箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

心をのせる

2023年05月31日 08時46分00秒 | 教育・子育てあれこれ

対人関係は簡単でないことも多いものです。

相手に伝わることもありますが、伝わらないこともあります。

相手に自分の話が響くこともありますし、響かず聞き流されることもあります。

わたしは生徒に朝礼や行事の際に生徒に講話をする機会が何度もありましたが、そこから思ったことがあります。

それは、言葉に思いをのせるというか、心から言うと相手に伝わるということです。

そこに、話し手の本心があり、上べだけで話さないということです。

そうすれば、相手の胸に響きます。

東北地震で、自分は助かったけど、津波で母を亡くした女子生徒の実話がありました。

その生徒は、亡くした母にトランペットで「負けないで」の楽曲を吹くという話でしたが、わたしも心をのせて女子生徒のエピソードを話しました。

聞いていた生徒が、「校長先生、今日の話、ジーンときました」と言いにきてくれました。


準備と心構え

2023年05月30日 12時27分00秒 | 教育・子育てあれこれ


中学生に伝えたい言葉があります。

学習にしても、部活にしても「心構え」が大切です。


「偶然は準備のできていない人を助けない。」

フランスの研究者ルイ・パスツールの言葉です。


日々、自分の目的遂行のため、準備したり、研究をしたり、ねらっていることの実現のためのプロセスを地道にたどってきた人がいます。

その心構えのできている人には、ある日、ふと偶然はやってして、チャンスをつかむのです。

その点では、チャンスは準備のできた人にやってくると言い換えることができます。

この準備とか心構えとは心理上のことではなく、実務上のものです。

何度も何度も失敗した人が成功をつかめます。

失敗したことのない人には成功もありません、







生きるに値することを伝えたい

2023年05月29日 08時10分00秒 | 教育・子育てあれこれ

基本的に子どもたちに

「この世は生きるに値するんだ」

ということを伝えるのが、

自分たちの仕事の根幹に

なければならないと思ってきました。





映画監督宮崎駿さんの言葉です。

彼の手がけるアニメのテーマに共通して流れているのは、子どもたちへの熱い想いです。



今の時代、社会は少子高齢化が進んでいます。

環境が悪化しています。

大きな自然災害が多発しています。

経済は停滞しています。

そのような状況のもと、いじめ・不登校、虐待、貧困など困難な教育課題が山積して、子どもたちの将来には閉塞感が漂っています。

子どもたちの中には、生きる希望を見失いがちな子がいてもおかしくはありません。

そのとき、宮崎駿さんの言葉は、子どもたちを勇気づけ、希望の灯をともしてくれます。

学校の教員も、この世は生きるに値するという真実を児童生徒に伝えていきたいと思います。

人の喜びは人それぞれ

2023年05月28日 08時23分00秒 | 教育・子育てあれこれ

私の家は、電車から下車して妙見山(660m)に登る途上沿いに位置しています。

妙見山は山頂に大阪府と兵庫県の県境があります。

最近の時代を反映して、ハイカーや登山者がよく沿道を通ります。

シニアエイジの人たちが多いです。

彼ら/彼女らは、おしなべてモンベルをはじめとするウエアを身につけ、靴はトレッキングシューズをはき、ファッショナブルです。

普段の日常着の人はあまり見かけません。

若い人も、最近では山に登るのをよく見かけます。

健康維持のため全国的にも、多くの人びとが山に登る時代です。


有名な山、高い山、そうでない山がたくさんあります。

山に関しては、次の言葉が有名です。


百の頂(いただき)に、百の喜びあり。

作家であり登山家であった深田久弥さんの言葉です。

この言葉は、山梨県茅ヶ岳の深田記念公園の碑文にも書かれています。

この言葉を聞くと、当たり前のように思うかもしれませんが、実際に山頂へ行くと実感できます。

人の喜びも同じではないでしょうか。

百人いれば、百人の人生の喜び、生きる喜びがあるのです。

ということは、人の生きるうえでの喜びは、その人それぞれであるということでしょう。



個性とは

2023年05月27日 07時43分00秒 | 教育・子育てあれこれ
個性を大切に。

しばしば学校教育の中で言われる言葉です。

30人生徒がいたら、30人の個性があるのです。

たしかに、そうでしょう。

そして、個性を発揮させ、伸ばしていくことが学校教育の役割の一つともいいます。

そして、個性重視は学校だけではなく、いまの社会においても同様です。

個人を尊重する方向に人間関係のベクトルが向かう今という時代にあっては、個性を発揮することに価値が置かれます。

それとともに、「わたしは個性がないから」と気にする人も出てくるのです。

しかし、考えてみたら個性が現れるのは、常に他との比較をしたときです。

だから、他者がいるからこそ自分の個性は個性になるのです。

もし、山奥のポツンと一軒家に暮らしている人がいるなら、多くの人が地域で集住して暮らしているというフィルターを通さないと、その人の暮らしぶりは個性にはならないのです。

多くの人と集住すると、そのうちの一人の暮らしが、他の人たちの暮らしとちがうから、個性的な人とか個性的な暮らしと呼ばれるのです。

つまり周りの人が、ある人の個性を出現させるのです。

ですから、個性は多分に周りの人が生み出すのになるのです。

周りの人が生み出すものである以上、わたしたちは個性がないとかといって嘆いたり、悩んだりする必要もないのです。

個性、個性と「こせこせ」しなくていいということです。

自分の心が語るままに

2023年05月26日 07時26分00秒 | 教育・子育てあれこれ

悲劇のプリンセスと言われるダイアナ妃が遺した言葉に惹かれます。

ダイアナ妃は離婚後、ハンセン病やエイズ支援、地雷撤去の活動に従事しました。

なかには、それらの行動を「偽善」と揶揄する人もいました。

そう言われることに、本人は悲しい思いもしたでしょうが、意に介することなく、世界の人びとに次の言葉をアナウンスして鼓舞しました。



“Only do what your heart tells you.”
  
「自分の心が語ることだけをしてください。」
(Princess Diana)

