箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

4.1生まれの学年は?

2025年04月09日 05時59分00秒 | 教育・子育てあれこれ


意外と知られていませんが、学校教育法で日本の学校では、4月2日から翌年の4月1日までに生まれた子どもが同じ学年になるという定めがあります。


したがって誕生日が4月1日の子は、その学年の中ではいちばん「年下」となります。


これが、ある程度大きくなってからなら、差はあまりありませんが、少なくとも小学校中学年ぐらいまでは、ほぼまる1年の開きはかなり大きなものです。


この年齢の1年の成長の差は大きいです。集団行動ができずに、みんなと同じ行動ができないことがあります。


しかし、親や教師はどの子も同じ学年として、その子をみます。


「なんでみんなと同じにできないの」と親や教師から言われがちになります。


でも、その子にすればできないものはできないのです。


体格ではクラスでいちばん小さい。

一生懸命に走っても、いつもビリになる。

身辺整理についても、ほかの子と同じように片づけができない。


ですから、大人からの「なんでみんなと同じにできないの」は、その子にはこたえます。


場合によっては、自己肯定感が下がってしまい、「どうせわたしなんか・・・」と自信をなくし、意欲が下がってしまうこともあります。


大人は、子どもが小さいときの1年の成長の開きはかなり大きいことを意識して、子育てや教育に、あたるべきでしょう。








少ない女性管理職

2025年04月08日 07時40分00秒 | 教育・子育てあれこれ
企業での女性の管理職登用比は、少し伸びてきていますが、依然として低迷しています。

男性の登用比を1.0としたとき、女性の登用比は、

製造業 0.2以下
卸売業・製造業  0.2
情報通信業 0.25
医療・福祉業  0.35
金融業  0.2程度

以上の通り、低い数字にとどまっています。

2015年に施行された女性活躍推進法で企業の取り組みが義務化され、女性管理職の割合は増加傾向にあるのですが、多くが2割に届いていない現状です。


見かけだけでも女性役職者を増やそうと手っ取り早く係長級に昇進させるのですが、組織の重要な意思決定に関与する管理職までは昇進させていないのが実情です。



経営の中軸を担う部署の管理職は、全国各地の事業所長を経験した男性が占めます。一方、女性の総合職や管理職の多くは、経営への関与が少ない事務系の部署に偏っています。

会社は女性管理職登用の目標数値は定めますが、管理職をめざす女性向けの研修は多くなく、またロールモデルの少ない女性社員はキャリア像を描きにくいのです。


難易度の高い仕事やチームのとりまとめが必要な仕事が男性に割り当てられたり、育児のための短時間勤務で勤務評価を下げられたりする経験が女性のの自己評価を下げています。


企業が本気で管理職への女性登用を進めるには、人材育成や働き方改革を地道に継続するしかないでしょう。共働き家庭が増え、夫婦で家

事・育児を分担することが当たり前となる中、長時間労働や全国転勤を前提としたキャリア形成を見直すことが求められます。




高校でのリモート教育

2025年04月06日 05時40分00秒 | 教育・子育てあれこれ
これまで小中学校では、不登校の児童生徒が自宅などでICTを活用して学習した場合、一定の要件を満たせば校長の判断で出席扱いとすることができましたが、高校ではできませんでした、



そんな折、中央教育審議会のワーキンググループは2023年に、全ての全日制・定時制の高校でインターネットで教室と自宅などをつなぐリモート教育で単位を認めるようにするべきと提言しました。


文科省はその提言を受け、法令を改正して2024年度からリモート教育を自宅で受けている生徒に単位取得を認めました。


不登校生にリモート教育を実施するかどうかは各校で校長が判断できるという制度変更です。



2023年度の全国の不登校生は小学校13万370人、中学校21万6112人、高校6万8770人で、いずれも過去最多となりました。


義務教育ではない高校で生徒が不登校になれば中退や転校などを選ばざるを得ないケースが多くあります。


文科省はリモート教育での単位取得を認め、学習意欲がある生徒に在籍校での学びの継続を促したい考えです。




デジタル教科書を使うには

2025年04月05日 08時30分00秒 | 教育・子育てあれこれ

学校で使う教科書には、2030年度からデジタル教科書が正式に導入される予定です。

もちろん、従来の紙の教科書と同じように検定制度が適用されます。
また、無償で配布されます。

・紙の教科書だけ使用
・デジタル教科書だけ使用
・両方の教科書を使用

その選択肢の中から、自治体の教育委員会が選びます。


ただし、デジタル教科書は、小中学校の英語や算数・数学で既に導入されています。


その知見から、デジタル教科書のメリットがわかってきています。


タブレット端末で、アニメーションや音声が補助してくれますので、授業が理解しやすくなるという効果があります。


画面上で図形を動かして算数・数学の理解を深めることができます。


英語は、何よりも音声が重要になる教科ですので、デジタル教科書は児童生徒の学びの強い味方になります。


児童・生徒が教科書に書き込んだ内容を電子黒板や端末に表示し、おたがいの考え方・意見を交流できます。


しかし、課題もいくつかあります。


一つは、指導者側の問題です。デジタル教科書を授業で使いこなすことができる教員が、まだ多くはいません。


家庭学習への配慮も必要です。家庭の経済状況の格差が、通信環境の違いになり、不利益を被る子どもが出ないようにする必要があります。


視力低下という弊害を生み出す懸念もあります。長時間にわたり画面を見続けることがないよう、指導しなければなりません。


一方、紙の教科書には、その単元の学習全体を見渡すことができるという長所があります。ところが、デジタル教科書は、一点集中になりやすいのです。


また、集中した読解を要する長文などには、デジタルよりも、紙の活字の方が適していると考えられます。 


また、数学の立体図形の授業を参観してわたしが思ったことがあります。


平面図形を移動させるときなど、黒板にマグネットつきの図形を貼り付けて、実物を動かすのは、デジタルで図形を動かす画面より、リアリテイがあります。


デジタル教科書か紙教科書か、どちらかではないのです


両方を使い、お互いの短所をカバーしあえるよう、教員の研修を深めていかなければなりません。


親の意向を無視できない就活のいま

2025年04月04日 06時51分00秒 | 教育・子育てあれこれ


いま就活は空前の「売り手市場」となっています。

昨年10月段階で、3社以上から内定を得た就活生はおよそ4割程度いたほどです。  


そして、近年は就活生の多くが自分の親の意見を重視して就職する傾向にあります。


実際、全国への転勤の可能性があったり、退職金がない企業への入社に、親が反対する場合が多くなり、多くの親が大手企業や公務員への就職をしてくれることを望んでいるようです。


そのように、親はわが子の就職にいわゆる「安定性」を望む傾向が強く出ているのが昨今の状況です。


そのような親の意向を無視できない現況から、企業は内定を出した就活生の親に、「お子さんが入社されますが、よろしいですか」という確認をとります。


また、親に内定式や入社式の出席案内を出している企業も増えています。



というのが、今の就活状況ですが、ちよっとやりすぎでないかと、わたしは思います。


就活生を一人の社会人として認めることが、企業も親も必要でないかと思います。


就活生はもう大人です。本人の自由なキャリア選択を尊重する態度が企業にも親にも求められるのではないかと思います。