天燈茶房 TENDANCAFE

さあ、皆さん どうぞこちらへ!いろんなタバコが取り揃えてあります。
どれからなりとおためしください

青春18きっぷを使い切れ!紙切れになる前に

2008-09-06 | 旅行
写真:重要文化財、JR門司港駅

この夏は京都で赤い青春18きっぷを買いに行ったり、それを使って北海道に行ったり、それで1冊使い切ってもう1冊買ってまた北海道に行ったりと何かと大活躍したJRの普通列車が乗り放題になるこのきっぷ。
8月も終り、ふと机の上に放り出したままの2冊目の青春18きっぷを手に取ると、
「しまった…まだ2コマ残ってるじゃないか!」

1冊1万千五百円で5回分、普通列車が1日中乗り放題となる青春18きっぷ。
使用期限は9月10日までで、この期間内に5コマに区切られた区画にそれぞれ改札印を捺してもらい、5回分を使い切ってしまわないと残りのコマは一切無効となり、9月11日からはただの紙切れとなる。
「もったいない!特に行きたいところはないけれど、どこかに行かなければ!」
という訳で9月第1週の週末、本末転倒な旅に出てきました。

正直、この夏はやたらと列車に乗りまくったので乗り鉄は少々食傷気味なのだが、ちょうど今JR九州主催で鉄道スタンプラリー「トレインピック2008」というのをやっており、まあこのスタンプラリーは昨年もやっていて僕もついつい全スタンプをコンプリートしてしまったりしたのだが、さすがに2年続けて今年もやるモチベーションが上がらず(それでもしっかりスタンプ手帳は入手していたのだがw)様子見だったので、丁度いい、ちょっと近場を周ってスタンプを集めて来よう。
とりあえず5個集めれば参加賞の「オリジナルストラップ」を貰えるらしいし。

さて、どこの駅に行けばスタンプがあるのかね~
とりあえず地元の熊本駅で1個ゲットだな。それからそのまま鹿児島本線を北上して、北九州近辺で掻き集めれば何とか合計5個くらいたまるだろう。

で、熊本駅の改札口の金魚の隣にあるスタンプを捺してそのまま大牟田行き普通列車に乗車、荒尾で隣のホームに停まってる811系電車に何となく乗り換えて、居眠りしているうちに気が付くと小倉。
消化試合みたいな旅行なので、乗り鉄してても全然テンションが上がらない。
小倉でも何となくスタンプを捺して、鹿児島本線の基点駅門司港へ。

門司港駅でスタンプを捺した後、駅を出て徒歩5分ばかりの場所にあるここへ。

九州鉄道記念館。
ここにもトレインピック2008のスタンプが設置されていて、しかもスタンプラリー参加者は入館料が2割引になる。
先月行ってきた大宮の鉄道博物館ほど大規模ではないが、それでもなかなか凄い車輌たちが展示されている。


中央ゲートでお出迎えしてくれた9600型「59634」の奥にいる、
これが名機として名高いC59型のトップナンバー機「C59 1」。
高速旅客列車専用の純血種サラブレッドのような機関車で、大きさは貨物機改造型のC62型に及ばないが、華麗で貴公子然とした雰囲気が漂う。
最期は熊本に集結してブルートレイン「みずほ」を牽引していた。


磨きぬかれた剛鉄の輝き。もはや芸術品のような機能美を見せる、C59 1の大動輪。
高速旅客列車に特化した設計故に動輪に掛かる軸重が重過ぎ、大幹線の電化後は行き場を失ってしまったという皮肉な宿命を背負った動輪には、ある種の悲壮感すら感じる。


C59の奥には、見憶えのあるこの車輌。
先月、東北本線で乗車した快速「みちのく」号に使われていた583系寝台電車と同系列の、581系“月光型”。
関西と九州を結ぶ特急「月光」のために世界で初めて開発された「寝台座席両用型車輌」で、583系より1世代前の車輌だが設計やデザイン等には共通点が多い(実際、大阪と新潟を結ぶ急行「きたぐに」号では今でも両系列が共通運用されている)。


581系の車内。
当然のことながら、快速「みちのく」号と全く同じ雰囲気である。
尤もこの九州鉄道記念館の581系は晩年に普通列車用に改造されて転用されていたという過去を持つ車輌で、写真に写っていない車内の端っこにはなぜかロングシートが設えられていたり洗面台が塞がれていたりとかなりチグハグな姿となってしまっているのだが。


こちら、581系の昼の姿。
向かい合わせボックスシートが並ぶ。


これが夜の姿。
ボックスシートは実はソファベッドになっており、背もたれを引き出すと広々とした寝台が現れる。これに荷物棚の奥に収納された上段と中段のベッドを引き出して覆いかぶせると、3段ベッドの寝台車が出来上がり。これぞ世界初の寝台座席両用車の実力!