彼女は最後まで自分の心に正直に生き抜き、多くの人たちの共感を得ました。


人は生きる上で、たくさん悩み、困難にも出会う中で、決断し、選択しなければならないこともあります。

その際、周りの人の反応はどうだろうか、他者との関係や自分の行動の影響を考慮して、悩むこともあるかもしれません。

そのとき、この言葉が羅針盤になります。

最終的には、自分がいい、やりたいと思うことをやるのです。



谷村新司さんの曲「昴」の中にも、励まされる言葉が散りばめられています。

「我はゆく、心の命じるままに ♪ ♬」

若い子や中学生にも、伝えて励ましたい言葉であると思います。




対話すること

2023年05月25日 07時56分00秒 | 教育・子育てあれこれ
人が人にできること。

それは対話です。

ウクライナの戦争や最近の国内で起きている暴力事件などは、「話すこと」をやめたため起きているのではないかと思います。

話せば、わかりあえることもあるでしょう。

でも、話してもわかってもらえないこともあるでしょう。

しかし、話してもわからないとかわかってもらえないと、暴力や武器という過剰な手段に打って出るのが今の時代に顕著に現れています。

そうではあっても、話すことをやめなければ、まったくわかりあえないということはありません。

学校教育は、児童生徒同士の、また教師と児童生徒との対話や話し合いで織りなしていくものです。

このことを今、あらためて再確認したいと思います。


やられる側に立って

2023年05月24日 09時03分00秒 | 教育・子育てあれこれ





やられる側の人間を美しく描きたい。


画家の故丸木位里さんの言葉です。

丸木さんのふるさとは広島でした。

丸木さんは、つれあいの丸木俊さんとともに、大作『原爆の図』を描きました。

丸木さんはつねにやられる側の立場に立ち、作品を描き続けたのでした。

そのことにより、やられる側の人間の尊厳が際立って見えてきます。

ということは、傷つける側の残虐さが浮き立ってくるのです。




今回の広島でのG7サミットでは、原爆資料館を各国の首脳が訪れました。

核兵器廃絶までの議論には進みませんでしたが、わたしは首脳が実際にヒロシマを訪れて被爆者の話(証言)を聞いたこと自体に意義があると考えます。

学校の修学旅行では、児童生徒は実際に現地に行って、やられた側の当事者の話を聞きとることで、平和を願う気持ちを育みます。

その児童生徒から、卒業後も引き続き平和を願う気持ちを膨らませたり、学習を深めたり、平和のための活動をする人になってくれればいい。

修学旅行は、その機会・きっかけを提供するものです。

G7と修学旅行をいっしょにはできないという考えもあるでしょうが、首脳も児童生徒も同じ人間です。

実際に現地へ行き、原爆被害の実相に触れることから、すべては始まるのです。

遠い国から、ヒロシマのことを聞き及ぶだけでは、伝わらないのです。

答えはいつも現場にあるのです。

意見の一つとして

2023年05月23日 07時09分00秒 | 教育・子育てあれこれ

コミニケーションは難しいものです。

簡単な内容なら、話し手の思い通りに聞き手に伝わることも多いでしょうが、複雑な話や話し手の感じたことの場合、聞き手にその通り理解されないことも起こってきます。

人の話をきいて、「それは違う」と返す人がいます。

