写真:JR北海道が開発した世界初の「DMV(デュアル・モード・ビークル)」 浜小清水駅にて
夜行特急「まりも」で釧路についた僕は、釧網本線の網走行き始発列車に乗り換えた。
朝霧の釧路湿原を一路、オホーツク海へと向かい走っていく。
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釧路湿原国立公園の中にある無人駅を結んで走っていく。
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「まりも」の夜の寝不足のせいで暫く居眠りした後、列車交換で緑駅に停車しているのに気が付いて慌てて降りる。
確か、この駅の近くに気持ちのいい公共の温泉があった筈。何年か前に一度、一風呂浴びて行ったことがあるんだ。
夜汽車の疲れを癒すのには、朝風呂に限る。
緑町の温泉センターは、僕の記憶以上に立派な施設で、高級温泉旅館並みの岩風呂露天風呂まで備えていた。一番風呂で思う存分手足を伸ばして、ああ生き返った!
…尤も、時間が早すぎて営業開始時間まで2時間も駅の待合室で待たされてからの入浴だったが。
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湯上りに乗る鈍行列車の旅はまた格別。
天気はイマイチだが、それでも車窓には北海道らしい風景が展開し、窓を開けて風を受けながら火照った身体を冷ますのは最高の気分。
山頂は雲に覆われているがが、日本百名山オンネヌプリこと斜里岳も見えてくると釧網本線はそろそろオホーツク海岸に出る。
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小清水原生花園の只中にある、夏のシーズンだけ開いている原生花園駅で途中下車。
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荒涼としたオホーツク海が間近に迫る遊歩道を歩いていくと…
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そこかしこに小さなお花畑が広がっている。
小さなトマトのような実をつけている、この草は一体なんなのかな?
暫し原生花園観光を楽しんでから、一つ隣の浜小清水駅へと戻る。
浜小清水駅で乗り換えるのは、この“夢の乗り物”
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駅裏の砂利道をガタゴト走ってきたこの黄色いバス、ただのバスではない。
いや、正確にはバスですらない!
これぞ、JR北海道が数々の困難を克服し世界で初めて開発に成功したDMV(デュアル・モード・ビークル)!
道路も線路も自由自在に走り回れる、鉄道とクルマを融合させた脅威の乗り物なのだ!!
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並んだDMV兄弟。
現在、冬季を除く週末と長期休暇シーズンに、ここ浜小清水駅をベースに付近の観光地を結んで釧網本線の線路と一般道を走る周遊コースでの「試験的営業運行」が行われている。
実用化を目前にしたDMV(デュアル・モード・ビークル)の、まさに開発の総仕上げとも言うべき「試験的営業運行」をこれから体験してみます!
乗り込む前に、「謎に包まれた」車体を間近からじっくり観察。
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線路上を走行する際にもスリップすることなくレールへと動力をスムーズに伝達できるように、1年を通じてスタッドレスタイヤを履く。
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タイヤの脇には、跳ね上げられて収納された鉄道走行用車輪が見える。
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出発前に、足慣らしとばかりに実際に鉄道車輪を降ろして動作確認。
除雪機メーカーとの協力で完成したという車輪昇降システムを作動させ、バスが列車になっていく!
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最終点検を終えて、異常なし。いよいよ出発!
まずは「列車モード」として走るべく浜小清水駅近くのDMV専用「モードインターチェンジ」から釧網本線の線路に乗り、車輪を降ろす。
バスの運転士さんから列車の運転士さんに交替して、クラクションを鳴らして線路の上を出発!
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これは楽しい!
バスなのに列車として線路を走り出す、この乗り物は一体なんなんだ!?
いや、この乗り心地には覚えがある。この不思議で愉快な感触、これは…
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そうだ!青森県七戸の南部縦貫鉄道のレールバスにそっくりなんだ!
南部縦貫のレールバスは「バスの車体に鉄道の車輪を履かせたもの」なので道路は走れないけれど、バスと鉄道の融合という点ではコンセプトが同じなんだね。
それにどちらも小さくて可愛らしいし、本当にそっくりじゃないか!
