雨の四国徳島に着き、弘法大師が巡られたという八十八か所の霊場
を巡るお遍路の出発点、霊山寺にまずお参りしました。四国四県全
部巡ると千五百キロにもなるそうです。雨に濡れながら歩いて回っ
ている人にも出会いました。途方もない苦労でしょうね。電車を乗
り継いで、あるいは自動車で、ツアーバスの人もいます。
いろいろな巡り方があるようです。一番札所から巡る順打ち、八十八
番からめぐる逆打ち、どこか一県だけを巡る一国参りなど。私たちは
最初の三寺だけ、三日坊主もいいとこですね。橙色の明かりが温かい
本堂、お釈迦様を見上げる可愛い童子たちの噴水、心和むお寺です。
二番札所極楽寺。
三番札所金泉寺。今回はここまで。かなりの雨でしたが、大勢のお遍路
さんに出会いました。私たちのような半分観光気分の車で乗り付けるよ
うな不信心者でも、何やらありがたい気分になるのは不思議です。
この三寺はどれも近い距離にあるのですが、その中間あたりに
「第九の里」いう道の駅があります。横にドイツ館という立派
な建物があります。第一次世界大戦時、中国で俘虜になったド
イツ人たちを収容した坂東収容所があった場所です。たった三
年でしたが、所長さんが俘虜の人権と自由を尊重する人格者で、
ドイツ人たちも才能豊かな人たちだったので、収容所ではビー
ル、パン、ウィスキーの醸造から演劇、音楽、その他文化活動
も活発に行われ、地元の人々とも親しく交流し、日本で最初に
ベートーベンの第九全曲が演奏されたのだそうです。ドイツ館
には当時の写真や資料がたくさん展示され、感動的です。
館前の庭では、第九の指揮をするベートーベンの像がありました。