昨日の日記にも書きましたが、麻耶雄嵩さん著の『螢』、読み終わりました。
典型的なクローズド・サークル・ミステリ。
私の大好きな設定です。
面白かったですよ~っ。
物語は、というと。
季節は7月半ば。
大学のオカルト研究会の学生達6人が、京都と福井の県境の山奥にある、ファイアフライ館という洋館で、合宿を行うのですね。
かつて、有名なバイオリニストが別荘として建てた洋館なのですが、ちょうど10年前、そのバイオリニストは突如発狂し。
館に泊まっていた楽団のメンバー6人を皆殺しにして、自分もそのまま館に引き籠り、警察に発見された直後に衰弱死した・・・という、とんでもない惨劇の起こった現場。
呪われた館だぁぁぁ(>_<)!!
その後、手付かずで荒れ放題になっていたこの洋館を、若くして財を成したオカルト研究会のOBが買い取り、そして、当時の趣向を忠実に再現して別荘として使っているのです。
で、先輩の別荘であり、惨劇の現場でもあるファイアフライ館に、オカルト研究会の大学生たちが泊まりに来るわけですよ。
当時の趣向を忠実に再現し、血痕等はそのまま残してある・・・というなんとも悪趣味な館で、肝試しをしたり、オカルト論について意見を戦わせたり~~~として過ごすはずの合宿だったのですが。
一夜目が明けると・・・その館の持ち主である、大学のOBさんが刺殺体で発見!
折しも、外は大豪雨。
山奥ゆえに、携帯電話も圏外。
固定電話は、線が切られている。
そして、豪雨によって、麓の街に向かう橋が寸断。
ファイアフライ館は完全に陸の孤島となってしまうのですね。
しかも、道が寸断されているということは、OBさんを殺した犯人は、まだ館に潜伏しているのではないか?
あるいは、サークルのメンバーの誰かが犯人であるのか??
皆が疑心暗鬼になる中、館内では、奇怪な出来事が続いたり・・・。
という感じです。
『そして誰もいなくなった』みたいに、ひとり、またひとりと殺されて行くのかなぁ?とも思っていたのですが、そんなことはなくて。
思っていたより、事件はゆっくりと進んでいきました。
わたし的には、「驚愕の結末」と煽っているほど、犯人やトリックに関しては驚かなかったかぁ~。
・・・という訳で。
ビミョーにネタバレ感想です。
このお話、普通に読み進めていくと、主人公・・・というか、物語の「語り手」について、登場人物の「ある人」だな~って思わせる描き方なのですよね。
その一方で、サークルメンバーとして参加しているはずなのに、影が薄いというか、ほとんど描写の無い、存在感皆無な登場人物も1人居て。
で。
私は、最初、語り手・・・つまり主人公視点の章と、もう一人、全く存在感の無い人物視点の章が変わりばんこに描かれている・・・と思って読み進めていたのです。
そして、犯人はおそらく、その存在感の無い人物であろう・・・と。
でもでも、でもでも。
語り手=主人公視点に、ずっと「?????」と思う描写がチラホラ見受けられるようになってくるのですよね。
最初は、時系列が違う?とも思ったりしてたのですが、決定的となった会話のシーンが物語中盤に出てくるのですよ。
というのも。
そのオカルト研究会のメンバーで、その冬に、連続女性惨殺事件の被害者となって亡くなってる子がいるのですが。
その女の子が、主人公・・・と思われていた人物のカノジョだったのですよね。
これは物語冒頭からちゃんと書かれていることで。
そして、そういう事情を知らない1年生が、合宿開始時に、「オカルト研究会のメンバーが殺人事件の被害者になったのって、廃墟巡りや幽霊屋敷探検ばかりしている呪いじゃないんですか?」みたいな不謹慎なことを言って、先輩たちに叱られるのですよ。
「彼氏だった人間が居るんだから、その気持ちも考えろ!」
って。
それなのに。
その当の本人、彼氏だった語り手(と思われる)人物に対して、「亡くなった先輩とは親しかったのですか?」って1年生が訪ねるシーンがある・・・。
????
おかしいぞ???
館到着時に、「彼氏だった」っていう会話があったハズなのに???
ん???
と思い。
結構、最初の方に戻っては読み返し、戻っては読み返しを繰り返してしまいました。
すると、今まで、「語り手」だと思っていた人が本当に「語り手」なのかなぁ?と疑問に思えてきて。
・・・これ以上は、ネタバレになるので言えませんが。
「?????」という違和感が、そのままトリックのキーだったのです。
そしてそして。
もう一つ、この物語には大きな仕掛けがしてあったのですよね。
実は、こちらもいくつか違和感を感じていたのですが、その違和感の真相は見抜けませんでした(>_<)
く、くやしいぞぉ。
というのも。
この合宿、紅一点で、女子大からの参加者が居るのですよ。
居るにも関わらず、なぜか、お風呂の描写で気になる事があったのです。
このファイアフライ館は、元々、楽団の奏者達が使っていて、当然、楽団には女性もいるため、お風呂も男性用と女性用の二つがある・・・ってハッキリと描写してあったにも関わらず。
読んでいると、なにやら、二つあるお風呂の内、ひとつは使って無さそうな感じだって。
なぜ、女性がいるのに女性風呂が使われてないんだろう?っていうのはずっと疑問だったのです。
でも、あまり深く考えず、女性も1人しかいないし、水道代やガス代が勿体ないから、ひとつのお風呂しか使わず、時間帯をズラして使っていたんだろう・・・って勝手に思い込んでました。
が。
なるほど。
これは、こういうトリックだったのですね!
