッピーエンドだ!」
(2002/04/14執筆)
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