世界有数の航空宇宙関連企業であるロッキード・マーチン社が、
2028年までに人間を火星に送り込むという計画を発表しました。
ただ、同社が提案するのは、
火星表面に宇宙飛行士が降り立つ計画ではないんですねー
発表された計画は、
国際宇宙ステーションのような有人宇宙船を、
火星の軌道に投入すること。
人類を他の天体に送り込むために開発されている構成部品の、
多くを利用できるという利点があるそうです。
宇宙船“オリオン”の利用
この計画で利用するのは、NASAがすでに開発しているハードウェアです。
同社がNASAのために建造している、
宇宙船“オリオン”の深宇宙ミッションに対応できる乗員モジュールが、
特に重要な役割を果たすことになります。
“オリオン”は、まず地球低軌道よりも高い高度を目指し、
2018年には無人の月ミッション、2021年にはアポロ8号のような有人の月フライバイ、
そして2025年には、月程度の距離のミッションを複数回行っていきます。
ミッションは回を追うごとに難しくしていき、
最後に火星有人飛行の予行演習を行います。
地球から火星に行くには半年以上かかるのですが、
予行演習は緊急時に迅速に帰還できるように、
3日以内に地球に戻れる距離で行うことになります。
さらに2026年には、
火星周回軌道に無人モジュールと太陽電池からなる前哨基地を設置し、
その2年後には、宇宙飛行士を乗せた宇宙船が地球からやって来てドッキング。
これで、実験室と6人の宇宙飛行士の居住スペースからなる、
“マーズ・ベース・キャンプ”が完成。
将来のミッションの足場になるんですねー
火星着陸に向けた一歩
火星の地表に着陸する前に、軌道周回機を送り込む。
このアイデアは、NASAが火星への降下・着陸技術を開発する間、
時間かせぎをしながら有人探査への肩慣らしをするという点では、
役立つはずです。
さらに、火星の地表に降り立つというリスクを取ることなく、
行って帰ってくるだけでも、火星への飛行や乗員の生命維持、放射線防護など、
多くの項目についてチェックすることができます。
アポロ11号が月面に着陸する前年に、
月を周回して地球に戻ってきたアポロ8号の役割に似ているんですねー
しかも、火星の軌道に有人周回機があれば、
火星探査車をリアルタイムで制御することが可能になります。
現時点では地球から制御していて45分の通信遅延が生じているので、
科学者は大いに助かることになります。
また、火星周回軌道に実験室があれば、
火星の表面から自動で打ち上げられたサンプルを回収して分析することも可能です。
この事は、将来火星の表面に降り立つ宇宙飛行士の役に立つだけではありません。
かつて火星に存在していた、
もしかすると今も存在している生命の探索を進めることもできます。
コストの分散
もう1つの利点は、コストを分散できることです。
具体的な費用は発表されていませんが、
ロッキード・マーチン社の広報によれば、同社の見積り額はインフレ調整を行えば、
NASAのこれまでの探査予算の範囲内におさまるそうです。
ただ、予算の範囲内と言っても、新たなミッションを実施することになるので、
他のミッションを諦める必要が出てきます。
たとえばNASAが国際宇宙ステーションの維持のために支出している30億ドル。
これを2028年、できれば2024年までにゼロにする必要があります。
大規模な宇宙計画を2つ同時に進めることは出来ないということですね。
こちらの記事もどうぞ
民間企業のスペースX社が火星探査を2018年に実施へ!
火星へ探査に行くとしたら (その1) 難しいのは帰り方とその準備…
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ただ、同社が提案するのは、
火星表面に宇宙飛行士が降り立つ計画ではないんですねー
発表された計画は、
国際宇宙ステーションのような有人宇宙船を、
火星の軌道に投入すること。
人類を他の天体に送り込むために開発されている構成部品の、
多くを利用できるという利点があるそうです。
宇宙船“オリオン”の利用
この計画で利用するのは、NASAがすでに開発しているハードウェアです。
同社がNASAのために建造している、
宇宙船“オリオン”の深宇宙ミッションに対応できる乗員モジュールが、
特に重要な役割を果たすことになります。
“オリオン”は、まず地球低軌道よりも高い高度を目指し、
2018年には無人の月ミッション、2021年にはアポロ8号のような有人の月フライバイ、
そして2025年には、月程度の距離のミッションを複数回行っていきます。
ミッションは回を追うごとに難しくしていき、
最後に火星有人飛行の予行演習を行います。
地球から火星に行くには半年以上かかるのですが、
予行演習は緊急時に迅速に帰還できるように、
3日以内に地球に戻れる距離で行うことになります。
さらに2026年には、
火星周回軌道に無人モジュールと太陽電池からなる前哨基地を設置し、
その2年後には、宇宙飛行士を乗せた宇宙船が地球からやって来てドッキング。
これで、実験室と6人の宇宙飛行士の居住スペースからなる、
“マーズ・ベース・キャンプ”が完成。
将来のミッションの足場になるんですねー
火星着陸に向けた一歩
火星の地表に着陸する前に、軌道周回機を送り込む。
このアイデアは、NASAが火星への降下・着陸技術を開発する間、
時間かせぎをしながら有人探査への肩慣らしをするという点では、
役立つはずです。
さらに、火星の地表に降り立つというリスクを取ることなく、
行って帰ってくるだけでも、火星への飛行や乗員の生命維持、放射線防護など、
多くの項目についてチェックすることができます。
アポロ11号が月面に着陸する前年に、
月を周回して地球に戻ってきたアポロ8号の役割に似ているんですねー
しかも、火星の軌道に有人周回機があれば、
火星探査車をリアルタイムで制御することが可能になります。
現時点では地球から制御していて45分の通信遅延が生じているので、
科学者は大いに助かることになります。
また、火星周回軌道に実験室があれば、
火星の表面から自動で打ち上げられたサンプルを回収して分析することも可能です。
この事は、将来火星の表面に降り立つ宇宙飛行士の役に立つだけではありません。
かつて火星に存在していた、
もしかすると今も存在している生命の探索を進めることもできます。
NASAの火星周回探査機が撮影した火星。巨大なマリネリス傾向が写っている。 |
コストの分散
もう1つの利点は、コストを分散できることです。
具体的な費用は発表されていませんが、
ロッキード・マーチン社の広報によれば、同社の見積り額はインフレ調整を行えば、
NASAのこれまでの探査予算の範囲内におさまるそうです。
ただ、予算の範囲内と言っても、新たなミッションを実施することになるので、
他のミッションを諦める必要が出てきます。
たとえばNASAが国際宇宙ステーションの維持のために支出している30億ドル。
これを2028年、できれば2024年までにゼロにする必要があります。
大規模な宇宙計画を2つ同時に進めることは出来ないということですね。
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