★ベルの徒然なるままに★

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映画『6才のボクが、大人になるまで。』

2014年12月16日 | 映画鑑賞記
今日も映画の感想を♪

こちらも、先週の木曜日、『ゴーン・ガール』を見た日と同じ日に見て来ました。
映画『6才のボクが、大人になるまで。』の感想です(*^^*)

父、母、娘、息子。
4人の家族を、4人の俳優が12年間演じ続けた作品・・・ということで、予告編から、とても興味を持っていました。

って、凄くないですか!!
12年の歳月をかけて、撮り続けた映画ですよっ。

同じ俳優さんが、何年も何年も家族を演じ続ける~~という作品なら、日本にも、そういうドラマはありますよね。まあ、お茶の間で最もポピュラーなのは、『渡る世間は鬼ばかり』とか? 私は、見たことないですが・・・。あの作品も、確か、初期の頃は、えなり君が、凄く小さなお子様だったのですよね~。

でも、日本のドラマの場合は、「シリーズもの」として、毎年毎年放映されたりして、見る側も「ああ、また、このシリーズね」・・・という感じで、お馴染みの番組として認識していますよね。

しかし、しかしですよ。

この映画の凄い所は、12年かけて撮影し、それを、166分の一つの映画として作り上げていること!!

12年ですよっ。

12年かけて、一つの作品を作り上げる。

これは、監督さんにとっても、映画に携わったスタッフさん達にとっても、そして、演じ続けた俳優さん達にとっても、凄い事だったのではないかなぁと思います。

それだけに、物語に深さを感じました。


■映画『6才のボクが、大人になるまで。』




映画のポスターにもなってて、また、予告編冒頭にも出て来る、6才の可愛い男の子。

この子が、この物語の主人公・メイソン。
冒頭では、こんなに小さな男の子だったのですが、12年という歳月をかけ、物語が進み、そして、彼も成長し、物語のラストでは高校を卒業し、大学に入る18才になっています。

そう思うと、なんだか、映画・・・というより、彼の成長記録ムービーのようにも感じられるのですが、でも、この作品はまさに「ある家族の軌跡」という作品でして。
何か、物凄いドラマティックな出来事があったりする訳でもなく、ただ、淡々と、普通の日々の生活・人生が描かれて行くわけです。

なので、余計に、家族の記録ムービーのように感じるのだと思います。

でも、それこそが、この映画の素晴らしい所なのですよね。

うん。

普通、映画と言えば、私達が普通に生活している中では体験できないような、ドラマティックな非日常を体験することが多いと思います。

燃え上がるような熱い恋愛だったり、世界を股に掛けた大冒険だったり、巨悪な犯罪と戦ったり、殺人事件に遭遇したり、はたまた、怖~い霊体験をしたり・・・等々等々。

でも、この作品は、そういう激しいドラマティックさはありません。

ヒューマンドラマなのですが、12年の歳月をかけているので、淡々と少しずつ少しずつ映画の中で時が過ぎていく・・・って感じかな。

そういう意味では、ヒューマンドラマとしても、少し地味さはあるかもしれません。

だけど、その、「ありふれた日々」っていうのが、見て居る側にも、映画の中の登場人物を身近に感じさせてくれるっていうか。
あたかも、この家族が、自分の知り合いのような、そんな気持ちにさせてくれました。




このお話、物語は、主人公のメイソンが6才からスタートします。

メイソン君の家族は、父親のメイソン・シニアと、母親のオリヴィアと、姉のサマンマ。
4人家族です。

でも、両親の仲は・・・ちょっと悪そう。

というのも。

彼のお母さんは、まだ、学生の時に、姉のサマンマを予定外に妊娠してしまい、結婚。
本当は、大学院に進学し、就きたい職業も有ったのですが、それらすべてを諦めて、母親業に専念する訳ですね。
まだまだ若くて、勉強したいことや遊びたいことも色々あったのに、それらを封印して、一生懸命子育てをしているのですが。夫であるメイソン・シニアは、まだ、若い所為もあるのか、完全に父親になりきれていない様子。

