『バビロン』拝見。大作でした。
サイレント映画からトーキーに以降する時代の混沌と狂気、悲哀。
常にあの時代の作品と接している者として、他人事でない身近なドラマ。
時代を反映した、大胆で、もの凄い熱量をもった作品です。
テクノロジーの進化は止められないし、時代も流行も変わっていくもの。
その大波の頂点に押し上げられた者は、沈んで溺れないためにどうあればよかったのか。
サイレント期に絶頂だった自分の人気。
トーキーになって、声もセリフの演技もまるでダメで、観客に笑われ、終焉を悟る俳優(ブラット・ピット)。
野性味あふれる魅力でトップ女優にのし上がった女(マーゴット・ロビー)も、ドラッグとギャンブルで自分と一番大事な人を追い詰め、身を亡ぼす。
華やかな狂乱の表舞台の裏には、大きな深い闇があり、飲み込まれないほうが難しかったに違いない。
今では完全に非常識と思える差別、貞操観念、アンモラルな世界。
でも、そんな時代に作られた作品の数々は、滅びずにフィルムに留まり、今もその時代の熱と人々の想像力と、クレイジーで魅力的な人々を、スクリーンに蘇らせてくれる。
私は、スクリーンの彼らに命を吹き込む一つの装置だ。
彼らと一体になる瞬間が、とてつもなく、楽しい。
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