箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

仕事で、喜んでもらうこと

2024年05月31日 08時40分00秒 | 教育・子育てあれこれ

世の中には、さまざまな仕事があります。

一つ言えることは、どんな仕事をするにしても、相手に喜んでもらうことがいちばん必要だということです。

大阪府の東大阪市に72歳の女性の小児科の開業医がおられます。

この人は「人情小児科医」と番組では銘打っていました。

テレビの医院の取材で、患者さんの小学生男子が言っていた言葉が印象的でした。

「信頼できる」

この日は、午前中に30人ほどの患者さんがきていました。

みんながたよりにして、子どもを連れてこられます。

この女医さんは、個人で出資して働く親のために病児保育園も開設されています。


仕事を通して喜んでもらえれば、相手から信頼してもらえます。

信頼してもらえらば、新しい仕事を任せてもらうこともあります。



プログラミングに関心をもつ中学生

2024年05月30日 06時36分00秒 | 教育・子育てあれこれ
先日5月3日のブログでは、小学校1年生が将来就きたい仕事について特集しました。

今回は中学生の場合です。



中学生では、男子は、1位「エンジニア・プログラマー」、2位「会社員」、3位「公務員」です。


女子は、1位「先生」、2位「看護師」、3位「パティシエ」となっています。


1位に先生が入っているのは、教員志願者が減っている今日、教育関係者としては、個人的にうれしく思います。


ところで、女子の10位には、「ウェブデザイナー」が入るなど、男女とも情報処理関連の職業が目立っています。


今の時代の中学生だと思います。


文部科学省はプログラミング教育を2020年度に小学校で必修化しました


中学校でも充実が図られています。


また、国はGIGAスクール構想で、小中学生に1人1台のデジタル端末の配備を進めてきました。


エンジニアやプログラマーが人気を集める理由は学校でパソコンに触れる機会が増えたからと思われます。


また、プログラミングを学べるウェブ動画や教室も普及し、関心が高まっているのでしょう。


薄くなったpublic

2024年05月29日 07時12分00秒 | 教育・子育てあれこれ
2010年ごろは、携帯電話はガラケーの時代でした。

そのころの電車内の光景を思い出せば、乗客の様子はバラエティでした。

友だちと話している人、本や新聞を読んでいる人、居眠りしている人など様々でした。

それでも、電車内は公共の場(public)という概念はありました。

しかし、今はほとんどすべての人がスマホの画面を見ています。

それとともに、電車内で話している人が減ったように思います。

車内は結構静かなのです。

そして、多くの人はスマホで自分の世界に没入しているのです。

それとともに、、人びとの中から「公共」という概念が消えていくように感じます。

スマホを見るのは、自分の世界に入り込んで、他者との関係とは無縁の世界にいるのです。


スマホを見ながら、前から人が歩いてきます。

わたしとぶつかりそうになりますが、寸前のタイミングで、かわしていきます。

この場合の私という存在は、ただのよけるべき障害物にすぎないのです。

道路は公共の場。だから自分以外の他者との関係が意識されるので、画面を一人で見つめ歩くのは好ましくないのかもしれません。

でも、いまはたくさんの人が自分の世界に入り込み、このままでは公共という概念は、多くの人から意識されなくなり、消えていくのでないかと思います。



前時代的なやり方では組織はまわらない

2024年05月28日 06時01分00秒 | 教育・子育てあれこれ

わたしの中学時代は、スポーツ根性もののアニメが全盛でした。

困難に出くわしてもへこたれず、自分への試練だと思い、「ど根性」で克服するということに価値が置かれました。

「巨人の星」の主題歌「行け行け飛雄馬」の歌詞は・・・

「思い込んだら、試練の道を 行くが 男のど根性 真っ赤に燃える王者のしるし 巨人の星をつかむまで 血の汗流せ 涙をふくな 行け行け 飛雄馬 どんと行け」

このような根性論が、世の中全体に大きく幅をきかせていました。

部活の練習では、「途中で水を飲んではならない」とどの部でも顧問が生徒に命じました。