門司港の街並みにマッチしたレトロな赤煉瓦の本館内には鉄道に関する資料の展示や鉄道模型の大パノラマ、ミュージアムショップやカフェもあって楽しめる。
特にカフェにはさり気無く特急「つばめ」のビュッフェで使用されていたカウンターバーの実物が置かれて今でも使用されていたりして、小粒でもやたらとピリリと辛くて侮れない九州鉄道記念館なのだった。

門司港鉄道記念館でもスタンプを捺してから、せっかくなので関門トンネルを潜って本州側の下関へと向かう。
以前から寝台特急「はやぶさ」に乗ってこの区間を通ると、下関の隣の幡生駅の構内にブルートレインの車輌が留置されているのが見えて気になっていたので、実際に現地に見に行く事にする。

幡生駅のプラットホームを広島方に歩くと、やはり隣接する構内に数輌の寝台車が停め置かれていた。
今年に入ってからJR西日本の運行するブルートレインは「あかつき」、「日本海」、「銀河」と軒並み廃止されており、不要になった寝台車がここに集められ解体を待っているらしい。
「あのオハネ25なんか塗装も綺麗でまだまだ使えそうじゃないか…勿体ない。でも確か、状態のいい寝台車はタイに無償譲渡されるんだよな。ここにいる寝台車も重機で潰されるんじゃなくて、タイへの船積み準備で集められたものならいいのにな」


さて、そろそろ帰ろうか。途中で博多駅の隣の竹下駅で途中下車してスタンプを捺せば、ちょうどスタンプ5個。これで参加賞は貰えるね。
幡生駅で下関行きの列車を待っていたら、やたらと派手なディーゼルカーがやって来た。
地元出身の詩人金子みすゞをモチーフにした観光列車「みすゞ潮彩」号だ。これはラッキー、隣の駅までの僅かな乗車だけど、珍しい車輌に乗ることが出来た。尤も指定席券がいらない自由席の車内は何の変哲もない無改造のままだったけど。

ところで、僕は実は来週からまた旅に出るのです。
いや、異国に旅立っていったブルートレインの車輌たちのその後の様子が気になるもんで、ちょっとバンコクまで。
職場でも「なるべくリフレッシュ休暇を取るように」と言われてたし、航空会社のマイレージもまだまだ残ってたもんで、半年前に休暇とタイ行き無料特典航空券を確保してたんですよ、まさか今年の夏がこんなに青春18きっぷでの乗り鉄三昧になるとは予想してなかったもので、つい、ね。
ですから、「さすがに遊び過ぎだろ!」「勤め先から愛想を尽かされて干されても知らんぞ!」とのご心配は無用です。

という訳で、ちょっと後ろめたくて申し訳ないけれど、最後に残った青春18きっぷの1コマを使って福岡空港まで移動してから、バンコクに行って来ます…
って、「バンコクで反政府団体が首相府占拠!?非常事態宣言!?何それ!」どうなることやら。

終着駅脱走作戦~石狩川を渡れ!

2008-09-06 | 旅行
写真:JR札沼線の終着駅、新十津川駅に到着した列車

遅い夏休み、北海道で宇宙ステーション「ミール」に会い夜行特急「まりも」に別れを告げ夢の乗り物DMV(デュアル・モード・ビークル)を楽しんだ僕は、再び「まりも」に乗って札幌駅に戻ってきた。
午後の新千歳空港発福岡直行便で九州熊本に帰るのだが、まだ朝6時。いかにも早い、時間がある。
手許には、数コマ使い残した「青春18きっぷ」がある。それなら、話ははやい。
「どこかの路線を乗りつぶして時間をつぶそう。さて、どこの路線に行くか…」

札幌は北海道の中心都市だけのことはあって、JRも各路線が札幌駅を中心に各方向へと伸びている。暇つぶしの乗りつぶしの行く先には事欠かないが、逆にこれだけ路線が多いとどこに行ったものか迷う。
「函館本線で小樽の海や羊蹄山を見に行くか…いや、つい先週乗ったばかりだな、あそこは。それなら旭川方面に行ってみるか…でもあの区間は札幌近郊区間って感じで乗ってても大して特色がないんだよなー。千歳線で追分まで出て室蘭本線の末端区間に乗って岩見沢に抜けてみるのも面白そうだが…結構時間がかかるし運転本数も少ないから微妙だな。それなら、ここは一つ札沼線に乗ってみるか、あの渋い路線に!」

