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2例目! 重力波を直接検出、今回もブラックホール同士の合体で発生

2016年06月19日 | 宇宙 space
アインシュタインが、
100年前に存在を予言しながら未確認だった現象“重力波”を、
世界で初めて検出したのが昨年の9月14日のことでした。

それに続く2例目の直接検出が、
レーザー干渉計型重力波検出器“LIGO”により成功していたようです。


データ分析技術で確認

アメリカのレーザー干渉型重力波検出器“LIGO”が、
2015年12月26日に重力波を検出していたそうです。

この重力波検出は、今年の2月に発表された2015年9月の現象に次ぐ、
史上2例目になる直接検出になります。

“LIGO”は、3000キロ以上離れたワシントン州ハンフォールドと、
ルイジアナ州リビングストンに設置されている双子の重力波検出器。

1例目の初検出の際は、データ中にはっきりとしたピークが見られました。

でも今回の重力波は、データ中に埋もれるような微かなもの…
最新のデータ分析技術を用いて、やっと重力波であることが確認されています。


見えない天体をとらえる

重力波をとらえることは、
その起源になる天体や重力の持つ特質についての情報を得る、
唯一の手段になります。

今回の現象では、
14億光年彼方で太陽質量の7.5倍と14.2倍のブラックホールが、
光速の半分ほどの速度で合体し、
その最後の瞬間に重力波が発生したと見られています。

合体後に出来たのは、太陽の20.8倍の質量を持つ自転するブラックホールで、
残りの太陽質量程度のエネルギーが重力波として放射されたんですねー

1例目に続いて検出できた今回の重力波もブラックホール同士の合体でした。

なので実際には、重力波を介してブラックホールの連星系という、
直接見えない天体を観測できたことになります。

今後、観測例が増えれば、
どのようにしてブラックホールが合体するのか?
といった疑問の答えが得られるかもしれません。

いま考えられている説は2つで、
  もともと連星であった天体のそれぞれがブラックホールになって合体する。
  ブラックホールが数多く存在する領域で、
    2つのブラックホールが出会って最終的に合体する。
というもの。

両シナリオは、かなり異なるものですが、
実際にどちらがより頻繁に起こっているのか気になりますね。


宇宙誕生の謎にも迫れる?

この秋には、“LIGO”をバックアップする全長3キロの重力波干渉計“Virgo”が、
イタリアのピサで稼動を始めます。

“Virgo”の感度は“LIGO”を超えるので、初期宇宙の観測にも期待できるんですねー

宇宙がたった38万歳程度の頃は、光さえも直進できず雲のように不透明でした。

でも重力波は、そのような空間さえも通り抜けることができたはずなので、
初期宇宙のさまざまな現象を調べる唯一のツールが重力波なんですねー


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