スポーツドリンクもない時代で、練習が終わると水道の蛇口からガブガブと水を飲んだのを覚えています。

実際、根性で努力を重ねがんばれば、報われる、出世もできるという時代でした。

昭和時代はそんな価値観が受け入れられ、健在だったように振り返ります。

昭和時代のように、国全体が成長して元気があった頃なら、必要以上に厳しい規律の中でも跳ね返りや個性を伸ばす余地がありました。


でも、いまはそんな時代ではありません。


しかし、取り違えた人は根性論を引きずって、組織や団体を運営し、今でもそれを他者に強いろうとすることがあります。


そうなると、規律を守ること自体が目的化してしまうことにもなります。


どんな組織でも前時代的なやり方を続けているとすぐれた人材が集まらなくなり、衰退していきます。


伝統に甘んじず、今の時代や世界の標準に合わせていかないと生き残れないのです。






相談できる人になる

2024年05月27日 07時19分00秒 | 教育・子育てあれこれ



昨今の学校の教師は、多忙でたくさんの業務を抱えています。

そこで、とかく忙しそうにしているので、子どもの側から「声をかけにくい」「話しかけにくい」という感想をよく聞きます。

それに、「先生に相談したって・・・」という中学生も多いです。

さらに、先生を相談する相手として、はなから教師という存在をとらえていない生徒もいます。

子どもは相談したいことがたくさんあるのがふつうです。

学習のこと、友だちのこと、部活のこと、将来のことなどです。

親さんに相談するのは当然としても、相談相手に教師を選ばない子が増えています。

でも、わたしは教師に伝えたいのです。

困っている児童生徒が、「相談してみよう」と真っ先に思い浮かべる人になりなさい。

それが教師の存在意義だと、わたしは考えています。

いまみ2.3年目の教師が採用される前に、教師の志望動機と抱負を尋ねていくと、「子どもから信頼される教師になりたい」と言っていたのです。

何のために教師になったのか。

初心を忘れずに活躍して欲しいと願います。





タブレット、スマホの長時間の問題点

2024年05月26日 19時40分00秒 | 教育・子育てあれこれ


人は何かを考えたり、創ったりするときに、脳の中でも、「思考の脳」と言われる部分が働きます。

ところが、デジタル機器の小さな画面やモニターで映像とか画像を見続けると、その思考をつかさどる部分の働きが抑えられます。

実際、スマホ・タブレットの使用時間が長い子どもは、家庭学習を長くしても、学力が伸び悩むことが、最近の調査で明らかになりました。


長時間使用していた子どもたちが途中で使用時間を短くしたところ、翌年から学力は向上した。


では、タブレットの学習アプリを使って長い時間家庭学習する子の学力はどうなるのかという疑問がわきます。


これもやはり、タブレットの使用時間が長くなると、学力が伸び悩む傾向が見られたのでした。


国が進めるGIGAスクール構想により、全国の小中学生には1人1台のデジタル端末が配られています。


子どもたちの興味・関心を引き出すためにICT(情報通信技術)の利用は効果的かもしれません。


しかし、脳科学の観点ではデメリットもあると言えます。


家庭へのタブレットの持ち帰りはさせないようにした方がいいのだと思われます。


親は家族のだんらん中にスマホ・タブレットを使わず、子どもとの会話を大切にしたいです。


子どもにスマホ・タブレットを渡してしまえば、そこで会話が止まってしまうのです。


やはり、人同志の交流が大切で、それが学力向上にもつながるのです。






公害病は終わっていない

2024年05月25日 07時07分00秒 | 教育・子育てあれこれ
わたしは中学生のとき、クラスで公害をテーマにした劇を演じました。

脚本は夏休みの間にクラスメイトの女子生徒が創作したものでした。


富山県の神通川上流からカドミウムが流され、その水を飲んだり、魚を食べた人がイタイイタイ病で苦しむというストーリーでした。


イタイイタイ病は、腰や肩、ひざなどの痛みから始まります。 症状が重くなると骨折をくり返すようになるのが特徴で、全身を襲う痛みの中、動けなくなって寝こんでしまいます。 

日本の高度経済成長期当時に重化学工業か発展した負の側面として、四日市ぜんそく、水俣病、新潟水俣病、イタイイタイ病は、日本の四大公害病として、国を挙げて対策を講じる時代の始まりの頃でした。

