宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

矮小銀河が星間物質を持っていないのは?

2013年02月16日 | 宇宙 space
矮小銀河は、コンピュータシミュレーションでは大量に形成されるのですが、実際にはわずかしか観測されていません。

今回、国際研究チームのシミュレーションで、恒星の材料となる星間物質を引き剥がされる様子が再現されたんですねー
これにより、矮小銀河が輝かない理由が見えてきました。








網の目構造による
星間物質の引き剥がし






私たちの天の川銀河は、アンドロメダ座大銀河とともに局部銀河群と呼ばれる銀河のグループを成しています。
そして、局部銀河群はさらに大きな銀河のグループに属していると考えられているんですねー
こうした銀河の分布は、複雑な網の目構造(宇宙の大規模構造)として広がっています。

銀河の分布を再現するコンピュータシミュレーションでは、矮小銀河が多数形成されます。
でも、天の川銀河の周囲で実際に観測されている矮小銀河は、ほんのわずかなんですねー

この不思議な食い違いを解明しようと、
国際研究チームは、天の川銀河から数千万光年以内にある銀河の位置や、動きのデータを元にシミュレーションを行いました。

すると、網の目構造に対して、あまりに高速で動いているので、星間物質が引き剥がされている矮小銀河がいくつか見つかりました。
研究チームでは、これを「網の目構造による星間物質の引き剥がし」と表現しています。

星間物質がなければ、それを材料とした恒星も生れず、矮小銀河はくらいままなので、観測することが難しくなるんですよねー
なので、行方不明の多数の矮小銀河は、こうした暗すぎて観測できない銀河なのかもしれませんね。

太陽系からそう遠くない場所に地球型惑星があるかも

2013年02月15日 | 宇宙 space
NASAの系外惑星探査衛星“ケプラー”の観測データを解析したところ、赤色矮星というタイプの小型サイズの恒星から、ほどよく離れたところ(ハビタブルゾーン)にある地球型惑星が見つかりました。






赤色矮星の周りにある惑星
(イメージ図)




ハーバード・スミソニアン天体物理学センターの研究チームが、“ケプラー”の観測データを元に、天の川銀河にある赤色矮星64個の周囲にある95個の惑星候補について解析したんですねー

すると、そのほとんどが地球型とは言えないサイズや、地表温度でした。

でも、数百光年かなたに、地球の2倍以下のサイズの惑星候補が3つも見つかったんですねー

質量が小さく低温の赤色矮星は、地球がある天の川銀河では最もよく見つかる種類の恒星で、天の川銀河の恒星の4つに1つ程度が赤色矮星だとされています。

今回の結果から研究チームでは、わずか13光年の距離にも地球サイズで、かつ温度がちょうどよい惑星があるかもしれないと考えています。

赤色矮星のハビタブルゾーンは、太陽系に比べると中心の恒星から近くなります。
ただ、近いために恒星のフレア(天体表面の局所的な爆発)や、重力的相互作用などの影響を受けやすく、ハビタブル(居住可能)という定義が複雑な問題になるんですねー

まぁー 生命に適した場所かどうかを詳細に知るには、もう少し太陽系の近くで赤色矮星と地球型の惑星を見つける必要がありますねー

“ディープインパクト”がとらえたアイソン彗星

2013年02月14日 | 流星群/彗星を見よう
NASAの彗星探査機“ディープインパクト”が、太陽系内部に接近しつつあるアイソン彗星の姿をとらえました。

2005年1月に打ち上げられた“ディープインパクト”は、
同年の7月にテンペル彗星に子機を衝突させて、飛び散る物質や、その痕跡を観測しました。

そして、2010年11月にハートレー彗星の接近観測、2012年1月にはギャラッド彗星の撮像を行い、今回のアイソン彗星が4つ目の観測対象となるんですねー







“ディープインパクト”が
約8億キロ離れた位置からとらえた
アイソン彗星(赤い丸)





画像は1月17日~18日にかけて撮影されたもので、
太陽から、まだ遠くにあるのですが、すでに6万キロ以上の尾をのばしているんですねー
今年の11月29日の近日点通過(太陽最接近)に向けて、期待が高まっています。

アイソン彗星は、2012年9月21日にロシアの観測チームによって発見されています。
NASAの地球接近天体プログラム室の分析によれば、この彗星が太陽系内部まで入りこむのは今回が初めてなんですねー

“ディープインパクト”による観測データの初期分析からは、
アイソン彗星は、まだ太陽から7億6300万キロ、太陽から地球の距離の約5倍も離れています。
にも関わらず既に活発で、彗星核から6万4400キロ以上の尾が伸びていることが確認されました。

