ART COMMUNICATION IN SHIMANE みるみるの会の活動報告

島根の美術教育関係者が集まって立ち上げた対話型鑑賞の普及に努める「みるみるの会」の活動情報をお知らせするブログです。

こども美術館の構造を生かしたり 浜田の情景を描いたりした 2作品を鑑賞しました

2024-08-04 19:45:31 | 対話型鑑賞

浜田市世界こども美術館「海とあそぶアート展」鑑賞会

美術館HP   https://www.hamada-kodomo-art.com/

日時:2024年7月21日(日)11:00~12:00   

1作品め:「はじまりの森」〜虹色の雨〜  関野宏子 吉竹宏泰 作

ファシリテーター:嶽野志乃

参加者:一般参加者(60代男性)1名  みるみる会員3名   計4名

 「(作品が)ずっと長く続いている。どこまで続いているのか。」という発言からスタートしました。その後は、作品について見つけたものやそこから思うことなどが続きます。

〈参加者の発言より〉

 ・廊下の奥まで続いている

 ・ヘビのようである

 ・カラフルな色から元気をもらえる」

 ・長い形やカラフルな色(虹色)からヘビを連想させる。虹は昔ヘビの化身と言われていた

 ・長いものがところどころ形が変形しているのは、変化やここからの成長を感じさせる

 ・天井近くにある白いモノは、形や柔らかそうな感じから雲のようである。チャックでどんどん繋げていけ 

  そうだ。

 ・カラフルな糸がぶら下がっていて、雨のようだ。その先に木でできた葉のオブジェがある。よく見るとリ

  ンゴやドングリの形もある。

 その後は、”繋がり、連鎖、作品の世界観”などモチーフから考えることなどの話題が増えてきました。

 ・奥にあるオブジェもかわいらしい

 ・そのオブジェは長いヘビのようなものがつながっている先にある

 ・神様を例えているのでは

 ・ぶら下がっているヒモにも目がついていてかわいらしい

 ・かわいくユーモラスに表現して親近感がある

 ・奥のオブジェも可愛らしく作ってある。ほんわかした感じ

 ・ジブリのようである

 ・奥の壁に山のようなものがある。そう考えると床に表現してある模様は川の流れのように見える

 ・廊下は川の流れのように演出している。その両脇に樹に見立てたオブジェがある。奥には海の波を体感で

  きる作品が展示してあり、その先は海をテーマにした展示コーナーである

 鑑賞の後半になって、作品の全体像を全員で共有できたように感じました。

 ・もし、この展示会場でなかったら(廊下や照明等の制約がなかったら)、制作者はどのように表現しただ

  ろうか?」など、最後は制作者の意図や思いについても話題になり、鑑賞会を閉じました。

(みなさんの発言をまとめてみました)

 ・長く続くモノ→自然界での水の流れや命の循環

 ・カラフルな色、形→生命力、多様性、進化や変化、増殖(子孫繁栄)

 ・展示の構成→連鎖、自然界の関係性

 ・かわいらしい表現→親しみ、子ども達も好きそう

(ファシリテートを終えて)

 長く続くモチーフから鑑賞が始まりましたが、私は「奥にあるオブジェ(座っているヘビのようなモチーフ)から会話が始まるだろう」と予想していたので、少し驚きましたし新鮮でした。どこまで続いていくのか?みんなで移動しながら鑑賞してもおもしろかったかもしれません。モチーフの色や形、構成などから様々な意見が語られ、それが積み重なって今回の解釈につながったように思います。しかし、もっと鑑賞者の思いや考えを深堀りできる問いかけや対話ができれば良かったなと思います。

 参加者の皆様の発言を大切にして、表情や雰囲気を感じ取りながら全体の流れを方向づけたり進めたり…とファシリテートは忙しいなと思いますが充実感がありました。鑑賞者の皆様に感謝です。ありがとうございました。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

2作品め:「瀬戸ヶ島」  ディビット・スミス 作

ファシリテーター:嶽野志乃

参加者:一般参加者5名(60代男性2名、女性1名、80代女性1名、90代女性1名)

    みるみる会員3名   計8名

 対話型鑑賞があることを館内放送していただくと、5名の方が参加してくださり、とても嬉しかったです。最初に、対話型鑑賞について簡単に説明しました。「参加者の皆さんで一つの作品を見て、思ったり気づいたりしたことを話したりお互いに聞いたりしながら鑑賞を楽しみましょう。」

 しばらく作品を見る時間を取った後、前列の男性が挙手してくださいました。「まるでゴッホみたいです

」「どのあたりからですか?」「なんだか色の感じが」という話題から始まり、その後も積極的で様々な視点からの発言が続きました。

〈参加者の発言〉

・ピカソのようである

・イカ釣り船の明かりがついているから夜?海や空の色合いから夕方?

・あれ(丸くて赤い形)は太陽?月?

・信号があるのでは?

・お祭りの日かなと思う

・雲が気になる

・これは浜田の漁港である

・海の上から描いた?(と考えられる構図である)

 

・船の形をデフォルメしている→働く船の格好良さを強調している感じがする

・万国旗のような海の色合い→海(浜田の海も)は世界とつながっていると連想できる

・山肌の険しい感じと人工物との対比→人が開拓してきた歴史

・華やかで明るい色合い→港の生き生きとした感じが表現されているのでは

・時間が特定しにくい感じ(カラフルである。写実的ではない独特の表現)がするのは、作者が心惹かれたも

 のを全て書き込んだからではないか?魅力的に思ったものを、時間帯に関係なく描き込んだのではないか?

・作者は海外の人なので、自国で見たことのない空や雲に感動したのではないか?

・やっぱり雲が気になる

 など、たくさんの意見や考えを述べていただけました。また、「様々な意見が聞けてよかった」「1つの絵に対して人それぞれ感じ方が異なるものだとわかった」「じっくりと鑑賞させていただいてよかったです。」などの感想もいただけました。

〈ふりかえり〉

 ふりかえりでは、鑑賞後半に、”やっぱり雲が気になる”と話題にしていただいたことについて、どんな問いかけや進め方が考えられたか?アドバイスいただきました。私もこの質問からどう進めてよいか迷うところでしたが、

・どこが気になるのか?話してもらうとよかった。

・みなさんで考えてみませんか?と提案してもOK。

・最後にもう一度、皆さんの話しを聞いてどう思いますか?と意見を述べてもらうのも良い。

など沢山教えていただき勉強になりました。

 また、積極的な発言があることで、その発言に頼ってしまったり、聴く一方になってしまったりという時間が長くなったことについて

・作品のどこからそう思うか?と問う

・全体の時間配分を考えて今までの流れを整理する時間をもつ

・鑑賞者からの疑問や問いは、どこに疑問を感じるか?など”作品を見て本人が考えること”を言葉にしてもら

 うこともできる。

とアドバイスしていただきました。

 鑑賞の進め方を工夫することで、話して聞けて、いろんなことがわかって楽しいという時間を皆さんと共有できると良いなと思いました。また、鑑賞者の皆さんがご自分の考えをもう1歩深く考えたりできるきっかけを作れるように、発問や対話を意識したいと思います。勉強になりました。ありがとうございました。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 桜 三昧 | トップ | 気になるプラスチック »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

対話型鑑賞」カテゴリの最新記事