中学生も高い意識をもっていたように思います。


さて、環境庁は今年の5月1日に、水俣病患者団体と懇談会を行いました。

長年、苦しみ続けた患者・遺族らから、生の声を聞くのが懇談会の目的でした。

ところが、環境省の役人が、各団体の発言時間を3分間に制限した上に、発言中の遺族のマイクをその3分で突然切るという扱いをしました。

公害対策は、国が責任をもって取り組むべき課題です。

環境省の前身の環境庁は1971年、高度経済成長のなかで生み出した公害病、とりわけ水俣病の救済に国が取り組むという意思表示として発足した歴史があります。


だから水俣病は環境省のいわばスタートラインとも言えるものです。


環境省の役人は公害病からの救済に全力をあげるという国家公務員のスピリットは忘れ去られてしまったかのように思えてなりません。


それに、マイクを切ったという事実を事件としてすぐにメディアが取り上げなかったのも、報道側の感覚が錆びついています。


この後、マイクを切ったことへ批判の声が高まり、環境省は1週間後に水俣を再び訪れ、大臣らが謝罪したのでした。


その時点になってやっと事の重大性に気がついたメディアは、よってたかって報道しました。


公害病は50年たった今も終わっていません。


公害病に苦しむ人がいる限り、国の対策は続くのです。






千枚田の復興を

2024年05月24日 07時15分00秒 | 教育・子育てあれこれ
わたしは5年前の9月に石川県輪島市の白米千枚田(しろよねせんまいだ)へ行きました。  

この千枚田は、小泉元首相が「絶景だ」と感嘆したことで有名です。

棚田に茂る稲穂の黄色と海の青色がコントラストになり見事な景色でした。

その千枚田は、今年の元旦の地震で大きな被害を受けました。

棚田があたかも吸い込まれるように、海が棚田に迫っていた景色は、海底が隆起して海が棚田から遠ざかりました。

亀裂が入り、水を張ることができない田がたくさんあります。水路も損傷しました。

それでも、この千枚田を絶やしてはならないという全国からの励ましがあり、少しずつでも復興の道が開けてきました。

2月上旬にクラウドファンディングで修復費用などを募ったところ、約2週間で目標額の1000万円に達したそうです。


最終的には1800万円を超える資金が集まりました。


地元農家らでつくる団体「白米千枚田愛耕会」の人たちは、作業をしながら日常を過ごす喜びを感じておられます。


先のことはまだ見通せないながらも、まずは今年植えた田んぽでおいしいお米を作る希望の光をたよりに奮闘中です。










外見至上主義に思うこと

2024年05月23日 07時16分00秒 | 教育・子育てあれこれ

テレビの番組では、「イケメン」とか「美人」という言葉が当たり前のように、出演者の間で使われています。

また世間では、美肌とか美白の肌を賞賛し、まわりから醜いとか美しくないと言われたくないという価値観が強く若い世代の中に根付いています。

しかし、肌の色は白がいい、黒はダメという打ち出しは、黒人の人が聞いたら「もやっ」とした気分になることに気がついていないのです。

人びとが外見至上主義に走る原因は、わたしはSNSの広がりに求めることができるように考えます。

面と向き合う対面の人間関係なら、あからさまに言葉にできないような表現でも、SNS上では文字にしてつぶやくことができます。

あるきまった美の基準に当てはまらない人に対して、容赦ない攻撃や嘲笑の言葉が書き込まれます。

そのような言葉が溢れると、相手は対面では口にしないだけで、実際は容姿を品定めしているのではないかと、人は他者のまなざしにおびえるようになるからです。

外見を気にかけること、それ自体はよくないことではないでしょう。


他者を見て美しいと思うことや、自分自身が美しさを追求することは自由です。


しかし、その価値観を他人に押しつけることに問題があるのです。


何を美しいと見いだすか、また美しさを求めないことも個人の自由であるのです。


そういったさまざまな価値観を認め合う人間関係が、誰にとってもここちよいはずです。


誰しも無意識に人の外観を評価してしまうことがあるでしょうが、その無意識のなかにある外見至上主義に目を向け、それとはちがう価値観を受け入れる人であり、社会でありたいと思います。














「楽しそうだから」が原点

2024年05月21日 07時28分00秒 | 教育・子育てあれこれ
ダルビッシュ投手が、日米通算200勝を達成しました。

立派な記録を打ち立てられました。

そのダルビッシュ投手が2023年のワールド・ベースボール・クラッシック大会の前のメディアでの取材で話されていたことが、ものごとも向き合い方として、大きな示唆を与えてくれています。