こちらのトリックはビックリしましたですよ。
実に、「やられた~><」っ感じです。
てか、本当に女の子なのかなぁ?とか思ったりとしていたのですが・・・でも、最初の登場人物一覧に「女子大生」って書いてありますし。
なるほど。
これは、読者が騙されていたというより、登場人物達が騙されていたという感じでしょうか?
実に新鮮でした。
そういえば、綾辻行人さんの館シリーズにも、似た感じのトリックがありましたよね。
でも、あれは、読者が騙されてるパターンだったかな。
うーん!
こちらのトリック、気付きたかったですっ!!
・・・という感じで。
色々推理しながら、とても楽しく読みました~。
面白かったです!!
久しぶりに本格推理を読みましたが、やっぱり、推理小説は面白いです、大好きです。
そうそう。
このお話、終わり方がかなり怖かったです。
そのエピローグにも、色々、解釈がありそうですね。
「生き残りは誰か?」という点で。
以下、完全なネタバレ注意ですが。
私は、生き残りは、紅一点の参加者、千鶴ちゃんだと思うのです。
というのも。
新聞記事では、館の持ち主のサークルOBと、具体的に大学名が挙がって学生の遺体と、そして、身元不明の女性の遺体があったということですが。
身元不明の女性というのは、連続女性惨殺犯「ジョージ」の被害者ではないかと思うのです。
物語中で「フミエ」と呼ばれていた謎の女性ね。
例え、偽りの学生証でも、弟の学生証な訳ですし・・・千鶴が身元不明とは考えられない。
よって、生き残りは千鶴だと、私は思うのですが。
でもでも、ネットを見てみると、登場人物の苗字に因んでの推理をしている方もいらっしゃるみたいで。
さて。
どっちなのでしょう(^m^)
私は、千鶴が生き残り説に一票(^o^)/
でも、こうやって謎を残して物語が幕を閉じ、そして、読後、その謎について読者が色々な解釈をする・・・これも、作者さんの思惑通りなのかもしれませんね。
そして、読後に色々と、謎についての解釈を考える・・・これもまた、ミステリの醍醐味なのだと思うのです。
典型的なクローズド・サークル・ミステリ。
私の大好きな設定です。
面白かったですよ~っ。
物語は、というと。
季節は7月半ば。
大学のオカルト研究会の学生達6人が、京都と福井の県境の山奥にある、ファイアフライ館という洋館で、合宿を行うのですね。
かつて、有名なバイオリニストが別荘として建てた洋館なのですが、ちょうど10年前、そのバイオリニストは突如発狂し。
館に泊まっていた楽団のメンバー6人を皆殺しにして、自分もそのまま館に引き籠り、警察に発見された直後に衰弱死した・・・という、とんでもない惨劇の起こった現場。
呪われた館だぁぁぁ(>_<)!!
その後、手付かずで荒れ放題になっていたこの洋館を、若くして財を成したオカルト研究会のOBが買い取り、そして、当時の趣向を忠実に再現して別荘として使っているのです。
で、先輩の別荘であり、惨劇の現場でもあるファイアフライ館に、オカルト研究会の大学生たちが泊まりに来るわけですよ。
当時の趣向を忠実に再現し、血痕等はそのまま残してある・・・というなんとも悪趣味な館で、肝試しをしたり、オカルト論について意見を戦わせたり~~~として過ごすはずの合宿だったのですが。
一夜目が明けると・・・その館の持ち主である、大学のOBさんが刺殺体で発見!
折しも、外は大豪雨。
山奥ゆえに、携帯電話も圏外。
固定電話は、線が切られている。
そして、豪雨によって、麓の街に向かう橋が寸断。
ファイアフライ館は完全に陸の孤島となってしまうのですね。
しかも、道が寸断されているということは、OBさんを殺した犯人は、まだ館に潜伏しているのではないか?
あるいは、サークルのメンバーの誰かが犯人であるのか??
