キッチン・トランスレーターつれづれ日記

つれづれなるままに日々のよしなしごとを綴ります。本、風景や花や料理、愛犬の写真などをご紹介。

ソールズベリ

2017-11-05 14:24:28 | 季節
                

                ちょうど1年前の今頃、夫と娘とともにイギリスのソールズベリを訪れました。

                   

                英語でいうと「ポッシュなposh」というのでしょうか、ちょっと気取った

                感じのしゃべり方をするベテランおばちゃんガイドに連れられて、ヨ

                ーロッパで2番目に高いというソールズベリ大聖堂を見物しました。

                

                レンガ造りの家々が並ぶ町が秋色に染まって、この上なくシックで、落ち着

                いた美しさが漂うすてきなところでした。でも、その時はストーン・ヘンジや

                バースにも行ったのに、今なぜにソールズベリをと言うと、カズオ・イシグロ

                の「日の名残りThe remains of the day」を読んだからなんです。

                

                

                

                
日の名残り (ハヤカワepi文庫)
Kazuo Ishiguro,土屋 政雄
早川書房

                ソールズベリは「どの通りも広々として風がよく通り、町全体に素晴らしく

                ゆったりした感じを与えていました。」土屋政雄訳「日の名残り」より。

                物語は主人公である由緒あるダーリントンホールの執事スティーブンス

                が自動車旅行に出て初めて宿泊したのがソールズベリという設定です。

                カズオ・イシグロのこの本のおかげで、1年前のソールズベリの風景が蘇り

                ました。もちろん、彼がノーベル賞を取ったということで、ミーハー的な気持

                で読み返したのですが、面白かった!時代遅れで堅物の主人公の一人称

                語りで、自分を弁護、正当化しようと躍起になって弁を弄するのですが、敗

                北感と後悔がどんどんにじみ出てくる。最後には出会ったばかりの老人の

                前で泣いてしまいます。するとその老人が言うんです「、、、後ろばかり振り

                向いているから気が滅入るんだよ。、、、人生楽しまなくっちゃ。夕方が一日

                でいちばんいい時間なんだよ、、、」土屋政雄訳「日の名残り」より。
コメント
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