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火星は氷河期から脱しつつある?

2016年06月22日 | 火星の探査
「火星は現在、氷河期から脱しつつある」という研究結果が発表されました。

この研究の根拠となっている極地域のレーダー画像が、
火星の気候サイクルに関する新たな手がかりをもたらしてくれたそうです。

研究によると、
火星の氷は約37万年前に極地域に向けて後退を始めたそうです。

今回の成果は、10年間にわたり火星を周回している、
NASAの火星探査機“マーズ・リコネサンス・オービター”で収集された観測データに、
基づくものになります。


火星の氷河期

火星の氷河期については、過去のモデルを用いた研究で、
約40万年前に終了したことが分かっています。

今回の研究は、その結果を裏付けるものにもなるんですねー

また今回の研究は、
「火星上で起きる気候変化と、それが地球とどのように異なっているか」
に関する理解を深めるものにもなりそうです。

地球では氷河期に突入すると、極および高緯度の地域で数千年間、
気温が平均を下回る状況が続きます。

これが原因で氷河が中緯度地域に向かって成長することになります。

一方の火星では、自転軸の傾きが大きくなるので、
極が低緯度地域より気温が高くなり、変化が起きることになります。

その結果、火星の極冠の後退と、赤道方向へ水蒸気の蓄積が起きることで、
地上に氷ができ、中緯度地域に氷河が形成されることになります。
NASAの火星探査機“マーズ・リコネサンス・オービター”が撮影した火星の北極冠。


氷の量

現在では直近の氷河期が終わったので、再び両極で氷の蓄積が進行していて、
極冠全域での氷の厚さが320メートルに達していることも分かっています。

この数値は、
2003年と2007年にモデルを用いて算出された過去の予測値と一致し、
直近の火星の氷河期と、それ以降の極氷の再生の記録が、
実際に特定されたことを示唆しています。

なので、これらの測定値を利用すると、
「極地域とその他の地域との間に、どれくらいの量の水が移動しているのか」
に関してさらに理解を深めることができます。

このことは、火星の気候に関しても理解を向上させる助けになるんですねー

NASAは早ければ2030年代に火星の有人探査を計画していて、
水は火星探査の前哨基地にとって不可欠な資源になります。

そう水は、飲料や推進剤の生成に必要になるはずです。

将来の有人探査にとって、
火星の氷に関する研究は重要な意味を持つことになります。


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