そのため、夫婦の衝突が絶えず、結局は離婚。

子供達は、母親に引き取られ、定期的に父親と会う・・・という生活に変わります。

そして、お母さんのオリヴィアは、再び、大学に進学し、諦めていた自分の夢に向かって、勉強を始めるのでした。

更に、進学先の大学で知り合った、教授と付き合うようになり、再婚。
教授も離婚歴があり、ちょうど、メイソンやサマンサと同じくらいの年ごろの姉弟が居て、彼らは、一気に、6人家族になるのでした。

新しく出来た姉弟とも、仲良く過ごしていたメイソン達ですが、その教授が、段々、重度のアル中になり、子供達を虐待するようになってきます。

妻のオリヴィアにも暴力を。

とうとう、オリヴィアは、メイソンとサマンサを連れ、逃げるように家を出るのでした。

その時、同じように、アル中の父親から暴力を振るわれていた、教授の連れ子達は、置いてけぼりになってしまい、どうして、彼らのことも一緒に助けないんだ!とメイソンたちから責められるオリヴィアでしたが。
法律的にも、自分の子であるメイソンとサマンサしか、連れ出すことは出来なかったのだ・・・と残念そうに言うオリヴィア。

メイソンとサマンサは、新しい姉弟達や、また、学校の友達とも、ちゃんとお別れを言う間もなく、何も持たず、着の身着のままで、新しい生活を始め、転校先に行かなくてはならなくなるのでした。
また、新しい生活の始まりです。


そして、またまた、月日は流れ、オリヴィアは大学院を卒業し、大学で教鞭を取るようになります。

この頃には、サマンサもメイソンも、ハイスクールくらいかな?
大きくなってます。

実の父親のメイソン・シニアも再婚し、新しい家庭を築いています。


オリヴィアは、二度目の再婚をし、メイソンたちも、またまた新しい生活に。

ティーンエイジャーになった、メイソンは、自分の進路や恋に悩み~~~。


・・・という感じの家族の軌跡。


166分と言う長い映画ではありますが、でもでも、作品の中では、時間がどんどん過ぎていきます。

その時間の経過は、別に、字幕が出て来る訳でもないのですが、その時代時代の流行などで分かるようになっているのですよね。

それも、また、面白い。

物語の冒頭では、メイソンは、『ハリー・ポッターと秘密の部屋』を好んでいました。

でも、オリヴィアが再婚した頃には、『ハリー・ポッターと謎のプリンス』の発売イベントに、熱狂的に参加していましたものね。

はたまた、オリヴィアと共に、アル中の教授の家から出た時は、子供たちはWiiで遊んだりしていましたし。

その後は、オバマ大統領の選挙があったり。

また、メイソンが高校生になって来ると、iPhoneを使っていたり。

わざわざ、○○○○年って、字幕が出なくても、時代と、それに合わせた子供たちの成長が分かっていくのも面白かったです。




決して、円満な家庭ではなかったメイソンとサマンサ。

幼くして実の父親と別れなくてはいけなかったり、突然、新しい姉弟が出来たり、はたまた、新しい父親がアル中になって虐待されたり・・・。

考えてみれば、大人の勝手な都合で、苦労をしてきた子供時代だったと思います。

でも、そんな中で、悩んだり、もがいたりしながらも、ちゃんと大人になっていくのですよのね。

メイソンもサマンサも、時には、ちょっーとワルくなっちゃったりしている時も有りましたが。

だけど、最終的には、ちゃんと自分の道を見つけていく。

それは、やっぱり、お母さんのオリヴィアが一生懸命に生きていたからなのかもしれないなぁって思いました。

お母さん、いつも、「必死」って感じだったのですよね。

まだまだ遊びたい盛りの若い頃に結婚。
そこで、子育てなどを放棄してしまう母親だって世の中には存在しているだろうに、彼女は、「責任」を感じて、懸命に母親で有り続けていた。

そして、自分の夢を実現させるためにも、また、経済的に安定する為にも、再度、進学し、母親業と勉学を両立する。

新しい夫がアル中になってからは、子供たちを守るためにそこから逃げ出し、新たな生活を築き上げていく。

そしてそして、念願である大学教員になってからも、自分の道と、子供たちの事を真剣に見つめ続けている。

本当に、いつ見ても、「一生懸命」、「必死」、という感じで。

彼女も、人一倍苦労したんだろうなぁって思うと同時に、そんな懸命なお母さんの姿が、子供達にもちゃんと伝わっていたのではないかなぁと思いました。

そういえば、映画を見て思ったのですが、このお母さんの台詞で、「responsibility」という単語がよく耳に付き、印象的でした。「責任」という意味の単語ですね。

