8月になりましたね。猛暑です8月1日、京都シネマにて「マンデラの名もなき看守」という作品を鑑賞してきました。マンデラといえば、南アフリカの初の黒人大統領 ネルソン・マンデラです。彼のことはきっと誰しもが聞いたことがある偉大な政治家のひとりですよね。でもその彼の過去については誰も知りません。そんな彼の自身の人生の知ざれる実話の映画化です。
上映回数が1日2回ということもあってか、ほぼ満席状態でした。2週間だけの上映なので、何とか観たいという気持ちもあり、早速足を運びました。
肌の色や生まれ育ち、宗教などを理由に生まれつき他者を憎む者などいない。
人は憎しみを学ぶのだ。
憎しみを学ぶことができるなら、愛することも学べるはずだ。
なぜなら愛は、人間の本性により自然によりそうものだからだ。
ネルソン・マンデラーー『自由への長い道』
ネルソン・マンデラは大統領になるまで、囚われの身として27年という長い月日を刑務所で過しました。理想の社会を作るために、決して諦めず刑務所の中で運動を続けた。意義深い歳月。その中で秘められた、ある看守との魂の交流を描いたのが本作です。
マンデラと出逢って、美しい魂を取り戻した男のトゥルー・ストーリー
民族の言葉が引き合わせた、マンデラと看守の運命
その男はジェームス・グレゴリー(ジョセフ・ファインズ)。彼は黒人を下等な人間と見なしていた。1968年の南アフリカでは、その見方はごく普通のことだった。この国の長い夜はアパルトヘイト政策から始まった。黒人には参政権、土地所有権はもちろん、家屋の所有や教育の自由さえ許されない。政府は反対制組織を弾圧し、指導者たちをロベン島の苛酷な刑務所に収容した。
看守として島に赴任したグレゴリーは、最悪のテロリストとされるマンデラ(デニス・ヘイスバード)の担当に抜擢される。
妻グロリア(ダイアン・クルーガー)、子どもたちとともにロベン島へ・・・・・。異例の出世を喜ぶグレゴリーはまさかこれがマンデラとの長い長い付き合いの始まりだとは思いもしなかった。
実はグレゴリーが担当になった理由があった。マンデラの生まれ故郷で育ったため、彼らの言葉が分かるということから。秘密の会話を報告しろというのだ。
子を持つ父の想いに共感して、心を通わせた最初の瞬間
任務に忠実なグレゴリーだったが、いつのまにか知性と人間愛に満ちたマンデラに魅了されていくそして彼が目指す平等な社会に憧れていく
マンデラは苛酷な独房にいるような感じではなく、自宅の書斎にいるかのように、いつも堂々と振舞っていた。
マンデラ夫人が面会に訪れる。コーサ語で話された内容は武装戦争の指示や息子の近況、このことをグレゴリーは少佐に報告したため、夫人は逮捕されてしまう。
まもなく、マンデラの息子が事故死。この出来事には、マンデラも心を乱すまさしく、グレゴリーの報告によって息子は暗殺されたのだ。そのことでグレゴリーは胸を痛める。そしてマンデラにコーサ語でお悔やみを伝えた。同じ息子を持つ父として。
看守の心を変えた、マンデラの気高い理想
マンデラは本当に共産主義のテロリストなのか
“白人の常識”に疑問を持ち始めるグレゴリー。マンデラの口から「人種を超えて平和に暮らせる世界」を目指していると聞いて好奇心に駆られ、危険を冒して禁制品である「自由憲章」を手に入れる
ひと目を忍んで憲章を読み込む。マンデラの気高い思想に傾く一方、准尉への昇進をグロリアと喜ぶグレゴリーは2つの世界で危ういバランスを保っていた。
ある日、釈放が近い囚人の元にコーサ語のメモが届く。少佐の指示どおり、そのまま渡すが、国防軍がメモに記されたアジトを襲撃!出所したばかりの男は死亡する。
理想と現実に引き裂かれ、マンデラのもとを去る看守
罪悪感に駆られるグレゴリー
自分の報告によって黒人の命を奪っているのでは??
マンデラの人間性と思想をもっと知りたいという情熱
妻や子どもたちにいい暮らしをさせたいという家族への愛情
そんな3つの心に引き裂かれたグレゴリー
気高く美しい魂に触れた今、汚れた現実には従うことはできないと・・・・・。
1975年のクリスマスグレゴリーの人生は大きく揺れる
きっかけは2年ぶりに再会する妻にチョコのをしたいというマンデラのささやかな願いを叶えたことだった。それが新聞に大きく取り上げられ、大佐は責任を取って転属、グレゴリーは黒人びいきと罵られ、一家は島で孤立する
変りゆく世界の中で、再び巡り逢うマンデラと看守
グレゴリーは転属を願い出るも、言葉の分かる彼を手放したくない少佐に却下される。
遂には辞表を書くことに・・・・・。少佐は妥協案を提示、転属先でマンデラのを検閲するというものだった。そして一家は島を去ることに。
何事もない穏やかな日々が続いた1982年、グレゴリーの息子は看守を勤めながら通信制大学に通っていた。「すべての子どもに教育を」というマンデラの主張に従ったのだ。相変わらずマンデラの拘束は続くものの、世界の状況は変りつつあった。各国のマンデラの長期投獄への反対彼の釈放を求めて経済制裁を取り始める悩んだ政府はマンデラを島からポールスムーア刑務所に移し、グレゴリーはマンデラの直接担当となる。
「傍観者にはなりたくない。歴史のひとこまになりたい」
グレゴリーはもはや、無教養の差別主義者ではなかった。激化する武装戦争、と血を流しながら、まっぷたつに割れる南アフリカ。
黒人びいきの子どもは殺すと脅されるグロリア。
それでも、グレゴリーには未来と希望が見えていた。
マンデラのく瞳の中に・・・・・。
グレゴリーは少年時代、黒人の少年と遊んだことを思い浮かべた。
27年間の投獄生活を終えたネルソン・マンデラ。この後1994年、南アフリカの初の黒人大統領に就任。1999年まで務める。政界も同年に引退、現在90歳でユネスコ親善大使として活躍されている。
キャスト・スタッフ
ジェームス・グレゴリー (ジョセフ・ファインズ)
ネルソン・マンデラ
(デニス・ヘイスバード)
グロリア (ダイアン・クルーガー)
監督: ビレ・アウグスト
感想:ネルソン・マンデラが南アフリカ初の黒人大統領ということしか知らなかった。27年間という長い間、収監されていた事実もまったく知らず・・・・。長きにわたっての運動が実を結ぶまでの間、どのような思いでいたのか?計り知れないくらい凄い根気強さには驚いた。そしてその裏にはグレゴリーという看守の支えがあったとは!マンデラの強い志と看守のヘルプはようやく平和に繋がったわけだ。素晴らしい人間愛のドラマだと思う。残念なことに、グレゴリーは2003年に亡くなったそうだ。
※ジョセフ・ファインズといえば、最近観た「ダーウィン・アワード」ではちゃめちゃな主役を演じていた。この作品とはまったく違うキャラを見事に演じていたのが印象的です。ダイアン・クルーガーの作品は初めて。端正なお顔にうっとりしかも演技も抜群ということで、この作品は、状態ならず、しっかり鑑賞いたしました