色づいた柿の葉に包まれた柿の葉寿司がふるさとから届きました。
若葉の頃の柔らかい黄緑の葉もいい香りですが、まさに柿色に色
づいた葉に包まれた鯖寿司ほど、秋を感じさせてくれる食べ物は
他にないかもしれません。
里古りて柿の木持たぬ家もなし
という芭蕉の句がありますが、ふるさとのわが家の裏にも大きな
柿の木がありました。柿の葉寿司を作るために取ってきた柿の葉
を布巾で拭いてきれいにするのが、小さい頃の私の仕事でした。
それで鯖寿司を包んで、深い木箱に入れ、重しをして1、2日置くと
食べごろです。海の遠い山国の保存食だったんですね。
柿の葉はともかく、柿の実は甘柿も熟柿も吊るし柿も、昔はよく
食べた気がしますが、このごろはあまり人気がないようですね。
あのぬるっとした感じが嫌だという人が多いようです。「ほこたて」
という番組で、改良を加えた柿で、柿嫌いの人が柿好きになるか
どうかで、春香・クリスティーンというスイス生まれの女の子と柿農
家のおじさんが対決していました。結果はおじさんの勝ちでしたが、
作る側も大変です。
柿食へば鐘が鳴るなり法隆寺 正岡子規
柿といえば、やはりこの句を思い出します。