肝臓病と共に生きる人たちを応援します

肝臓友の会との関わりで成長した肝臓専門医のブログです。2017.2.12より新規開始しました。

恵庭市民健康フォーラム 肝臓病医療講演会 決まりました

2007年11月16日 | 医療講演やイベント

恵庭市民健康フォーラム 肝臓病医療講演会 が決まりました。忘年会シーズンですが
お近くの方は是非、参加していただければと思います。

【医療講演】18:30~19:30
司会 恵み野病院 第二内科 副院長 森合 哲也 先生
『肝ガンの不安の無くなる世の中を目指して
   ー肝ガン検診と最新の慢性肝炎 肝ガンの治療についてー』
講師 札幌緑愛病院 肝臓センター 
  所長  川西 輝明 先生
【医療相談】19:30~20:30
肝炎についてお悩みのある方やご家族の方など、医療相談だけでもお気軽にお越しください。
 なお、医療相談は時間の都合上、お答えできる人数に限りがございますので、ご希望の方は
お電話にてご予約いただいても結構です。
肝臓病についてお悩みのある方などお気軽にお越しください。(ご家族の方と一緒でも構いません。)

日時 平成19年12月6日(木) 午後6:00開場~午後8:30
場所 恵庭RBパーク 3F 大研修室 
   住所 恵庭市恵み野3丁目1ー1 電話 0123-36-3113
問合せ先  中外製薬(株) 電話(011)-271-5311 担当:遊間(ゆうま) 
主催/ 中外製薬(株) 後援/道央肝炎友の会

04悪者にされたインターフェロン?

2007年11月16日 | インターフェロン療法について

インターフェロン療法は、C型肝炎ウイルスに対して保険適応になったとき、たくさんの人に使われることになり、副作用が注目されました。うつ病による自殺、間質性肺炎が致命傷になったり、眼底出血が出現したり、副作用を並べると、こんなのが薬なのって思うようなものがたくさん出現したのです。マスコミも危険な薬として、非常に注目しインターフェロンの害の記事を読んだだけで患者さんは、この治療はしたくないと決意した方も少なくなかったのです。
現在は、副作用がほぼわかり、その副作用に対しての対策が早めに行えるようになり、なんとか治療を継続することは可能な時代になってきています。そうは言っても、会わない人がいますので必ず主治医とよく相談しつつ、専門医との連携をとりながら、最大限の効果が得られるように、がんばっていきたいところです。
最近は、少量長期投与というやりかあもあり、限界にチャレンジということではなく、出来る範囲でいつでもやめられる方法を検討する場合もあります。

そして、以外と忘れられているのが、インターフェロンが体で普通に作られている物質であるということ。風邪やインフルエンザなど、ウイルス性の感染症にかかったときは、体がウイルスを排除するために作っている物質なんです。抗ガン剤として開発されたというのを知っているかたの方が多いのですが、本来、体がウイルスを排除するために作っている物質で、それが足りないから補うという発想の治療なんです。なぜ足りないか、これが難しい話で、C型もB型も体にインターフェロンを作らせないように大人しく住み着く仕組みを持っているんです。ですから、強制的にインターフェロンを投与して体のウイルス排除の仕組みを最大限に引き出してもらうと言うことなんです。

03インターフェロン療法の変遷 C型肝炎について

2007年11月16日 | インターフェロン療法について

C型肝炎ウイルスに対してのインターフェロン療法は、私が医学部の学生だった頃治験がされていたのでしょうね。卒業してすぐ、保険適応になり、抗ガン剤として認識されていたインターフェロンが肝炎の治療に使われると、びっくりしたものでした。インターフェロン自体は、体で作られる物質の一つであり、インフルエンザなどのウイルスにかかったとき体がたくさん作り発熱などを起こしてウイルスを排除するものなんですよね。それが、C型肝炎ウイルスはうまい具合に体にインターフェロンを作らせずに住み着くことができる。だから、体の外からインターフェロンを投与して、C型肝炎ウイルスを排除するって考え方でできた治療法なんです。

1992年2月 インターフェロン療法の6ヶ月投与が始まりました、これは筋肉注射です。静脈注射のタイプは6週から8週という投与期間でした。全国的には一生のうちで1度だけのものというしばりで行われていたため、複数回の治療は原則認められないというものでした。自治体によっては、複数回の治療ができたこともあり、可能な限りウイルスを排除することが努力されました。
静脈注射タイプの場合は、一日2回に分けた方が効果があるなど、今から思えば苦しい戦いでしたが、みんながどうやるといいかと頑張っていました。
このころは、まだウイルスのタイプなどが分かっていなかったので、IFNが効きやすい人たちを集めた場合と、効きにくい人を集めた場合で効果が全然違ったものでした。その後ウイルスの型や量によって効果が違うことが分かるようになりました。

2001年12月には、やっと、リバビリンの併用療法(イントロンとレベトール)が保険適応となり、それまで、高ウイルス量の場合には1割に満たなかった効果が、3割弱になりました。しかし、その分副作用は強くなっていたと言えます。

2002年2月 インターフェロンの単独療法の6ヶ月縛りがなくなりました。これにより、長期間インターフェロン療法を行うことが可能となりました。ネオファーゲンのように、炎症を抑えることを目的にしたり、発癌を抑制することを目的としてインターフェロンを投与する可能性がでてきたことは、画期的なことでした。

2003年12月 週一回投与のペガシスが承認、48週投与が基本となりました。この間週3回投与だったインターフェロンが週一回で済むようになったと喜ばれました。しかし、血小板減少が予想以上にでることがあり、採血によるチェックが義務づけられました。これが、足かせになっている場合もありますが、副作用も週3回のときよりは少ない感じで、少量長期投与向きと言えるインターフェロンの出現でした。

2004年12月 レベトールのあいかたのイントロンのペグ化をしたペグイントロンが承認。半年投与だった併用療法が48週投与が基本となり、ウイルス除去率もはじめて治療を受けるセロタイプ1の人では、5割前後となりました。

2005年4月 インターフェロンの自己注射が承認されました。これにより、通院困難な方へのインターフェロン療法のチャンスが増えました。しかし、自己注射はなれるまでは、患者さんにとっては辛いものです。

2006年4月 ウイルスが消える可能性の高い一部の肝硬変の人に、フェロンというインターフェロンが適応になりました。

このように時代と共に進歩してきています。肝硬変へのインターフェロンの併用療法も治験が進んでいます。肝癌を作らないでいけるようみんなが頑張っているのが、わかります。しかし、世界はもっと先に行っている、日本は負けられないんですよね、ほんとは。