大切なことは、人の話を頭から否定しないことです。

そういう考えや感じ方もあるのだねと受け止めるのです。

そもそも感じ方や価値観、考え方は人それぞれです。

自分と違うからといって「それは違う」というものではないのです。

これは、角度を変えれば、自分の考え方や感じ方、意見などを押しつけないということも大切になります。

学校で教員から、「こんな場合はどうしたらいいですか」と聞かれたとき、わたしはできるだけ、本人が考えて結論を出すようにしむけます。

しかし、こちらのアドバイスをしなければならないときもあります。

そのようなときでも、相手は経験も年齢もちがうのだから、「あくまで意見の一つとしたら聞いてほしい」と言います。

コミュニケーションは相手がおとなでも子どもでも話し方は同じです。

鯉のぼりに思う

2023年05月22日 05時49分00秒 | 教育・子育てあれこれ


最近では、鯉のぼりをあげる家は少なくなりましたが、田舎の方へ行けば見ることができます。

さて唱歌の「こいのぼり」の歌詞を思い出してみましょう。


やねよりたかい こいのぼり
おおきいまごいは おとうさん
ちいさいひごいは こどもたち
おもしろそうに およいでる

まごい(真鯉)=お父さん

ひごい(緋鯉)=こどもたち 

なぜお母さんは出てこないのと、私は小学生の頃、疑問をもちながらもうたっていたのを思い出します。

歌詞にお母さんが出てこないのは、おそらく当時のジェンダーバイアスを色濃く反映していたからだと思われます。

唱歌「こいのぼり」は、今からおよそ100年前の1920年代に発表されました。

第二次世界大戦前で、日本の家では家父長制度が幅をきかせていました。

父親が家族に対して、絶対的な権力をもっていた時代であり、5月の節句なので子どもは歌詞に取り込みますが、母親を盛り込む視点はなかったのでしょう。

おそらく当時としてはら違和感なく人びとに受け入れられていたのでしょう。


ただし、昭和時代には、家族の中でのお母さんの存在の大きさが広く認識されるようになりました。

そこで、音楽之友社が昭和57年に発行した小学校の音楽の教科書には、2番の歌詞として、あ母さんが出てきます。


やねよりたかい こいのぼり

おおきいひごいは おかあさん

ちいさいまごいは こどもたち

おもしろそうに およいでる



時代とともに、歌詞も変わってくるのです。

ただ、この歌詞にも男子は黒色、女子は赤色というステレオタイプ的考え方が透けて見えてきます。

いま販売されているこいのばりは、多様性尊重の流れを受け、写真のようにブルーやピンクも加わり、いろいろな色のカラフルなものに変わってきています。






横に広げて豊かになる

2023年05月21日 08時00分00秒 | 教育・子育てあれこれ
スポーツをする人や何かの活動を継続してする人がいつか直面するのが、いわゆるスランプです。

継続して続けているのに、成績が伸ぴない、かんばしい成果が残せない。不調がつづく。

本人はおおいに悩みます。

スポーツなら、その種目を続けてきたからこそ、うまくいったり、土壇場での気持ちを経験することができたのです。

人生を豊かにしてくれたのは、そのスポーツだったのです。

スランプに直面したとき、よく「乗り越える」という表現をしますが、それは縦の方法を意識することになります?

