祖谷は吉野川の支流祖谷川辺りの山深い地域です。大歩危・小歩危
など一歩踏み間違えれば川底へというような難所だらけ、かつては
日本三大秘境の一つだったそう。平家の残党が隠れ住んだのもなる
ほどと思われる秘境感がありますが、今は道もでき、観光地化して
います。でも、訪れた日は前日に雨が降り、川の水かさが増してな
かなかの迫力でした。
極めつけはかずら橋。猿梨という植物のつるでできたつり橋です。
これは恐い!足元がスケスケで、はるか下の川底が見え、足が竦み
ます。連れて行った犬の冬君は、最初の二、三歩頑張ったのですが、
四本とも足を橋げた(というより、棒状のかずら)に突っ込んでし
まい、夫が高所恐怖症も何の、決死の覚悟で抱いて渡り切りました。
今では観光に行ってキャアキャア面白怖がっていますが、昔は、こ
んな橋を日常渡って生活していたのですね。
祖谷渓の断崖絶壁に小便小僧の像があります。覗くと、二百メート
ルしたに谷底が。ゾクゾクっとします。何でこんなところで?ここ
の道を作った作業員や旅人が、度胸試しにおしっこをした(ほんと
に?)のが由来で、この地の出身の彫刻家が作ったのだそうです。
山深い祖谷の断崖の上で、谷底を覗きながら昼も夜もおしっこを
している。こっけいなような、あわれなような、こわいような、
でも何故か美しい光景でした。