アルマ望遠鏡の観測データの解析から、
100万歳になる若い星の周囲のガス円盤に、二重の溝が見つかりました。
すでに知られていたチリの分布に見られる溝と同じ位置に存在していて、
ここで惑星形成が起こっているという強い証拠になるんですねー
惑星形成には数千年はかかるとしてきた従来の説を、
再考する必要があるのかもしれません。
溝が出来た理由
2014年11月のこと、
アルマ望遠鏡の「視力2000」に相当する超高解像度で約450光年の彼方を観測。
すると、“おうし座HL星”を取り巻く円盤のチリの分布に、
複数の溝が存在することが分かります。
この部分には惑星が存在し、
惑星の重力でチリが集められて溝ができたという可能性が考えられます。
でも、溝形成のメカニズムとしては、
チリ粒子が衝突し合体成長したり破壊されたりするという大きさの変化や、
ガスが凍りつくことによるチリ粒子の生成という、
惑星以外の可能性もあります。
なので、本当に溝の部分で惑星形成が進んでいるのか?
これを明らかにするには、
質量比でチリの100倍も存在するガスの分布を調べることが必要になります。
それは、チリの特性の変化に起因するのであれば、
ガスの観測では溝が見えないからです。
ただ、ガスに含まれる分子から放たれる電波は、
チリから放たれる電波よりも弱いんですねー
アルマ望遠鏡の感度をもってしても、
分布を明らかにすることは簡単なことではありません。
そこで今回の研究では、チリの円盤を描き出した観測で同時に取得された、
HCO+(ホルミルイオン)分子が放つ電波の信号をアーカイブから取り出し、
新たな解析手法を用いて感度の問題の解決を試みています。
チリの円盤と同様にHCO+も軸対称な分布をしていると仮定し、
半径ごとに円盤を区切って円周方向に電波強度を足し合わせることで、
半径方向のガスの分布が高い検出感度と解像度で得られました。
10天文単位という解像度は、星周円盤の分子の観測としては、
これまでで最も高いもの。
※1天文単位は約1.5億キロで地球と太陽の平均距離からきている。
(太陽から海王星までが約30au。)
そしてガスの分布にも、
少なくとも2本の溝(半径はそれぞれ28天文単位と69天文単位)が存在すること、
これらがチリの分布に見られた溝と対応していることが示されました。
そう、惑星が今まさに作られつつあるという説を、指示する結果になったんですねー
とくに内側の溝では、ガスの密度が十分高くなっていて、
惑星系形成が進行している可能性が高いようです。
暗い溝と明るい環の明るさのコントラストや、溝の幅と理論モデルとの比較から、
ここには木星の0.8倍の質量を持つ惑星があると見積もられています。
外側の溝については、円盤内のガスとチリの摩擦によって、
物質が集積した結果である可能性も否定できませんが、
もし惑星の重力によるものだとすると、
考えられるのは木星の2.1倍の質量を持つ天体の存在。
これまでの研究では、
惑星の誕生には数千万年の時間が必要だと考えられています。
約100万歳という若い“おうし座HL星”の周囲に、
複数の惑星がすでに形成されているとすれば、
惑星形成に対する理解に大きな変更が迫られることになります。
これらの溝が実際に原始惑星によって作られたものであれば、
考えられていたよりもずっと早い段階で惑星が作られ始めていることになりますね。
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すでに知られていたチリの分布に見られる溝と同じ位置に存在していて、
ここで惑星形成が起こっているという強い証拠になるんですねー
惑星形成には数千年はかかるとしてきた従来の説を、
再考する必要があるのかもしれません。
溝が出来た理由
2014年11月のこと、
アルマ望遠鏡の「視力2000」に相当する超高解像度で約450光年の彼方を観測。
すると、“おうし座HL星”を取り巻く円盤のチリの分布に、
複数の溝が存在することが分かります。
![]() |
“おうし座HL星”の周囲のチリの分布。 |
この部分には惑星が存在し、
惑星の重力でチリが集められて溝ができたという可能性が考えられます。
でも、溝形成のメカニズムとしては、
チリ粒子が衝突し合体成長したり破壊されたりするという大きさの変化や、
ガスが凍りつくことによるチリ粒子の生成という、
惑星以外の可能性もあります。
なので、本当に溝の部分で惑星形成が進んでいるのか?
これを明らかにするには、
質量比でチリの100倍も存在するガスの分布を調べることが必要になります。
それは、チリの特性の変化に起因するのであれば、
ガスの観測では溝が見えないからです。
ただ、ガスに含まれる分子から放たれる電波は、
チリから放たれる電波よりも弱いんですねー
アルマ望遠鏡の感度をもってしても、
分布を明らかにすることは簡単なことではありません。
そこで今回の研究では、チリの円盤を描き出した観測で同時に取得された、
HCO+(ホルミルイオン)分子が放つ電波の信号をアーカイブから取り出し、
新たな解析手法を用いて感度の問題の解決を試みています。
チリの円盤と同様にHCO+も軸対称な分布をしていると仮定し、
半径ごとに円盤を区切って円周方向に電波強度を足し合わせることで、
半径方向のガスの分布が高い検出感度と解像度で得られました。
10天文単位という解像度は、星周円盤の分子の観測としては、
これまでで最も高いもの。
※1天文単位は約1.5億キロで地球と太陽の平均距離からきている。
(太陽から海王星までが約30au。)
そしてガスの分布にも、
少なくとも2本の溝(半径はそれぞれ28天文単位と69天文単位)が存在すること、
これらがチリの分布に見られた溝と対応していることが示されました。
そう、惑星が今まさに作られつつあるという説を、指示する結果になったんですねー
![]() |
“おうし座HL星”の周囲のHCO+ガス(青)とチリ(赤)の分布。 点線は円盤の隙間を示す。 |
とくに内側の溝では、ガスの密度が十分高くなっていて、
惑星系形成が進行している可能性が高いようです。
暗い溝と明るい環の明るさのコントラストや、溝の幅と理論モデルとの比較から、
ここには木星の0.8倍の質量を持つ惑星があると見積もられています。
外側の溝については、円盤内のガスとチリの摩擦によって、
物質が集積した結果である可能性も否定できませんが、
もし惑星の重力によるものだとすると、
考えられるのは木星の2.1倍の質量を持つ天体の存在。
これまでの研究では、
惑星の誕生には数千万年の時間が必要だと考えられています。
約100万歳という若い“おうし座HL星”の周囲に、
複数の惑星がすでに形成されているとすれば、
惑星形成に対する理解に大きな変更が迫られることになります。
これらの溝が実際に原始惑星によって作られたものであれば、
考えられていたよりもずっと早い段階で惑星が作られ始めていることになりますね。
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