JR札沼線、札幌に住んでおられる方なら「学園都市線」と言った方が通りが良いかも知れないが、札幌と郊外の住宅地とを結ぶ路線であり、また沿線に教育機関が多くあることから通勤通学客で賑わう大都市近郊路線である。
但し、それは札沼線の札幌側半分の区間のみの話。終着駅となる新十津川駅へと近づくと、路線の表情は一変する。
ニュータウンや大学のある石狩当別駅や北海道医療大学駅で大半の列車は折り返してしまい、その先へと向かう列車は激減、終着駅の新十津川には1日に僅か3本の列車しか到達しないのだ!

しかも新十津川駅は行き止まりでどん詰まりの終点、所謂「盲腸線」の終着駅なので、更に最果て感が高まる。

途中までは大都会札幌の郊外区間なのに、気が付くと見渡す限り田んぼの中の終着駅に着いてしまう札沼線、タイミング良く午前7時台に札幌駅を出る列車に乗ると、1日3本の新十津川行き列車に接続することが出来る。
そのまま折り返して来れば、午後1時までに新千歳空港に戻ることが出来るので帰りも安心だ。
早速出かけよう!


石狩当別駅まではよくある大都会の近郊線。東京・横浜や大阪にいるのと変わらない。
一つだけ変わっているのは、列車が電車ではなくディーゼルカーであること位だろうか。
しかし列車を乗り換えて末端区間に進んで行くにつれて、車窓は一面の田んぼになる。石狩川流域のこの辺りは道内一番の米どころ。


札幌を出てから約2時間半、田んぼの中の終着駅、新十津川に到着。
かつてはここから更に田んぼを越えて留萌本線の石狩沼田という駅まで線路が延びていたそうだが、今では無情に路線がぶった切られて、完全に行き止まりの終着駅と成り果ててしまっている。
1日3本のみという運転本数の少なさが物珍しいせいか、車内には「乗り鉄」中らしい乗客の姿が散見された(というか、殆どその筋の乗客しか乗っていなかったが)。

列車は新十津川で十数分停車し、折り返して札幌へと帰って行く。
僕も停車時間中に駅舎を眺めたりして発車を待っていたが、駅前の道路を見ていてふと思い立った。

「ここって確か、石狩川を挟んで滝川市のすぐ隣にあるんだよな…この道を歩いて行けば、石狩川を渡って滝川駅に行けるかも知れない…
行ってみようか?歩いて滝川駅まで!」

次の瞬間、僕は早歩きで駅前道路を歩き始めていた。
「滝川駅まで行けば何とかなる!函館本線の新千歳空港直通特急がガンガン発着してた筈だ!面白い!終着駅から折り返しの列車に乗らずに、歩いて逃げ出してやろう!」



道路地図も何もないので、滝川市へと向かう道順は分からないが、それでも駅から「東のほう」だと思われる方角目指してひたすら歩けばそのうち石狩川に出るはずだ。後は、川を渡る橋を見つければ滝川市への道路標示くらい出ているだろう。
という訳で、とにかく歩け歩け!
しかし新十津川ってのは長閑なところだなぁ…駅前に大きな病院がある以外は、殆ど人けがない。田んぼ、時々牧場。


暫らく道なりに歩いていくと、大きな道路に出た。この先左折すれば滝川、との道路表示も出ている。
「よし、道は分かった!歩け歩け…」


この先を左折すると、長大な橋を渡った。これぞまさしく石狩川、対岸は滝川市だ。
「本当に近いな、滝川市は文字通りすぐ隣じゃないか。」
しかも橋の向こうをL特急「スーパーカムイ」号が走っていくのが見える。
「あそこがJR函館本線だ!よし、滝川駅までもう一息!」
しかし、もう一息が長かったのである。。。


石狩川を渡りきってしまうと、河原が気持ちの良さそうな公園に整備されていたのでそちらへと抜ける。
「この河川敷の公園、僕の地元の熊本県八代市の球磨川の公園とよく似ているな~。秋には花火大会とかやるんだよな、最近は全然行ってないけど」
ちなみにこの石狩川河川敷の公園、グライダーの飛行場にもなってるらしい。


石狩川の向こう、さっき歩いてきた新十津川の方を仰ぎ見ると、新十津川駅近くの病院の白い建物が見える。
「あそこから歩いてきたのか。しかし、田んぼばかりで空が広いから、遠くの風景もよく見えて歩いてて気持ちがいいねぇ~。」

