せっかく高校に入学したのに、残念ながら途中で退学する生徒がいます。
高校中退率は平成10年(1998年)前後がいちばん多かったのですが、それ以降少しずつ中退率が下がってきています。
これは、全日制、定時制の高校以外に通信制・単位制の高校の数が増加して、さまざまな形態で高校生活を続ける選択肢が充実したからと考えることができます。
それでも、2018年には、高校中退率は多い都道府県で2%を越えています。一番多いのは、沖縄県、次いで鹿児島県となっています。
高校の教員はこの中途退学の課題を、もちろん重く見ていますが、中学の教員も同様です。
「進路指導」をして、卒業させ高校へ進学した生徒が退学したと聞いて、残念に思うと同時に、自らの「進路指導」のいたらなさを思うからです。
「入れる高校に入る」のではなく、その子その子の適性や進路希望などを踏まえ、「入れる高校から入りたい高校」へ進学できるよう、可能な限り導いてきたという思いがあるので、何が足りなかったのだろうと、良心的な教師なら自責の念にとらわれます。
「やめるのは本人の責任だ」という考え方もあるでしょうが、中学側からすればすんなりと受け止めることができません。胸を張って卒業していった生徒が中退する問題を重く受け止めます。
というか、重く受け止めないような教師は、中学校にいない方がいいとまで、私は思います。
高校中退は、次の進路を見つけてくれればいいのですが、そのまま家庭に引きこもる心配につながることもあります。
調査結果によると、高校中退の理由で一番多いのが、「学業不振」ではなく、「学校不適応」です。学習への意欲が足りないとか、人間関係がつくれないという意味であり、わたしはこの人間関係面での不適応が、いちばん深刻な課題だと考えています。
就職したばかりの新入社員は、仕事がわからなく、できないことも多いのですが、先輩社員や組織に教えてもらい、徐々に仕事を覚えていきます。しかし、職場の人間関係につまずくと仕事を辞めていくのです。
ですから、高校中退の課題は、その人の将来の就労にも関係するのです。
この点を見通したとき、子どもは中学校時代に、たくさんの人間関係や豊かな人間関係の中で成長していく必要があります
さまざまな人と交流し、いろんな人と交わることができるような経験を義務教育の中で積んでいくことが求められるのです。
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