「つながり」の旅 in Paris ~ 人と人、自然、地域との「つながり」 ~

人・自然・地域との「つながり」をテーマにした旅や暮らし(エコツーリズム、スローライフ等)について日々の想いを綴ります。

アイヌの森と文化に触れる ③

2006年05月12日 | エコ/グリーンツーリズム、地域づくり
 植林のあとは、そば・山菜など野山の幸をいただきながら、地元の人や他の参加者の話しに耳を傾けた。印象的なのは、
「北海道の人はよく、お宅の家はどちらの出身?と訊くが、アイヌの出自であることが分ってしまうので、そう訊かれることがとても嫌だった。」、
「徐々に世の中も変わってきており、自分の子ども達は小さい頃アイヌだと言われて嫌な思いを経験したが、今はそれを正面から受け止めていこうとしている。」
などの話しを聞いたこと。

 足を踏む人は、踏まれる人の痛みは分からない。沖縄やアイヌの人が味わったこととして本で読んだことがあったが、目の前で実感を持ってそう語る人を見ると、我々が普段何も感じていなくても、差別される側の人は現在進行中の問題として受け止めているんだと衝撃を受ける。水俣病の患者、戦時中に日本に侵略された中国・韓国の方々に対しても同じようなことが言えるのだろう。無知、無関心であることを含めて、足を踏み続けてきたヤマト民族の者として、とても歯がゆい思いをする。

 最終日は、二風谷周辺のアイヌ語地名に関し、地元の方が言い伝えを紹介してくださるエコツアーにひょんなことから参加した。アイヌ語地名は地形の特長や植生が元になっており、その背景には、自然のいたるところに神が宿るとし、その自然と共に暮らしてきたアイヌの生活文化がある。

 自然と人とのよりよい関係を築いていた先住民の文化を学びたいとして今回参加し、そのようなことを旅を通して学ぶエコツーリズムに関わりたいと思っている私には、願ってもない企画である。

 NPO法人チコロナイの理事でもあり、そのようなツアーを通じてアイヌの人々の生活、文化の興隆につなげたいという研究をしている北海道大学の小野先生もご一緒で、滅多にない貴重な機会に同行させてもらった。このようなツアーを通じて、地域の自然や伝統文化が保全され、地域にも経済的な効果があり、訪れた人も新たな発見や楽しみに出会えるようなエコツアーが盛り上がっていくとよい。地元では、今後、このようなツアーを盛り上げていきたいとのことで、いつかまた訪れてみたいと思う。