皆が疑心暗鬼になる中、館内では、奇怪な出来事が続いたり・・・。
という感じです。
『そして誰もいなくなった』みたいに、ひとり、またひとりと殺されて行くのかなぁ?とも思っていたのですが、そんなことはなくて。
思っていたより、事件はゆっくりと進んでいきました。
わたし的には、「驚愕の結末」と煽っているほど、犯人やトリックに関しては驚かなかったかぁ~。
・・・という訳で。
ビミョーにネタバレ感想です。
このお話、普通に読み進めていくと、主人公・・・というか、物語の「語り手」について、登場人物の「ある人」だな~って思わせる描き方なのですよね。
その一方で、サークルメンバーとして参加しているはずなのに、影が薄いというか、ほとんど描写の無い、存在感皆無な登場人物も1人居て。
で。
私は、最初、語り手・・・つまり主人公視点の章と、もう一人、全く存在感の無い人物視点の章が変わりばんこに描かれている・・・と思って読み進めていたのです。
そして、犯人はおそらく、その存在感の無い人物であろう・・・と。
でもでも、でもでも。
語り手=主人公視点に、ずっと「?????」と思う描写がチラホラ見受けられるようになってくるのですよね。
最初は、時系列が違う?とも思ったりしてたのですが、決定的となった会話のシーンが物語中盤に出てくるのですよ。
というのも。
そのオカルト研究会のメンバーで、その冬に、連続女性惨殺事件の被害者となって亡くなってる子がいるのですが。
その女の子が、主人公・・・と思われていた人物のカノジョだったのですよね。
これは物語冒頭からちゃんと書かれていることで。
そして、そういう事情を知らない1年生が、合宿開始時に、「オカルト研究会のメンバーが殺人事件の被害者になったのって、廃墟巡りや幽霊屋敷探検ばかりしている呪いじゃないんですか?」みたいな不謹慎なことを言って、先輩たちに叱られるのですよ。
「彼氏だった人間が居るんだから、その気持ちも考えろ!」
って。
それなのに。
その当の本人、彼氏だった語り手(と思われる)人物に対して、「亡くなった先輩とは親しかったのですか?」って1年生が訪ねるシーンがある・・・。
????
おかしいぞ???
館到着時に、「彼氏だった」っていう会話があったハズなのに???
ん???
と思い。
結構、最初の方に戻っては読み返し、戻っては読み返しを繰り返してしまいました。
すると、今まで、「語り手」だと思っていた人が本当に「語り手」なのかなぁ?と疑問に思えてきて。
・・・これ以上は、ネタバレになるので言えませんが。
「?????」という違和感が、そのままトリックのキーだったのです。
そしてそして。
もう一つ、この物語には大きな仕掛けがしてあったのですよね。
実は、こちらもいくつか違和感を感じていたのですが、その違和感の真相は見抜けませんでした(>_<)
く、くやしいぞぉ。
というのも。
この合宿、紅一点で、女子大からの参加者が居るのですよ。
居るにも関わらず、なぜか、お風呂の描写で気になる事があったのです。
このファイアフライ館は、元々、楽団の奏者達が使っていて、当然、楽団には女性もいるため、お風呂も男性用と女性用の二つがある・・・ってハッキリと描写してあったにも関わらず。
読んでいると、なにやら、二つあるお風呂の内、ひとつは使って無さそうな感じだって。
なぜ、女性がいるのに女性風呂が使われてないんだろう?っていうのはずっと疑問だったのです。
でも、あまり深く考えず、女性も1人しかいないし、水道代やガス代が勿体ないから、ひとつのお風呂しか使わず、時間帯をズラして使っていたんだろう・・・って勝手に思い込んでました。
が。
なるほど。
これは、こういうトリックだったのですね!
こちらのトリックはビックリしましたですよ。
実に、「やられた~><」っ感じです。
てか、本当に女の子なのかなぁ?とか思ったりとしていたのですが・・・でも、最初の登場人物一覧に「女子大生」って書いてありますし。
なるほど。
これは、読者が騙されていたというより、登場人物達が騙されていたという感じでしょうか?
実に新鮮でした。
そういえば、綾辻行人さんの館シリーズにも、似た感じのトリックがありましたよね。
でも、あれは、読者が騙されてるパターンだったかな。
うーん!
こちらのトリック、気付きたかったですっ!!
・・・という感じで。
色々推理しながら、とても楽しく読みました~。
面白かったです!!
久しぶりに本格推理を読みましたが、やっぱり、推理小説は面白いです、大好きです。
そうそう。
このお話、終わり方がかなり怖かったです。
そのエピローグにも、色々、解釈がありそうですね。
「生き残りは誰か?」という点で。
以下、完全なネタバレ注意ですが。
私は、生き残りは、紅一点の参加者、千鶴ちゃんだと思うのです。
というのも。
新聞記事では、館の持ち主のサークルOBと、具体的に大学名が挙がって学生の遺体と、そして、身元不明の女性の遺体があったということですが。
身元不明の女性というのは、連続女性惨殺犯「ジョージ」の被害者ではないかと思うのです。
物語中で「フミエ」と呼ばれていた謎の女性ね。
例え、偽りの学生証でも、弟の学生証な訳ですし・・・千鶴が身元不明とは考えられない。
よって、生き残りは千鶴だと、私は思うのですが。
でもでも、ネットを見てみると、登場人物の苗字に因んでの推理をしている方もいらっしゃるみたいで。
さて。
どっちなのでしょう(^m^)
私は、千鶴が生き残り説に一票(^o^)/
でも、こうやって謎を残して物語が幕を閉じ、そして、読後、その謎について読者が色々な解釈をする・・・これも、作者さんの思惑通りなのかもしれませんね。
そして、読後に色々と、謎についての解釈を考える・・・これもまた、ミステリの醍醐味なのだと思うのです。