「小さい時、楽しそうだからみんな野球を始めたと思う。その原点じゃないけど、そういうところを分かってほしいなと。ランニングの時もそうだし、投内連係とかゴロ捕球している時もそう。とにかく楽しくやるのが野球だと思うので」



この談話を聞いて、5月19日のブログ「楽しく思えることが続ける秘訣」に通じる点がありました。


小さいときからずっと楽しさを味わうことができることが原点であり、楽しさが持続することが、長く続く秘訣です。

スポーツにしても、絵や楽器演奏、歌唱、書道、華道・茶道、演劇などの文化活動にしても、楽しんだ実感は、それらを長く続ける原動力になります。

ものごとは、多くの場合子どもが他者のおとなの指導を受けて上達していくことも多いです。

その指導はときとして、厳しいことも多いのですが、それでも子どもがイヤにならず、楽しみながらできるように導くこと。


それが大切であることを、ダルビッシュ投手の談話から改めて思います。

指導者による、人格を否定する叱責、体罰、見せしめのような制裁、立場を利用したハラスメントが頻発する今、思うのです。



オーバーツーリズムの問題

2024年05月20日 07時57分00秒 | 教育・子育てあれこれ
最近オーバーツーリズムの問題がよく報道されています。

インバウンドが、引き起こす問題がとりあげられています。

SNS映えする人気スポットに外国人観光客が押し寄せ、「マナー違反」が起きています。

富士山の勇姿を背負って「映える」コンビニの屋根がSNSで話題になり、たくさんの人びとが集まり、車の通る道を横断します。

また、「映えスポット」になった神社では、ゴミがあちらこちらに捨てられたりもしています。

日本人からすればマナー違反に頭を悩ますのですが、外国人への啓発をもっと進め、協力を呼びかけ、日本を観光するマナーの浸透を図らなければなりません。



また、オーバーツーリズムの問題は、学校の修学旅行に及ぼす影響もあります。

人気の観光地、京都や浅草などには、ものすごい数の人が繰り出していて、そのほとんどが外国人ということもあります。

混雑がひどく、散策など歩くのに時間がかかり、時間をきめて組んでいた行程が大きくずれ込み、予定通りいかない。

また、海外への教育旅行についても問題が起きています。

円安、旅行先での物価高、燃料費の値上がりによる航空運賃の高騰、世界的な旅行需要の高まりに伴う滞在費の値上げなどが修学旅行費を押し上げ、保護者負担の増大になるという問題が起きています。

楽しく思えたことが続く秘訣

2024年05月19日 08時22分00秒 | 教育・子育てあれこれ
子どもが大人になってもずっと好きなことを続けるには、秘訣があると思います。

それは、小さいときからずっとその楽しさを味わうことができることです。

スポーツにしても、絵や楽器演奏、歌唱、書道、お茶、お華、演劇などの文化活動にしても、楽しんだ実感は、それらを続ける原動力になります。

しかし、指導者やコーチ、先生などの師匠に怒鳴られ、怒られ、ときには体罰などを受け、つらい思いをした子は、もうやめたいと思い、大人なるまでにやめてしまうのです。


ですから、怒鳴らず、人格を尊重し、はげまし、かりに厳しくしても、できたときにその子といっしょに喜ぶことができるおとなのもとで、こどもは好きなことを続けていけます。

長く続けるには、どれだけ楽しいという思いをできるかが、当たり前のことかもしれませんが、大切なことです。



バラの花

2024年05月18日 06時38分00秒 | 教育・子育てあれこれ
今の時期は、ちょうどバラの花が見頃です。

わたしは校長を定年退職する3月末日に、生徒とその保護者から青いバラの花束をもらいました。

青いバラは長い間、できない・不可能と言われていました。

ところが、20年ほど前に、日本で青い色素をもつバラが創り出されました。

そのときは、世界中の驚きでした。

バラは世界でいちばん古くから栽培され、今も多くの人びとから愛されている花です。

濃い赤色 永遠の愛
暗い赤色 円熟した愛
ピンク色 上品   
桜色   誇り

このような花言葉になります。

世界中で交配が多くされており、毎年数多くの新しい品種が生み出されています。

開花する朝は爽やかな香りがします。

夕方には甘い香りがします。

香水の原料には、朝に摘んだバラの花を使うようです。




子どもの貧困対策が必要

2024年05月17日 06時56分00秒 | 教育・子育てあれこれ
国民の所得(可処分所得)を少ないから多い順に並べ、その真ん中の人の半分以下しか所得がない状態を相対的貧困と呼びます。

