犯罪被害者の気持ち・思いは同じはず。この映画では何とジョディ、最後の一線を越えてしまうことにーーー。
11月9日、MOVX京都にて鑑賞。ニール・ジョーダン監督を自ら口説き落としたジョディ・フォスターの最新作は「ブレイブワン」今回、製作総指揮と主演を兼ねている。
突然の事件によって、主人公エリカ(ジョディ・フォスター)の人生は思わぬ方向へと進む。多分犯罪に巻き込まれて、愛する人や家族を失ったら主人公の思い同様苦しむはずだ。だが、この作品のような行動に出ることが出来るか?心の中で葛藤はあっても多分出来ないだろう。(アメリカ社会では護身用に銃を持っている人が多いので、ちょっと違うかかな?)
結婚目前の幸せな2人に、ある日事件が起こる
STORY
NYでラジオ局のパーソナリティーを務めるエリカ・ベイン(ジョディ・フォスター)は婚約者ディビット・キルマーニー(ナビーン・アンドリュース)との結婚式を間近に控え、満ち足りた日々を送っていた。そんなある日、愛犬を連れて散歩に出かけた2人は、3人組の暴漢に襲われる金銭要求に始まり、殴る、蹴るの暴行口汚い言葉、その様子をビデオに撮ってはしゃぐ。彼らは容赦なく二人を殴り続けた
瀕死の重傷を負ったエリカが病院で意識を取り戻したのは、それから3週間後のことだった。ディビットの母より、彼の死を告げられる悲しみに打ちのめされるエリカ。NY市警の担当刑事が事情聴取に訪れるが、この事件に真剣に取り組もうという意思は感じられず・・・・・・・
退院しても心の傷は癒せない外出しようとしても、あの事件のことが蘇り、恐怖で足がすくむのだ
一向に進展を見せない警察の捜査、被害者へのおざなりな対応、今すぐ身を守るために確かなものが欲しい
そして彼女は一丁の拳銃を手に入れる。
そして最初の銃弾が放たれた
それは偶然入ったコンビニでの出来事。ひとりの男が自分の妻を撃ち殺すのを目撃した。その銃口は目撃したエリカに向けられた殺されてはならないと、エリカはついに引き金を引いた
この瞬間から全てが変わろうとしていたエリカの中に潜む別人が目覚めたような・・・・・
そして次の銃弾は?
それは深夜の地下鉄、車内で恐喝をするふたり組み、脅えた乗客が皆逃げ出した車両にひとり残ったエリカは、ナイフを手に近づいたふたりをためらいなく撃ち殺す現場から走り去るエリカ、自問する。あの時、あの場所から逃げる事できたのに・・・・なぜ?
捜査にあたったNY市警のショーン・マーサー刑事(テレンス・ハワード)は一連の事件は金品目的の犯行ではないと・・・・。それは殺されたものが、いずれも前科者であるとなどから、コンビニと地下鉄の犯人は同一人物と目星をつける
事件発生に、記者たちが押し寄せるその中にエリカの姿があった。マーサー刑事は彼女の暴行事件を聞いていた。彼女が意識不明という状態にまでなった姿を目の当たりにしていたのだ。
後日インタビューしたいと申し出るエリカの申し出に戸惑うマーサー。それがふたりの運命的な出会いとなる
そして三度目の引き金を引くエリカ・・・・・。
男に監禁され、〇春を強要された少女を救いだすために。「犯罪者を裁く正体不明の処〇人」 煽り立てるマスコミに、高まる世間の関心エリカの番組にも、リスナーの声が寄せられる。英雄視するもの、快哉を叫ぶもの、嫌悪感を露にするもの、自分がその犯人だと名乗りをあげるもの等・・・・・。
放送後、エリカは発作的に警察に駆け込んだが・・・・。無関心な対応に自首することをやめる。
なぜ、誰も気づかない?なぜ誰も自分を止めない?もう後戻りできないのか?思い悩むエリカの脳裏に、マーサーの誠実な瞳がよぎる・・・・・。
やり場のない怒りはいつしか、彼女を殺人者にしてしまった・・・・・。恐怖におびえながら、身を守るためとは言え、これでよかったのか?
