私には、学校を経営するうえで常に大切と思っていることがあります。それは三中の教職員が主体的に働くことができるように、校長としてサポートすることです。
たしかに「あれはこうする」「これはこうしなさい」と指示したほうが早い場合もあります。
でも教職員としての成長・力のアップを考えた時には、「あなたはどうしたいのか」「そのためにはどうするのがいいと思うか」と考えさせることが必要です。そして「わたしに何か手伝えることはありますか」と最後に添えます。
このようにして、できる限り教職員の意見を引き出して、本人が主体的に考えて出した答えを尊重しています。(もちろん、即断即決が求められるときは、こちらから「あれはこう、こうしなさい」と指示する場合もあります。)
そして、できるだけその教職員の行動やともなう子どもの様子を見て、あまり細かいことまでは口出しするのを控えます。そのかわり何かあれば最終的な責任は私がとります。成功しても、かりに失敗しても、教職員が主体的に考え、熱心に取り組んだことに対して、本人自身でふりかえりができるようにします。
人はやらされるのではなく、自分で考え、自分で出した答えを実行するときには責任感がともなってきます。そして、成功するから意欲が高まり、自信がついてきます。このような経験を積み重ねていくことが教員としての成長なのです。
ところで、この教員育ては、子育てに似ているのではないでしょうか。
「ごはんの前にお風呂に入りなさい」
「また部屋を散らかしている。片付けなさい」
「塾へ行くまでに、宿題をすませないさい」・・・・
このように、指示すると親としては楽かもしれません。(もっとも、小学生の低学年までなら子どもは親の言うことを聞くでしょうが、中学生にもなるということを聞かないので、かえって親のストレスがたまるかもしれませんが。)
しかし、指示してばかりでは子どもの主体性は育ちません。
「お風呂はいつ入るつもり?(早く入ってくれると助かるけど)」
「この部屋を見て、あなたはどう思う?(お母さんは残念だけど)」
「塾へ行くまでに、何かしておくことはある?(学校の宿題をすませておけば早く寝ることができると思うけど)」 ( )の中の言葉のように、自分の気持ちを添えてもいい。
そして子どもが出した答えを受け入れ、見守るのです。基本的にこのようにして子どもの主体性や実行力は育っていくものだと、私は思います。