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中国が世界初の量子通信衛星を打ち上げ

2016年08月28日 | 宇宙 space
素粒子物理学の力を利用した解読不可能な暗号を用いた通信システム。

このシステム構築を目指すため、中国が世界初の量子通信衛星を打ち上げました。

急速な進歩を遂げているこの技術の応用化には、
日米をはじめとする各国も取り組んでいます。

紀元前5世紀の学者にちなみ、“墨子”と名付けられたこの衛星は、
長距離向けの量子通信技術の利用可能性を検証する実験に活用されることになるようです。
量子通信衛星“墨子”は中国甘粛省の酒泉衛星発射センターから打ち上げられた


量子通信衛星“墨子”

国営新華社通信によると、“墨子”が打ち上げられたのは16日のこと。

ゴビ砂漠にある酒泉衛星発射センターから長征二号丁ロケットで打ち上げられ、
地球の北海から南極方向へと周回する太陽同期軌道への投入に成功しています。

“墨子”は衛星軌道上(宇宙空間))と地上の間で、
量子通信の技術実証を本格的に行う世界初の衛星になります。

運用は上海量子科学実験衛星管制センターが担当し、
北京興隆局、新疆南山局、青海徳令哈局、雲南麗江局など5か所の地上局との間で、
量子もつれ実験及び量子配送鍵実験を行う予定です。

また、チベット・ガリ地区にある地上局とは量子テレポーテーション実験を予定しています。
宇宙空間と地上局に量子実験


グローバル量子通信ネットワーク

量子暗号通信は、
その特性から現在の暗号化技術よりも、はるかに高いセキュリティ性を持ちます。

なので、アメリカやヨーロッパ、日本で研究実証試験が行われ、
一部はすでに実用化されています。

中国でも量子もつれの研究を2000年代から進め、
近年、特に進めているのが実用化に向けた取り組みです。

2012年から安徽省合肥市で量子通信網の試験運用、
北京市で金融システム用の量子通信の実証試験を開始しています。

こうした実験を元に、北京市から山東省済南市、合肥市を経由して上海市へとつながる、
全長2000キロに及ぶ量子暗号通信バックボーン“京滬幹線”の建設がスタート。

2014年に着工した“京滬幹線”が開通するのが今年中の予定で、
北京~上海間の金融システム向けに量子暗号通信を提供する計画です。

さらに中国の計画では、
2020年までにアジアとヨーロッパのネットワーク間で量子鍵配送を実現。

そして30年頃には20機の衛星を打ち上げ、
宇宙と地上で全世界をつなぐグローバル量子通信ネットワークを構築するそうですよ。


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