アメリカの銃社会の状況を垣間見る問題作品だと感じる。日本も最近では、銃による事件が増えつつあるものの、アメリカほどではないが・・・・・。規制があっても現実に起こり始めているわけだから、一抹の不安はないとはいえないよね。
鬼才ニール・ジョーダン監督とジョディ・フォスター
ニール・ジョーダン監督 インタビュー
この映画で、銃文化に触れたかった。アメリカは暴力的な解決方法を選ぶ部分がある。これまでもそうだったが、イラク戦争もそのいい例だ。あれはただの復讐行動。社会的にも、政治的にも意味をなさない。復讐というものに、盲目的に味方する文化なんだ。ヨーロッパ人の僕としては理解しがたいが。
今回、ジョディとの初めての仕事は、ニール・ジョーダンにとって、実現出来て良かったそうだ。過去にある映画の企画でミーティングしたことがあるようだが、結果的に実現せず・・・・。素晴らしい才能を持った俳優なので、いつか機会があれば、一緒に仕事をしたかったと話す。彼女は自分のキャラクターはこうするべきだと決めつけることなく、僕の望むようにやってくれた。
キャステイングは様々な人種の方を起用していることにも、特別な意味はないと話す。アメリカではみんな敏感のようだが。僕はアメリカ人でないので、それが奇妙に感じる。ナビーン・アンドリュースはいい俳優だから起用した。彼は「ちゃんとしたアメリカ英語でセリフを言いましょうか?」と聞いてきたけれど、僕は「君の普段の話し方を変えなくてもいい」といったんだ。お国訛りを持っているのが現実。NYとはそんな街だ。テレンス・ハワードも、いい役者なので、一度仕事をしてみたかったと・・・・。
NYでのロケもすばらしいものだったと語る。NY市長も映画製作を誘致したがってるので、非常に協力的だったそうだ。脚本を読んだ段階で舞台はNYと決めていた。
これまでインディーズ系作品が主流だったニール・ジョーダン監督が大手スタジオ作品を手がけたことへの感想は特にインデーズ系とは変わりないとの答えだった。むしろ、今までこのようなジャンルの作品を作ったことがない事だけに、やりたいという気持ちがあったから、引き受けた。次回作のプロジェクトのうち、ふたつはハリウッド映画だそうで。彼のところに来る段階ですでにスタート準備が整っているのでやりやすいということだそうだ。自分で立ち上げる作品は資金集めをしたり、その他もろもろやらなければならないので、大変でも今後もその作品が面白いかどうかを判断基準で作品を選んでいくつもりだとのこと。
私が観たニール・ジョーダン作品代表作「クライング・ゲーム」(92)、「インタビュー・ウイズ・ヴァンパイア」(94)、そして最近作「プルートで朝食を」(05)
キャスト紹介(簡単ですが・・・・)
ジョディ・フォスター(エリカ・ベイン/製作総指揮) 最近作「インサイド・マン」(06)「フライト・プラン」(05)等
テレンス・ハワード(ショーンマーサー刑事) 「クラッシュ」(04)等
ナビーン・アンドリュース(デイビット・キルマーニ) 「プラネット・テラーinグラインドハウス」 ロドリゲス監督のB級作品に出演していた。
ニッキー・カット(ビター刑事) 何と彼は「プラネット・テラーinグラインドハウス」 ロドリゲス監督作品と「デスプルーフinグラインドハウス」 タランティーノ監督作品の両作品に出演していた。
メアリー・スティーンバージェン(キャロル) TVと映画の両方で活躍しているベテラン女優。私が観た作品ではジョニー・デップ主演の「ギルバート・グレイプ」(93)に出演していたそうです。(記憶にない・・・・?)
ブレイブワン 公式サイト
追記:ニール・ジョーダン監督の言うとおり、銃社会のアメリカにとっては、やられたら、やり返すというのが、当たり前なのだ。まさに復讐での解決方法がベストなのだろうね。ヒーローものが多いのも、お国柄なのかもしれない。