日本美術に造詣の深い山下裕二氏の講演会が益田のグラントワで開催されました。みるみる会員の房野さん、澄川さん、金谷さんが出かけてお話を聴いたようです。房野さんにレポートをお願いしたところ、早速に届きましたので、お届けします。
10月3日(土) 島根県益田市で、山下裕二氏の講演があり、聞きに行ってきました。実は、この講演、「雪舟サミット」のイベントの一つだったんですね。そうとは知らず、会場のグラントワに足を運ぶと、劇場と美術館の複合施設でもあるこの建物の中庭では、お祭りをやっていて、にぎやかでした。
「雪舟サミット」とは、あの、水墨画で有名な画聖「雪舟」ゆかりの6自治体(島根県益田市、岡山県総社市、井原市、広島県三原市、山口県山口市、防府市)が共同で「雪舟を活かしたまちづくりをしよう」というもので、もう、15回にもなるそうです。へ~そうだったんだ!
雪舟の研究者でもあり、幅広く美術界でご活躍の山下氏の話がこんな田舎で聞ける、ということに驚きました。地元ではそのありがたさを知ってか、知らずか、(私の周りでは全く話題になっていませんでしたが)会場の席はかなり埋まっていました。平均年齢はすごく高めでしたけれど・・・。地元はもっと、宣伝したらよかったのにな~!残念!
さて、山下氏のお話は山水長巻を中心に、画像を見ながらのフランクで楽しい内容でした。500年以上前の巻物なのに、かなり保存状態がいいということですが、「16mもあるので、広げるのも大変だったんでしょう」と山下氏は笑いをとっていました。年に一度、山口県の防府に行けばみられるそうです。私はまだ見たことがないので、一生に一度は必見!ということで、いつか肉眼で見てみたいです。
そういえば、以前、みるみる代表の春日さんが山下氏へ「対話型鑑賞に適した日本美術はないだろうか?」という質問をメールしたところ、「恵可断臂図(えかだんびず)」を紹介くださり、その後、みるみる会員で、中学校美術の鑑賞授業に取り入れた、というご縁もあります。 いや、ほんと、この絵は何の情報も与えなくてもすごく盛り上がるんですよ!詳しくは、以前のみるみるブログをご覧くださいね。
また、私が住んでいる益田市は、故、竹下登総理大臣の「ふるさと創生一億円」で、雪舟の「益田兼堯(ますだかねたか)像」
(画像参照http://www.iwami.or.jp/sessyu3/3_sakuhin/sakuhin/sakuhin.htm)を購入し、市のお宝にしています。山下氏は「これも国宝になってもいいのではないか。まあ、でも、雪舟だけでもう6つも国宝があるからなぁ。」なんて、おっしゃっていましたが(*´з`)
この「益田兼堯」のゆかりの地元のお寺「萬福寺」「医光寺」のお庭も実は雪舟の作庭と伝えられています。私たち益田市民は、幼いころから雪舟のことを親しみを込めて「雪舟さん(・・)」と“さん付け”で呼んでおり、山下氏の著書にも確かそのことが触れられていたような・・・・。
ともあれ、山下氏の「雪舟愛」にあふれたお話が聞けて、ハッピーな休日でした。
みなさま、益田においでの際は、雪舟さんゆかりの場所をぜひ訪ねてみてください。
房野さん、ありがとうございました。最後の方で、「慧可断臂図」の紹介のくだりに触れられていますが、この作品は本当にみるみる会員の中学生対象の対話型鑑賞に欠かせない宝物になりました。今回来県されると言うことで、出かけてお会いしたいところだったのですが、所用で叶わず、残念でした。でも、出身も呉の方なので、中国地方は地元・・・。また、お目にかかれる日まで、会員みんなで「慧可断臂図」の実践を積み重ねたいと思います。