彼女は、何事に対しても、自分自身にも、他人にも、子供達にも、「責任」を持って向き合う人だったのではないかなぁと思いました。

人生でどんな選択肢を取っても、「責任」を持って生きていく。

そこがオリヴィアの凄いとことなのかなぁって。

とはいえ、とはいえ、メイソンたちを見て居ると、親の都合で色々と振り回される子供たちは、少し、気の
気の毒な気も・・・。

だけど、それは、子供の力ではどうすることも出来ないですし・・・ね。

自分の置かれた環境の中で、やはり、メイソンたちも必死だったのではないかなぁ。



そしてそして。

時間が経てば、人も変わって行きます。

メイソンたちの実の父親である、メイソン・シニア。

彼も、とても良いお父さんではあったのですが、なかなか、大人になりきれていない部分もあったのですよね。
一緒に暮らしていない分、子供達に対しては理解のある、良い父親なんだろうけど・・・どこか地に足のついていない感じが否めなくて。

でも、そんな彼も、新しい恋人が出来て、再婚し、赤ちゃんが生まれてから、随分、変わったなぁと思いました。

地に足の着いた、現実的な人間になったっていうか、ね。

それを端的に表していたのが、彼の乗っていた車じゃないかなぁ。

彼は、ずっと、ビンテージカーに拘って乗っていたのですよね。

で、その車を、息子のメイソンが16才になったら、あげるんだ~とも。

だけど、再婚し、子供が生まれたら、そのビンテージカーを高額で買い取ってくれるというマニアに売って、そのお金で、チャイルドシート等がセッティングできる、ファミリータイプのワゴン車に買い換えていた。

「あの車は、僕が16才になったら、くれるんじゃなかったの?」

って、ちょっと不満そうだったメイソンでしたが。

その不満は、車が貰えなかったことだけではなくて、実のお父さんが、少し変わってしまったことへの寂しさからくるものでもあったのではないかなぁって感じましたです。

勿論、メイソンやサマンサにとっても、彼が父親であることには変わりはないけど。

でも、新しく赤ちゃんが生まれたことで、その子の父親にもなっていく。

今までの自分達の知っていたお父さんとは、少し変わって行くような気がして、寂しかったんじゃないのかなぁ。




本当に、12年と言う歳月は、小さな子供が大人になるという年月だけでなく、大人もまた、変わって行くものなのだなぁとしみじみ思いました。




そういえば。

オリヴィアの助言で、学校に通うようになったという外国人の男性が、ラスト、立派になって出て来たのも良かったですね。

「貴女は私の恩人です」

と言っていた外国人の男性。

最初に出て来た時は、英語もちゃんと話せなかったのに・・・。
オリヴィアの、「貴方は頭が良いから、学校へいくべきよ」という言葉に従って、学校に行き、レストランのオーナーだったか、店長だったかになっていましたね。

こうやって、年月を経て、人は、色んな道を歩み、変わって行くんだなぁって。
で。その中には、色んな出会いや別れがあって。
それが、自分の人生に深く関わっていくこともある・・・。

この外国人の男性のエピソードを見て、そう思いました。




物語のラストで、メイソンは高校を卒業し、大学へ進学。

母親の元を巣立っていきます。

色々と苦労をしてきて、その時その時は必死だったオリヴィアでしょうが、いざ子供が巣立っていけば、それは、ほんの一瞬の出来事だったのではないでしょうか。。。。

いつも、テキパキとしてしっかりしていた彼女の涙は、胸に来ました。


「12年」の重さでしょうかね。



物語の冒頭では、ほんの小さな男の子だったメイソンが、大学生に・・・。

その成長をずっと見てきた私も感無量になりました。

本当に、「家族の記録」という雰囲気の映画なのですが、それだからこそ、感情移入が出来て良かったと思います。


私達が過ごしているこの時間。
一瞬一瞬に「無駄」なんてなくて、どの瞬間も大事なんだろうなぁって思える、そんな作品でした。