ニ、三日夕空が美しく晴れ渡った日が続いています。
月も美しい。明日四日ごろが満月のようです。徒然草に「長月二十日のころ」
という段があります。今でいえば、十月下旬、ちょっと過ぎてしまいましたが。
「ある人のところを訪れ、その荒れた庭で夜もすがら、月見をしました。やがて
夜明けに退出しましたが、その家の家人は、すぐに家へ入って戸を立ててしま
わず、更にしばらく月を眺めているようでした。なんと趣きのあるお方でしょう。」
というような内容です。
夜もすがら月を愛でるだけでも、今のこのせわしない世の中では珍しいこ
とに思われますが、更にそのあと客人が帰ってからも、月を眺める家人に
その人の人品を感じるなんてねえ、風流ったらありません。風流という言葉
も面白いですね。最初は祭礼の飾り物のことだったのが、みやびやかさとい
う意味になり、さらに上品で優雅な様へと変化したのだそうです。言葉は変わ
っていきます。