駒込にある女子栄養大学と香川調理製菓専門学校の中に、松柏軒
というレストランがあります。ここは昔伊達政宗の下屋敷のあった
所で、水戸光圀が訪れて、松柏軒という名前を付けられ、このレス
トランはその名前を引き継いでいるのだそうです。そこで和洋の料
理の食事会や実演会が催されていて、11月の「西洋料理を楽しむ会」
に誘われて行って来ました。
食前酒に始まり
アミューズ。生干し野菜の蒸しに塩麹風味。季節感満載です。
今回は干し野菜がテーマで、フレンチながら、和風の出汁を
生かした、繊細絶妙な、それは手の込んだフルコースでした。
フォアグラの大根巻きナージュ仕立て。とても繊細。フレンチとはいえ
和風のお出汁で、あっさり。ナージュというのは出汁で軽く煮ることだ
そうです。大根もこんなに丁寧に調理してもらえたら本望でしょう。
毛ガニと雲丹とフヌイユのクリーム。フェンネルのクリームをトマトの
透明なジュレで覆い、毛ガニと雲丹をのせてディルの葉を飾った一品。
耳から聞いただけでもぜいたくでしょう!すばらしく美味しかった!
スープはポタージュ薬膳仕立て、豚肉の柔か角煮。まさに薬膳。ここまで
来るともうフレンチとは言えないかも。素材そのものの味が出ています。
魚は、鰆のロティ、春菊ペースト、柚子胡椒風味。下に茄子のピューレを
敷いた上に魚の切り身を立て、モロッコ風レモンの塩漬け入りのサラダが
のせられています。うわあ!
ここからがいよいよメイン・ディッシュ。まずお口直しの洋梨のソルベ。
ナマの洋梨を使い、きれいな有田焼のデミタスカップに入っています。
お肉は、アイルランド風仔羊肉の煮込み。いわゆるアイリッシュ・シチュー
ですが、とても洗練されています。
チーズはカマンベールチーズにフランスの唐辛子のジュレ、生フルーツ添え。
デザートは阿波三盆糖のブラマンジェ胡桃ハニーと甘栗のソース、洋梨の
スープ。最後まで凝りに凝っていました。一年分の食のぜいたくを尽くし
たような気分になりました。ここまで行くともう食も芸術です。