河瀬直美監督の『光』、拝見。
知人の視覚障害者田中雅子さんが出演しています。
「私たちは、画面を見ているというより、その場に入って、一緒に体験しているんです、体験したいんです」というようなことを彼女が仰っていますが(全盲の友人大河内直之先生もよく言っています)、
私自身、10年ほど前、なんの知識も経験もない中で音声ガイド制作を始めて2年ほど経った頃、このことにはっと気づいて一気に光が差した感覚になったのをよく覚えています。
”画面の説明をするのではない、映画の中の音やセリフとともに、その世界に入ってサラウンドで体験してもらうんだ”
目を閉じ、音や声だけを頼りに歩いてみたり、映像作品を鑑賞してみたりするように。
言葉の選択が早くなり、視覚障害者の方に「わかりやすい」「面白かった」そう言われることがとても多くなりました。
『光』は、音声ガイドのみならず、写真や映画によって、言葉によって、「表現する」とは何か、「伝える」「相手に伝わる」とは何かを、河瀬直美監督自らが問い直した作品という気がしました。
音声ガイドがより広く知られるきっかけにもなることと思います。