東日本大震災の津波により,仙台市沿岸部の農地は大きな被害を受け,多くの農家は米作りを断念しなければなりませんでしたが,仙台市若林区の専業農家大友一吉さんは,塩害と戦いながら米作りに取り組みました。
先日,仙台市農業委員会研修会の講師として招かれた大友さんは,除塩作業を3回行っても塩分濃度が基準値を下回らないため,稲の生命力を信じて田植えを行い,無事に活着した事や,通常の中干しでは塩分濃度が上がる心配があるため,苦労しながら初めて飽水管理に取り組んだ事,そして稲刈りの日に,平年並みの収穫を実感した喜びなどを話されました。
大友さんの話を聞いた農家にとっては,来年の水稲栽培の再開に向け大きな励みとなりました。
津波被災農地での水稲栽培事例が乏しいため,普及センターでは,除塩ほ場の土壌塩分濃度の推移と水稲の生育調査結果を基に,栽培指導を行って参りました。
来年,仙台市では500haの農地復旧を予定しており,普及センターでは,今年の調査結果を基に,水稲栽培の再開に向けた取組を支援して参ります。
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