ひきこもりは、学校や職場の人間関係でつまずいたり、傷つくなどした自分を守るため家に避難している状態という考え方ができます。
ひきこもりは「甘え」や「怠け」といった世間の偏見にさらされ、「社会から必要とされていない自分は生きていても仕方がない」と思い込まされている人もいます。
また、8050問題の当事者は不安や困りごとがあっても助けを求めようとしない傾向があります。
行政の支援のあり方にも課題があります。
国は全国の都道府県や政令市などに「ひきこもり地域支援センター」という専門の窓口を設置しています。
就労や自立のための訓練を強要するのではなく、社会福祉士や精神保健福祉士らが中心となって相談に応じたりしていますが、本人や家族にその存在や趣旨が思うように伝わっていません。
また、民間の支援団体には、就労を目的化しているようなところもあります。
団体としての成果を上げるため「半年以内に就労しましょう」と期限を設けるケースもあります。
人には「生きたい」という思いさえあれば、本人は自然と自分に合った仕事や生き方を見つけたり信頼できる仲間と出会ったりして、感情を表に出せるようになります。
とはいえ、就労とひきこもり状態を行ったり来たりする人も少なくありません。「いつ戻ってきてもいいから」と言ってくれる伴走者がいれば、気が楽になり、社会への参加を続けようとするのです。