隣の国、韓国は受験競争が日本の比ではないほど過酷です。
子どもは難関大学入学を目指して、学習塾をかけもちします。
親が年に200万円を超える塾代を支出する家庭も珍しくはありません。
収入より教育支出が上回る、「教育困難層」という言葉があるほど、教育熱心な家庭が多いのです。
ここまで過熱するには、それ相当の理由があります。
韓国では、大学を卒業しても3人に1人は就職できません。
くわえて、サムスンとか現代自動車のような大企業に入るのと中小企業に入るのとでは、圧倒的な賃金格差があります。
子どものために、多額の教育投資するのは子どもをもったなら、親の責任という思考回路がはたらき、難関大学→大企業を目指すのです。
子どもをもつとそれほどお金がかかるとなれば、子どもを持つ家庭が当然少なくなります。
その結果、このたび、韓国の合計特殊出生率(1人の女性が一生の間に産む子どもの数)は、0.78という驚きの数字となりました。
日本も少子化が進行していますが、その1.26を大きく下回るのです。
もちろん韓国政府も少子化対策をとってきました。
児童手当をもらう所得制限はありません。2023年からは幼い子を養育する家庭には、多額の補助金を支給します。
しかし、そのお金が教育費の赤字補填に使われることもしばしばです。
また、20歳代の失業率は6%を超えており、平均失業率の約2倍です。
せっかく大学を卒業したのだからという理由で、大企業への就職を望み、就職浪人をする人が多く、失業率を底上げするのです。
また、どこかに就職しても非正規雇用は10人に約4人です。
こうした生活苦のため、若者層は結婚したくともできにくくなります。
その上、女性の就業は男性よりも低く、男女の賃金格差は大きく、日本をもしのぎます。
そうなると、大企業に就職できた女性は「人生のサクセスストーリー」を思い描き、晩婚化・未婚化に拍車がかかります。
30歳代の男女の未婚率は4割を超えています。
新居を持つにも、ソウル周辺のマンション代は高騰していて、とても手が出せません。
以上のような複合的な原因が重なり、ドラスティックに少子化が進行しているのが韓国です。
日本も韓国ほど極端ではないにしろ、世界の「少子化先進国」です。
両国に共通するのは、①子育て・教育にかかる経済的負担が大きい。 ② 若い人を就労面で支える手立てが多くない ③ 子育て面や就労面でのジェンダー格差がある、ということでしょう。
ならば、隣国同士のパートナーシップを発揮して、共通して知恵を出し合い、少子化対策を進めていく。
今の若い人は韓国コスメや韓国グルメ、K-POPなどの芸能に惹かれます。
キムチは抵抗感なく受け入れられ、いまや国内でいちばん食べられる漬物はキムチです。
韓流ドラマをみる人も多いです。
両国の新たな関係が日韓関係の改善を促し、友好関係をさらに深めることができる可能性をもっています。
それが隣国同士の連帯だと思います。