アイソン彗星のような、長周期彗星は太陽系の“オールトの雲”からやってくると考えられています。

“オールトの雲”は、太陽系を球状に取り囲むと考えられている巨大な構造で、
その外縁は、太陽系からもっとも近くにある恒星までの距離の3分の1に及ぶんですねー

外部からの重力の影響で、“オールトの雲”にある氷や岩石、有機物が元の軌道から弾かれ、彗星となって太陽系の中心を目指す旅をスタートさせます。

アイソン彗星が、地球に最も近づくのは2013年12月26日。
地球からは6400万キロ以上離れていて、危険が及ぶ心配はありません。

ただ、天文ファンにとっては、太陽に近づいていくにつれて彗星のコマ(頭のボンヤリした部分)と、尾が発達していく姿を観測する絶好の機会になるんですねー
なので、接近前に消失したり、分裂したりしないことを祈りながら、心待ちにしたいですね。

国際宇宙ステーションに到着 “プログレスM-18”

2013年02月13日 | 宇宙 space
ロシアの“プログレスM-18M”が、国際宇宙ステーション(ISS)へのドッキングに成功しました。

“プログレスM-18M”は、ドッキングの約6時間前にカザフスタン共和国のバイコヌール宇宙基地から打ち上げられ、軌道を4周した後にISSとランデブーしています。

ISSのズヴェズダ・モジュールでは、TORUの画面を通じて“プログレスM-18M”の接近を見守っていました。

TORUとは、ソユーズ宇宙船やプログレス宇宙船に搭載されているドッキング・システムなんですねー
画面を見ながら手動で、ソユーズやプログレスを操縦してドッキングさせることができます。

もともと、ソユーズとプログレスにはクルスと呼ばれる、もう1つのドッキング・システムも搭載されていて、こちらはドッキングまですべて全自動で行えます。

通常はクルスの方を使うのですが、万が一問題が起きた場合には、すぐにTORUに切り替えられるようになっているんですねー

今回の飛行では、クルスは問題なく動き、
日本時間の12日5時35分に、“プログレスM-18M”はISSのピアース・モジュールにドッキングしています。

これまで、プログレスの打ち上げからドッキングまでは約2日がかかっていたのですが、
“プログレスM-18M”は“M-16M”、“M-17M”に続き、わずか6時間でのドッキングに成功したんですねー

これは、打ち上げのタイミングと、軌道への投入精度を完璧にすることで成し遂げられたもので、
この3回の成功により、早ければ3月28日に予定されている有人の“ソユーズTMA-08M”の打ち上げで、
このショート・カットが使用されるようですよ。

1000万歳の恒星に豊富な惑星の材料が…

2013年02月12日 | 宇宙 space
惑星を作ることができる年齢を過ぎていると思われていた恒星の周囲に、惑星の材料となるガスが大量に存在する様子が、赤外線観測でとらえられまし た。

この恒星は、176光年かなたにある“うみへび座TW星”で、
周囲の円盤に、これまでの見積りよりも大量の物質が含まれていることが分かったんですねー






“うみへび座TM星”と
周囲の円盤
(イメージ図)




私たちの太陽系の惑星は、地球を含めて生れたばかりの太陽の周りをぐるぐる回りながら、取り囲んでいたチリとガスの円盤“原始惑星系円盤”の中か ら生れたと考えられています。

太陽以外の恒星でも、それは同様で、円盤は惑星を作り出したあと、恒星の成長とともにやがて消失していきます。

生れてから約1000万年の“うみへび座TW星”は、恒星としてはまだ若いのですが、
従来の理論では、新たに惑星を生み出すには遅すぎる年齢なんですねー

でも、今回のヨーロッパ宇宙機関の赤外線天文衛星“ハーシェル”の観測により、
木星50個分に相当する惑星の材料が残っていることが判明しまし た。

今回の観測では、円盤の質量を従来より正確に測ることができるようになっています。
従来の方法では、ガスに混じったわずかなチリを見ていたのですが、“ハーシェル”は遠赤外線で重水素を検出し、惑星の材料となる水素分子のガスを 直接見ることができるんですねー

“うみへび座TW星”の円盤が、実際に大規模な惑星系に成長していくかどうかは、まだ分かりません…
今後、どのようなシナリオをたどりうるか、その可能性を探ることはできます。

また、ひじょうに多様な惑星系が、次々と見つかる中、
形成途上の惑星系の質量を調べることは、太陽系がなぜ今あるような姿になったのかを知るヒントになるのかもしれませんね。