2月22日のブログでは、ファミリーマートの「お母さん食堂」のネーミングが、ごはんを作るのは女性であるという決めつけにつながるということで、インターネット上で反対の署名活動が起きていることを述べました。
この活動に対して、当のファミリーマートの公式見解は次のようなものでした。
「(賛否両論どちらも)貴重な意見として受け止めており、今後さまざまな意見を聞きながら方向性を決定してまいりますが、現在では未定でございます。」(毎日新聞)というコメントを出しています。
ファミリーマートとしては、状況を見ながら判断するというようなゆっくりとした方針でした。
しかし、その一方で同じファミリーマートが、3月27日には、プライベートブランドの女性用下着に「はだいろ」と表示していた商品を自主回収しました。
ベージュという表示にかえ再度販売するそうです。
人種や個人ごとに肌の色はちがうのに、特定の色だけを肌色とするのは問題があるとして、自主的に回収するそうです。
あえてひらがな表記にすることで、幅広い世代にアピールするという戦略だったのを転換しました。
この表記については、社員や加盟店から不適切な表記だという意見が寄せられたそうです。
このように、問題のある表現を見て、人びとがその不適切性を指摘できることは、人間を大切にする感覚が鋭く、意識が高いことの裏返しであり、好ましいことです。
何年か前の日本では、問題にならなかったでしょう。
最近では、クレパスの色表記も、「肌色」を避け、「うすだいだい」と表す時代です。
ファミリーマートのこちらの動きは、スピーディーでした。
この両者を比較して、私が思うのは次のことです。
ファミリーマートの経営陣の本音が透けてみえてきます。
お母さん食堂というネーミングがクレームをつけられるのは言葉狩りだ。一方、はだいろは問題が大きい。
こんな認識のちがいがあるのでないかと、わたしは思います。
ジェンダーの問題と人種の問題に、本来軽重はないはずです。
学校教育で、児童生徒が人権学習をする意味は大きいとあらためて思います。
おかしいことをおかしいと指摘できるのは、それ相当の学習を積んでいくからこそ可能になるのです。