その相対的貧困状態にある18歳未満の割合を示す子どもの相対的貧困率は、40年前でおよそ11%でしたが、年をおって上昇して2012年には16%をこえました。

その後、2018年には3%ほど下がり、2021年に11.5%と改善しました。

ただ、ひとり親世帯でみると、半数近くが貧困にあえぐ状況が現在も続いています。

どのような貧困状態なのでしょうか。

親の健康状態がよくなくても、病院を受診しない世帯があります。

朝食を毎日食べることができていない子どもがいます。

それでも、学校があるときは給食があるのでいいのですが、長期休みのときには昼食を食べない子どもが増えます。

学校が楽しくない、行く気がしない、孤独感がある、消えてしまいたい。

そのようなつぶやきが聞こえてきます。


昨年の4月にこども家庭庁が発足しました。


でも、貧困対策というよりは出生率を上げる少子化対策に重点が置かれています。


コロナ禍と物価高騰が加わり、取り残され続ける子どもは絶望の淵にいて、将来に希望をもちにくいのです。


子どもの貧困対策法が施行された2014年から今年で10年になります。


これが、世界有数の「豊かな国・日本」の実態です。


貧困に陥る世帯には、「努力が足りないからでしょう」という世間のまなざしにさらされやすいのです。


しかし、そうではなく、貧困問題は社会のしくみが生み出している問題です。


貧困世帯の子どもが、楽しく学校に通えるようサポートを充実させていかなければなりません。







深刻化する教員志願者の減少

2024年05月16日 07時49分00秒 | 教育・子育てあれこれ
教員採用試験の倍率低下が問題になっています。

2023年度公立学校採用の試験倍率が3.4倍までに低下し、過去最低となりました。

小学校が2.3倍、中学生が4.3倍となり、ずっと下がり続けています。

採用数は高どまりしていますが、長時間労働が世間に認知され、受験者数年が減っているので、倍率が低下するのです。

平成18年度には18万人ほど受験者がいましたが、いまは12万人ほどになっています。

倍率が下がるのは、教員としての資質・能力に課題がある人も合格するという意味で、好ましいことではありません。

やはり、一定の倍率の高さが必要です。

また、産育休や病休で欠員がでたのを埋める代替教育も見つかりにくくなっています。

長時間労働が慢性化し、教育課題が山積し、欠員がなかなか埋まらないという教員不足が深刻になってきています。

労働環境の厳しさを聞きおよび、学校で講師をしながら教諭をめざす大学既卒者も減ってきています。

企業の内定が早まる傾向のなか、来年度から各自治体の教育委員会は教員採用試験のスケジュールを早めて内定を早く出す対策に出ましたが、教員不足には歯止めがきかないようです。


このたび、中央教育審議会の特別部会が教員確保策をまとめ発表しました。

給与の引き上げが行われます。

教員には時間外勤務手当がつきません。

そのかわりに、教職調整手当が長年の間、一律に4%給料に上乗せされ支給されていたのですが、今回10%ごえに引き上げられます。

これに対しては、業務量を減らさず給料だけを上げても、教員の時間外勤務の多さ、多忙は解消されず、働き方改革は進まないという批判が出ています。

でも、わたしはそうは思いません。

①時間外勤務に対する不十分な対価を改善していくことは、やらなければならないこと。

②業務量の縮減もやらなければならないこと。

今回①に着手したのです。

②についてはこれからも働き方改革断行のため、業務量を減らしていく対策を引き続き進めていく。

「業務量を減らさず、給料だけ上げても働き方改革は進まない」というのは問題の核心をついていません。

働く人の時間外勤務に対して手当をつけるのは当然であるので、それが引き上げられ、待遇の改善につながるのです。

今回の教員確保策には、一定の評価がされるべきであり、業務を減らすとか、教員定数を増やすべきという課題とは、切り分けて考えるべきです。