今から23年前のことです。メイプルホールで落合恵子さんの講演会があり、行きました。そのとき聞き、ずっと忘れないない言葉があります。
「国際化(Internationalization)とは、英語が話せるようになることではない。多くの外国人とつきあえる人権感覚を身につけることです」
私は、英語科の教員で、この言葉はほんとうにそうだなという実感をもちました。そして、いま国際化(Internationalization)が、グローバリゼーション(Globalizatin)に取って代わっても、この落合恵子さんの言葉は色あせるどころか、ますます鮮やかに色づきだし、私たちが意識しておく意味合いを帯びてきています。
グローバリゼーションでは、人やモノ、お金、情報等が国境を超えて行き交いします。いまの子どもたちは、いまの大人以上にこれからも、多くの外国人と日本国内においてさえも出会うことになります。
そのとき、遭遇するのが文化や価値観、考え方のちがいです。そこで、外国人と共生していくためには、おたがいに相手のことを尊重しあい、ともに暮らしていく資質が求められてきます。その基盤になるのが人権意識です。落合恵子さんは20年以上も先のことを言い当てていたのだと思うのです。
では、グローバリゼーションの中での英語の役割とは何でしょうか。それは、コミュニケーションのツールです。もちろん、言語にはその国の歴史背景や文化が一体化している面はあります。それも踏まえてですが、英語を使いこなすことは、あくまでコミュニケーションを促すものです。そのため、英語学習は従来以上にその重要性を増しています。
さて、箕面市では平成27年度(2015年度)4月より小1から英語学習を始めています。小1・2は毎日15分の英語活動、小3からは週に1回の45分の英語学習を加えています。また、中学校では週4回の英語の授業に加え、週1回の英語コミュニケーション科の授業を開始しました。
国はもうすぐ小学校4年生から英語学習を始めるというプランを打ち出しています。しかし、私は、外国語学習は小1の早期から開始するのが好ましいと考えています。
その理由は、できるだけ早期に英語の音に触れ、英語に親しみを持つことが、言語習得上、たいへん大切だからです。「臨界期」というものがあり、だいたい研究者の中では9歳ぐらいがそれにあたると言われています。
9歳になるまでに、できるだけ言語の音声に触れておくと、正しい発音ができやすくなり、かりにその後、学習を離れる時期があっても、英語を聴きとる力や正しい発音が身につきやすく、あとで文字を導入してもスムーズに言語の習得ができやすいのです。
(これは、「日本語も十分でない子が、英語を学んでどうしますねん」という主張を否定するもので、日本語と英語の両方の習得ができるというものです。)
すでに、三中校区でも早期の英語学習の効果は、西南小・南小のおもに低学年の児童に現れ始めています。
英語のDVDを見て、ネイティブのモデルを聞きながら、大きな声で英語の歌をうたい身振り手振りを交えて、1・2年生にしては、かなり難しい発話と思える英語を積極的に話しています。私は4.5年後にこの成果がはっきりと見えてくると考えています。
そして、迎える中学校では、ますますコミュニケーション力を高める英語学習が求められるようになると考えています。
その際、外国人と対等な関係で、相手を人として尊重する意識や態度をもち、英語で積極的にコミュニケーションをはかろうとする中学生でなければならないのは、言うまでもないことです。