河川敷公園から降りてJR函館本線の踏切を渡り、さて滝川駅はすぐ近くの筈だ、先を急ごう!しかし…
「さっきから駅構内や駅前のビルらしきものは見えるが、道があらぬ方角へ向いているのでなかなか駅に近づけないな…」
まあ、こんな場所から歩いて駅に行く人はあまりいないのかも知れんが…
やたらと直角に曲がってばかりでだんだん線路から離れていく道路に業を煮やして、空き地や児童公園や民家の裏道みたいなところをショートカットして何とか函館本線に併走して滝川駅を目指す。


そうこうしているうちに、函館本線を列車が走り抜けていく。
あれは富良野行きの「フラノラベンダーエクスプレス」か。前面展望車や2階建て車輌や個室車も連結する豪華なリゾート特急で、僕も何度か乗車したことがあるが、こうして外から走行している様子を眺めるのは初めてだ。
それに、スタイルは全然違うがJR九州のリゾート特急「ゆふDX」と同系列の兄弟車輌なんだよな確か。

しかし、列車はあっという間に滝川駅へと滑り込んでいくが僕はなかなか滝川駅に近づけない。
だんだん焦ってきた頃、ようやく駅前広場へと抜ける道に出た。
見ると、滝川駅のプラットホームには赤い普通電車が停車して発車を待っているではないか。
「あれはきっと岩見沢方面行き普通電車だ!あれに乗れば札幌駅まで青春18きっぷで帰れるぞ!」
思わず駆け出す。「急げ急げ、まだ発車するな!」
しかし、駅の改札口で青春18きっぷを駅員氏に見せて通り抜けた瞬間、無情にも車掌氏が吹く笛の音が聞こえた。

「あ~あ…間に合わなかったか…」

トボトボと改札口に戻り、さっきの駅員氏から「あらら、やっぱり間に合いませんでしたか」と同情されて「ええ、タッチの差だったんですけどね、ははは…」などと答えつつ、内心「ああ~悔しい!何てこったい!!」
時刻表を見ると、次の普通列車は1時間半後!?そんなに悠長に待っていられるか、こっちは飛行機の時間があるんだ。泣く泣くみどりの窓口で特急のきっぷを購入。次の特急「スーパーカムイ / エアポート」は20分後、しかも新千歳空港直通。これに乗ればそのまま空港に連れて行ってくれる。
でも僕は、敢えて札幌行き普通列車との乗換駅である岩見沢駅までのきっぷを買った。青春18きっぷを持っている限りは安易に特急に逃げたくない、そんな意地があったのだ。まあ「追加料金をできるだけ安く上げたい」との思惑もあったのだが。

「スーパーカムイ / エアポート」の発車まで時間があるので、待合室を覗いてみると、嬉しいことに立ち喰いそばのスタンドが営業中だったので飛び込む。
僕は立って食べるのが面白いし何より値段が手頃でおいしいので立ち喰いそばが大好きなのだが、最近は立ち喰いスタンドもどんどん淘汰されているので寂しい限りだ。
だから最近は旅先で立ち喰いそばやうどんを食べる度に記録写真を撮ったりしているのだが、もう結構な枚数がたまったので天燈茶房 TENDANCAFEでそれを紹介していっても面白いかも知れないな?最近は「食い鉄」なる鉄道趣味のジャンルも登場してるみたいだし(そう思って「鉄道で食べる」というカテゴリーもつくりました)。

さて滝川駅の立ち喰いスタンド、地方にしては珍しく「カレーそば」がメニューにあったのでこれをオーダー。
しかし残念ながら滝川駅構内立ち喰い店のカウンターには「携帯電話の通話と店内写真撮影お断り」の表示があり、記録写真は残せなかった。残念!
ちなみにそばは麺が柔らかめ、カレーは二度かけのボリューム満点のカレーそばでした。

かくして終着駅新十津川から滝川まで、石狩川を越えての移動時間は約40分、移動距離は直線距離で3キロ程度らしいがやはり石狩川の迂回と滝川駅周辺の遠回りが響いて5キロ弱といったところか。
僕はよく夜寝る前に下宿と最寄の鹿児島本線の駅との間、往復約5キロを歩いているので、この程度の距離なら慣れているし気分転換に調度良い運動になった。

「今度から、旅先で一駅歩くっていう企画をやってみようかな?それに、見知らぬ土地を歩くのって何だか楽しいよ!」