さっき降りた原生花園駅を通過。
DMVを一目見ようと大勢の観光客が待ち受けていた。
しばらく線路を走る。
オホーツク海に最も近い駅として、また待合室を埋め尽くす旅行者の名刺で有名な北浜駅を通過していく。
藻琴駅の手前で線路を降りて、再びバスの運転士さんがハンドルを握り、ここからは観光バスとして道路を行く。
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さっきまで線路の上を走っていたのに、普通のバスに変身して道路を走るDMV。
重い鉄車輪を装備しているせいか段差での衝撃が大きい気もするが、それでも乗り心地は普通のマイクロバスと大差ない。
ガイドさんの名調子でさんごそうの群生する藻琴湖や濤沸湖をひとまわりして、DMVは浜小清水駅に帰って来た。
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さっき列車として通過した踏切を、今度はバスとして渡り、浜小清水駅裏手でDMVの旅は無事終了。
ああ、面白かった!
ここで乗客もガイドさんも皆下車するが、僕はこのまま網走駅までDMVで送ってもらう。
網走市街が近くなり、他のクルマと並走すると、凄い視線を感じる。
隣の車の助手席から携帯電話のカメラで撮影されたり、興味津々と言った感じで覗き込まれたり。
地元でもDMVは注目の的のようだ。さすが、夢の乗り物!
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網走駅前で僕を降ろして、走り去って行くDMV。
「今日はありがとう!」
また乗りたいな。
という訳で、本当に「乗ってて楽しい、ワクワクする乗り物」でした、世界初のDMV(デュアル・モード・ビークル)。
先の洞爺湖サミットでは更なる改良の施された最新版のDMVもお目見えして話題となっていたし、日本各地から導入を検討するという意見が寄せられ、静岡や遠路遥々僕の地元の熊本でも実際に車輌を借り入れての走行試験が実施されている。
鉄道とバスのいいとこどりで地球環境にも負荷をかけないDMV、これからどう活用されていくのか楽しみです。
それに何より、こんなに楽しい乗り物ははやく実用化されて欲しいね。
北海道だけでなく阿蘇の大自然の中をDMVが走る日が、はやく来て欲しいよ!
夜行特急「まりも」で釧路についた僕は、釧網本線の網走行き始発列車に乗り換えた。
朝霧の釧路湿原を一路、オホーツク海へと向かい走っていく。
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釧路湿原国立公園の中にある無人駅を結んで走っていく。
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「まりも」の夜の寝不足のせいで暫く居眠りした後、列車交換で緑駅に停車しているのに気が付いて慌てて降りる。
確か、この駅の近くに気持ちのいい公共の温泉があった筈。何年か前に一度、一風呂浴びて行ったことがあるんだ。
夜汽車の疲れを癒すのには、朝風呂に限る。
緑町の温泉センターは、僕の記憶以上に立派な施設で、高級温泉旅館並みの岩風呂露天風呂まで備えていた。一番風呂で思う存分手足を伸ばして、ああ生き返った!
…尤も、時間が早すぎて営業開始時間まで2時間も駅の待合室で待たされてからの入浴だったが。
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湯上りに乗る鈍行列車の旅はまた格別。
天気はイマイチだが、それでも車窓には北海道らしい風景が展開し、窓を開けて風を受けながら火照った身体を冷ますのは最高の気分。
山頂は雲に覆われているがが、日本百名山オンネヌプリこと斜里岳も見えてくると釧網本線はそろそろオホーツク海岸に出る。
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小清水原生花園の只中にある、夏のシーズンだけ開いている原生花園駅で途中下車。
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荒涼としたオホーツク海が間近に迫る遊歩道を歩いていくと…
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そこかしこに小さなお花畑が広がっている。
小さなトマトのような実をつけている、この草は一体なんなのかな?
暫し原生花園観光を楽しんでから、一つ隣の浜小清水駅へと戻る。
浜小清水駅で乗り換えるのは、この“夢の乗り物”
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駅裏の砂利道をガタゴト走ってきたこの黄色いバス、ただのバスではない。
いや、正確にはバスですらない!
