なにごとにもきょうみがあり、箸がこけただけでも笑う子がいます。
しかし、そんな子ばかりではなく、悩みや迷いを引きずっている子もいます。
ときに、中学生は他者にはわかりにくいドロドロとした思いを抱えています。
わたしが出会った中学生の中にも、悩みや迷いを抱き、リストカットを繰り返す子がいました。
多くの場合、リストカットをする子は、死ぬために手首を切っているのではありません。
満たされない気持ち、心にポッカリとあいた空虚感を、「切る」ことで補おうとしています。
「切った」瞬間は、スッとしたと言います。
「自分を傷つけて! 自分の体を大事にしなさい」とおとなは言います。
でも、なんとかギリギリで友だちや世の中と折り合いをつけて生きていることを知って、そう言うのと、知らずに言うのとでは意味がちがいます。
思春期の子の悩みは、これほどまで深く、でも心は柔らかいことがあるのです。
自分が抱える課題を自ら引き受けて、自分の悩みや迷いにつきあい、いつか自分の問題を終結させるのもその子自身です。
おとなができるのは、自立を見通して、その子の力になりたいと願うことなのかもしれません。