←その18:ピサの斜塔~ドゥオモ広場散歩・前編~からの続き
世界遺産「ドゥオモ広場」の2015年、元日の昼下がり。
ピサの斜塔があまりにも有名なドゥオモ広場ですが、それだけではありません。
ドゥオモ広場にはピサが海洋国家として繁栄を極めた時代を象徴する数々の傑作建築群が建ち並び、それらの織り成す調和のとれた美しさから「奇跡の広場」とも讃えられているのです。
このちょっと可愛らしい丸い建物は洗礼堂。
建物の上部と下部とでゴシック様式とロマネスク様式が融合した大変珍しい建築様式だそうです。
南ヨーロッパの濃紺の青空に映える白亜の大理石、そしてその大理石の壁面に施された緻密な装飾も見事ですね。
そしてドゥオモ広場の中心に鎮座ましますこの大伽藍が、ピサ大聖堂。
今では大聖堂よりも有名になったピサの斜塔も、本来は大聖堂に付属する鐘つき堂(鐘楼)です。
…こうして大聖堂と並んでるのを見ると、ホントに傾いてるなぁピサの斜塔(笑)
ピサの斜塔に登る入場券を買うと、特典としてこの大聖堂にも無料で入場して内部を見学することが出来ます。
さっそく、本来は斜塔よりも主役の大聖堂に入ってみましょう!
大聖堂の中は、陽射しが入ってとても明るい雰囲気。
正面の最奥部に見えるキリストの姿を描いたモザイクで彩られたドーム天井の手前に、ガリレオがその揺れる様子を見たことで「振り子の等時性」を発見するきっかけとなったシャンデリア(ガリレオのランプ)が見えます!
そう、このピサ大聖堂も斜塔と共にガリレオ・ガリレイの重要な聖地の一つなのです。
…もっとも、このシャンデリアの逸話も斜塔での鉄球落下実験と同じく後世の創作のようです。
何しろ、実際にはシャンデリアが作られたのはガリレオが振り子の等時性を発見した後のことらしいので…(´・ω・`)
気を取り直して、シャンデリアの下に立ちキリストのモザイクを見上げます。
「きっと、ガリレオも生まれ故郷のこの大聖堂のこの場所に立って、自らが身を捧げた科学の勝利を高らかに謳いあげて神に祈った筈…」
クリスチャンではない僕も、ここで祈りを捧げて今年の初詣をしました。八百万の神を戴く日本人は、どんな神様にでも別け隔て無く二礼二拍手一礼して祈れるのです。
「今年も、少しでも世界が平穏に過ごせますように…」
ステンドグラス越しに陽射しが降り注ぐ大聖堂内には、油彩の宗教画も数多く掲げられていてまるで美術館のようです。
大聖堂内部をじっくり見て、外に出てくると2015年の元日の太陽は既に傾き始めていました。
巨大な日時計になったピサの斜塔が、ドゥオモ広場に時を刻んでいきます。
やがて夕陽が大聖堂と斜塔を美しく染め上げ始めました。
斜塔の回廊の横には、今夜の月が…
辺りはすっかり暗くなりました。
それでも、ドゥオモ広場は多くの観光客で昼間と変わらぬ賑わいです。
斜塔も相変わらず大勢の見学者が順番に並んで、頂上に登っています。
夜の斜塔は「童話の天文学者」が似合いそうな独特の雰囲気で、昼間とはまた違った魅力がありますね。
月に照らされた斜塔の回廊を登ると、鉄球ではなく望遠鏡を携えたガリレオに会えるような気分になるのかも知れません。
…今日は一日かけて、心ゆくまでドゥオモ広場を堪能しました。
でも正直まだ見足りない、出来ることなら一晩中でもピサの斜塔と大聖堂を眺めていたい気分なのですが、名残惜しいけれどもこれでドゥオモ広場に別れを告げることにします。
明日は、朝からフィレンツェ経由でミラノに戻ります。
さようなら、ガリレオが生まれたピサの町。人々は親切だし景色もきれいで、何より雰囲気が実に良くて安全な素晴らしい町でした。
「イタリアに来るまでは、治安が悪くてルーズな国かも知れないと思っていたけど、ピサは本当に素敵な町だったな…帰るのは寂しいよ。
またいつか必ず、僕はピサに来たいな…今度はドゥオモ広場だけじゃなく、もっとゆっくり旧市街やアルノ川の岸辺を散歩したり、そうだガリレオが生まれた家にも行ってみたいな」
ガリレオの足跡を追いイタリアの三都を巡った旅も、段々と終わりが近づいてきています…
B&Bへの帰り途、ドゥオモ広場近くの観光客で賑わう商店街でこんなものを発見。
日本が世界に誇るインスタントラーメン!
日清の出前一丁 です。商品名はDEMAE RAMENになるんだなぁ(笑)
パッケージには中国語も書かれていましたが中国製のニセモノではなく、日清食品のドイツ法人がEU圏内でライセンス生産している本物のようです。
かくして、ピサでの最後の晩餐は懐かしい日本のインスタントラーメン・出前一丁になりました(笑)
それにしても、B&Bのこのキッチンで炊事してると何だか日本の自宅の台所にいるみたいで、ホントに落ち着くなぁ…
→その20:再びフィレンツェ。花の聖母教会、“天国の扉”に続く