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“ディープインパクト”がとらえたアイソン彗星

2013年02月14日 | 流星群/彗星を見よう
NASAの彗星探査機“ディープインパクト”が、太陽系内部に接近しつつあるアイソン彗星の姿をとらえました。

2005年1月に打ち上げられた“ディープインパクト”は、
同年の7月にテンペル彗星に子機を衝突させて、飛び散る物質や、その痕跡を観測しました。

そして、2010年11月にハートレー彗星の接近観測、2012年1月にはギャラッド彗星の撮像を行い、今回のアイソン彗星が4つ目の観測対象となるんですねー







“ディープインパクト”が
約8億キロ離れた位置からとらえた
アイソン彗星(赤い丸)





画像は1月17日~18日にかけて撮影されたもので、
太陽から、まだ遠くにあるのですが、すでに6万キロ以上の尾をのばしているんですねー
今年の11月29日の近日点通過(太陽最接近)に向けて、期待が高まっています。

アイソン彗星は、2012年9月21日にロシアの観測チームによって発見されています。
NASAの地球接近天体プログラム室の分析によれば、この彗星が太陽系内部まで入りこむのは今回が初めてなんですねー

“ディープインパクト”による観測データの初期分析からは、
アイソン彗星は、まだ太陽から7億6300万キロ、太陽から地球の距離の約5倍も離れています。
にも関わらず既に活発で、彗星核から6万4400キロ以上の尾が伸びていることが確認されました。

アイソン彗星のような、長周期彗星は太陽系の“オールトの雲”からやってくると考えられています。

“オールトの雲”は、太陽系を球状に取り囲むと考えられている巨大な構造で、
その外縁は、太陽系からもっとも近くにある恒星までの距離の3分の1に及ぶんですねー

外部からの重力の影響で、“オールトの雲”にある氷や岩石、有機物が元の軌道から弾かれ、彗星となって太陽系の中心を目指す旅をスタートさせます。

アイソン彗星が、地球に最も近づくのは2013年12月26日。
地球からは6400万キロ以上離れていて、危険が及ぶ心配はありません。

ただ、天文ファンにとっては、太陽に近づいていくにつれて彗星のコマ(頭のボンヤリした部分)と、尾が発達していく姿を観測する絶好の機会になるんですねー
なので、接近前に消失したり、分裂したりしないことを祈りながら、心待ちにしたいですね。