そうではなく、スランプに対しては横の方法で対応するのがいいと思います。

つまり、失敗や不調というのは、その人の世界を横に広げて、豊かにするという考え方です。

スランプに押しつぶされそうになる自分と決別して強くなるのではなく、弱い自分を自分と認めて、横の幅を広げていく。

スランプに出会う経験も出会うべくして出会った。それには意味がある。

そう考えることが大切なのだと思います。



一生の中で出会える人

2023年05月20日 07時58分00秒 | 教育・子育てあれこれ

人と人が出会いかかわりあって織りなす活動が学校教育です。


生徒にとって意味のある教師になれれば、教師冥利に尽きるのではないかと思います。

生徒とはそのような出会いをしてほしいと思います。




「ぼくが一生の中で会えるひとにぎりの人の中に、あなたがいました。」


コピーライターの故岩崎俊一さんの言葉です。

人は一生の中で、じつにたくさんの人出会いますが、深い関わりを持つ人や意味のある人と出会うのは、ほんのひと握りになるのではないでしょうか。

そのなかの一人があなただと言われることは、ありがたいことなのです。

ジワーと嬉しくなるキャッチコピーです。

コロナが残したもの

2023年05月19日 07時25分00秒 | 教育・子育てあれこれ
新型コロナウイルスが3年間で残したものは、けっして少なくありません。

その一つに、演劇の変化があります。

私は記憶に残っている最初の演劇を鑑賞したのほ、高校で学校行事として催された劇団四季のミュージカルでした。


演劇とは、本来なら、制作者、演劇スタッフ、俳優、観客が、同じ空間、同じ時間をもって、一体感と一度きりという芸術をつくりあげるものでした。

しかし、コロナ感染の拡大とともに、関係者としては苦渋の選択だったでしょうが、作品を映像化する方向に舵を切りました。

今では、一度きりという芸術を作り上げるという演劇スタイルが戻ってきていますが、一方で映像化という手段が残っていくでしょう。

ただ、考えてみれば、地理的に劇場に行けない人もいます。身体的に行けない人もいます。
その場合でも、家で映像を楽しむことができるというメリットもあります。

コロナが終息しても、演劇の映像化は残っていくと思われます。

不正を悲しむことができる

2023年05月18日 07時22分00秒 | 教育・子育てあれこれ
ウクライナでの戦争、地球環境の悪化などが進行する今、キューバの思想家チェ・ゲバラの言葉が今、鮮やかに色づき出します。


子どもたちに遺した手紙から引用します。


「世界のどこかで誰かが蒙(こうむ)っている不正を、心の底から悲しむことのできる人になりなさい」

私たちは明日生きているかどうかもわからない、不確実な今日をどれだけ自分と向き合って、社会と向き合って生きているでしょうか。

自分の身だけでももてあまし、自分のことで精一杯になりがちな現代です。

それでも、周りの人や他者の苦しみや困難に関心を寄せることができるか。

そのような問題を突きつけている言葉と解釈します。



否定的な思い込みは投げ出す

2023年05月17日 06時36分00秒 | 教育・子育てあれこれ
人はどちらかというと、ポジティブなできごと・情報よりも、ネガティブなできごと・情報にとらわれやすいのです。

だから、ネガティブなことの方が記憶にインプットされやすくなります。

これは、ある意味で自然なことです。

イヤなことや危険なことから身を守ろうとする防衛本能があるからです。

二度と同じ目に合わないように、脳はポジティブよりネガディブな感情を記憶として残そうとするからです。

しかし、それゆえにイヤな思いをしたとかつらい体験をしたら、また同じ目にあうのではないかというトラウマが起きます。

そこで、対処法としては、たしかにネガティブな経験や体験はしたという事実はある。

しかし、事実があるだけだ。

前はそうだったけど、今度はちがうかもしれないと、記憶をリセットするのです。

これを自分に言い聞かせるようにするのがいいと思います。