『タコ社長のにんげん観察日記』というメルマガ。
いつもは、お腹を抱えて笑っちゃうような ♪♪♪
それでいて、身につまされるようなお話が多い。
でも、今回は、とっても素敵でした。
『天使の返却』というタイトルです。
リンクしたので、
是非読んでみてください。
素敵な感性の子どもと、
そのお母さんのお話です。
う~ん、私が そのお母さんだったら、
どうするかな・・・?
リンクのところは最新号だけのアップ、ということなので、
読めない方のために――、
こんなお話です。
****************
第644話 天使の返却、の巻
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
東京メトロ丸の内線荻窪駅であります。
この荻窪駅は始発でありますが、
昼間のホームは閑散としております。
タコが乗り込んだ車両には、
幼稚園児くらいの男の子とお母さんだげが乗っていた。
「お花、きれいね、
アジサイっていうんだよ」
「・・・・・」
男の子は薄紫のアジサイの花を、
掬い上げてきたように両手に載せている。
「ノブアキが拾ってよかったね。
ウチに持って帰って飾ろうね。」
男の子は黙って、
手のひらのアジサイをジッと見つめていたが、
「今日はいいことあったね、ついてるね」
と、お母さんが言うと、
「いいことじゃない!」
と怒り出した。
「このアジサイさん、、、泣いている」
と口をへの字にして、
自分まで今にも泣き出しそうだ。
彼の手のひらに包まれたアジサイのひとかたまりは、
確かに「アジサイさん」ともいうべき、
薄紫色をした天使の頭部のように見えてくる。
「どうして泣いているのかな?」
お母さんは察したように、
ノブアキ君に聞いてみる。
「みんなと離ればなれになったんだ、
だから、ぼく、
家に持って帰るのはいやだ」
感受性の高い子供である。
「あらーきれいねー」と言うが早いか
ボキッと手折って、
涼しい顔をして持ち帰るそのへんのおばちゃん、
と、えらい違いだ。
「どうしようか?」
お母さんのこの一言に、
ノブアキ君の顔がアジサイより明るくなる。
「さっきのところ!」
そして、両手から「アジサンさん」をこぼれ落とさないように
お尻を左右に何度もずらしながらシートを降りると、
改札に向かう階段をもう駆け上がっていた。
「フッ、、、」
お母さんは小さいため息をついたが、
「・・・・・ま、いっか」
と、リセットしたように呟き、
階段を上っていった。
丸ノ内線池袋行きの電車は、
ノブアキ君のお母さんが纏っていた、
仄かな香水の香りだけを乗せて発車したのでした。
●本日の教訓
子供が育つのは、自我を尊重してあげた時。
●本日のアドバイス
引き返すことが無駄でないこともあります。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【 編集後記 】
なかなか出来ないことだと思いましたよ。切符を買って乗車したのに、子供の
「わがまま」に付き合うのですから。でも、お母さんはこのわがままが嬉しかった
に違いありません。
梅雨の晴れ間のような有難い気持ちになれる風景でした。
いつもは、お腹を抱えて笑っちゃうような ♪♪♪
それでいて、身につまされるようなお話が多い。
でも、今回は、とっても素敵でした。
『天使の返却』というタイトルです。
リンクしたので、
是非読んでみてください。
素敵な感性の子どもと、
そのお母さんのお話です。
う~ん、私が そのお母さんだったら、
どうするかな・・・?
リンクのところは最新号だけのアップ、ということなので、
読めない方のために――、
こんなお話です。
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第644話 天使の返却、の巻
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
東京メトロ丸の内線荻窪駅であります。
この荻窪駅は始発でありますが、
昼間のホームは閑散としております。
タコが乗り込んだ車両には、
幼稚園児くらいの男の子とお母さんだげが乗っていた。
「お花、きれいね、
アジサイっていうんだよ」
「・・・・・」
男の子は薄紫のアジサイの花を、
掬い上げてきたように両手に載せている。
「ノブアキが拾ってよかったね。
ウチに持って帰って飾ろうね。」
男の子は黙って、
手のひらのアジサイをジッと見つめていたが、
「今日はいいことあったね、ついてるね」
と、お母さんが言うと、
「いいことじゃない!」
と怒り出した。
「このアジサイさん、、、泣いている」
と口をへの字にして、
自分まで今にも泣き出しそうだ。
彼の手のひらに包まれたアジサイのひとかたまりは、
確かに「アジサイさん」ともいうべき、
薄紫色をした天使の頭部のように見えてくる。
「どうして泣いているのかな?」
お母さんは察したように、
ノブアキ君に聞いてみる。
「みんなと離ればなれになったんだ、
だから、ぼく、
家に持って帰るのはいやだ」
感受性の高い子供である。
「あらーきれいねー」と言うが早いか
ボキッと手折って、
涼しい顔をして持ち帰るそのへんのおばちゃん、
と、えらい違いだ。
「どうしようか?」
お母さんのこの一言に、
ノブアキ君の顔がアジサイより明るくなる。
「さっきのところ!」
そして、両手から「アジサンさん」をこぼれ落とさないように
お尻を左右に何度もずらしながらシートを降りると、
改札に向かう階段をもう駆け上がっていた。
「フッ、、、」
お母さんは小さいため息をついたが、
「・・・・・ま、いっか」
と、リセットしたように呟き、
階段を上っていった。
丸ノ内線池袋行きの電車は、
ノブアキ君のお母さんが纏っていた、
仄かな香水の香りだけを乗せて発車したのでした。
●本日の教訓
子供が育つのは、自我を尊重してあげた時。
●本日のアドバイス
引き返すことが無駄でないこともあります。
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【 編集後記 】
なかなか出来ないことだと思いましたよ。切符を買って乗車したのに、子供の
「わがまま」に付き合うのですから。でも、お母さんはこのわがままが嬉しかった
に違いありません。
梅雨の晴れ間のような有難い気持ちになれる風景でした。