柿の葉に鮨を包める母系かな 岡本紗矢句集「午後の向日葵」より
子供の頃、毎年6月の若葉の季節になると、母や叔母が柿の葉に包んだ鯖
ずしを四角い大きな木桶に何段も入れて、押しずしをを作ったものでした。
その頃は、奈良の田舎だけの地方の食べ物だったのに、この頃ではデパ
ートでも売られるほどの全国区になりました。しかも鯖ずしだけじゃなく、
鮭や鯛のおすしまであります。
しかも、秋になるとこんなカラフルな葉で包んだものまで、出まわるように
なりました。味もそれぞれのお店によって違いますが,平均的な、誰にで
も好まれる甘口のものが多くなってきた気がします。昔は保存食なので、
もっとしょっぱかったような。でも、これほど故郷や両親を思い出す食べ
物はありません。魚といっては塩鯖しか手に入らなかった、山深い南朝
末裔の村だったふるさとからのうれしい便りです。
南朝方の村に棲みつき蟇 岡本紗矢句集「午後の向日葵」より