これぞ、JR北海道が数々の困難を克服し世界で初めて開発に成功したDMV(デュアル・モード・ビークル)!
道路も線路も自由自在に走り回れる、鉄道とクルマを融合させた脅威の乗り物なのだ!!
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並んだDMV兄弟。
現在、冬季を除く週末と長期休暇シーズンに、ここ浜小清水駅をベースに付近の観光地を結んで釧網本線の線路と一般道を走る周遊コースでの「試験的営業運行」が行われている。
実用化を目前にしたDMV(デュアル・モード・ビークル)の、まさに開発の総仕上げとも言うべき「試験的営業運行」をこれから体験してみます!
乗り込む前に、「謎に包まれた」車体を間近からじっくり観察。
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タイヤの脇には、跳ね上げられて収納された鉄道走行用車輪が見える。
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除雪機メーカーとの協力で完成したという車輪昇降システムを作動させ、バスが列車になっていく!
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最終点検を終えて、異常なし。いよいよ出発!
まずは「列車モード」として走るべく浜小清水駅近くのDMV専用「モードインターチェンジ」から釧網本線の線路に乗り、車輪を降ろす。
バスの運転士さんから列車の運転士さんに交替して、クラクションを鳴らして線路の上を出発!
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いや、この乗り心地には覚えがある。この不思議で愉快な感触、これは…
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そうだ!青森県七戸の南部縦貫鉄道のレールバスにそっくりなんだ!
南部縦貫のレールバスは「バスの車体に鉄道の車輪を履かせたもの」なので道路は走れないけれど、バスと鉄道の融合という点ではコンセプトが同じなんだね。
それにどちらも小さくて可愛らしいし、本当にそっくりじゃないか!
さっき降りた原生花園駅を通過。
DMVを一目見ようと大勢の観光客が待ち受けていた。
しばらく線路を走る。
オホーツク海に最も近い駅として、また待合室を埋め尽くす旅行者の名刺で有名な北浜駅を通過していく。
藻琴駅の手前で線路を降りて、再びバスの運転士さんがハンドルを握り、ここからは観光バスとして道路を行く。
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さっきまで線路の上を走っていたのに、普通のバスに変身して道路を走るDMV。
重い鉄車輪を装備しているせいか段差での衝撃が大きい気もするが、それでも乗り心地は普通のマイクロバスと大差ない。
ガイドさんの名調子でさんごそうの群生する藻琴湖や濤沸湖をひとまわりして、DMVは浜小清水駅に帰って来た。
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さっき列車として通過した踏切を、今度はバスとして渡り、浜小清水駅裏手でDMVの旅は無事終了。
ああ、面白かった!
ここで乗客もガイドさんも皆下車するが、僕はこのまま網走駅までDMVで送ってもらう。
網走市街が近くなり、他のクルマと並走すると、凄い視線を感じる。
隣の車の助手席から携帯電話のカメラで撮影されたり、興味津々と言った感じで覗き込まれたり。
地元でもDMVは注目の的のようだ。さすが、夢の乗り物!
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網走駅前で僕を降ろして、走り去って行くDMV。
「今日はありがとう!」
また乗りたいな。
という訳で、本当に「乗ってて楽しい、ワクワクする乗り物」でした、世界初のDMV(デュアル・モード・ビークル)。
先の洞爺湖サミットでは更なる改良の施された最新版のDMVもお目見えして話題となっていたし、日本各地から導入を検討するという意見が寄せられ、静岡や遠路遥々僕の地元の熊本でも実際に車輌を借り入れての走行試験が実施されている。
鉄道とバスのいいとこどりで地球環境にも負荷をかけないDMV、これからどう活用されていくのか楽しみです。
それに何より、こんなに楽しい乗り物ははやく実用化されて欲しいね。
北海道だけでなく阿蘇の大自然の中をDMVが走る日が、はやく来て欲しいよ!