昨日のフジテレビで、安藤優子さん司会、レギュラーのゲストの桜井よしこによる「新報道プレミアA」で財団法人国際研修協力機構JITCO(ジツコ)による、外国人研修生・技能実習生の受入れによる開発途上国の人材育成に寄与するプログラムの問題点を報道していた。
[プログラムの背景]
日本側
・従来から国際協力機構(JICA(ジャイカ))による海外の技術者への技術協力のために日本での教育が行われてきた。
なお私もこれに長い間ボランティアとして参加してきた。
・中国などBrics など新興国の台頭に伴う日本企業の競争力の相対的低下したこと、
少子高齢化の進展や、日本人の若者の所謂3K(きつい、汚い、危険)な仕事への忌避などに伴う労働力不足が生じたこと、
日本政府の技術者以外の定住不許可の方針などの制約、
などの問題を解決するため考えられたのが、開発途上国の人材育成に寄与と言う名目の、外国人研修生・技能実習生の受入れで(低コスト)で労働力不足を補うプログラムが発足した。
送り出し側
技能の習得、短期的な仕事探し、割合に良い手当て(番組での例で言えば月2万円の収入が一気に6万円に増える)のメリットがある。
番組の一部の紹介(黒字は私の意見)
・熊本県のトマト農家
農家の妻をお母さんと呼び、収入の大部分を母国に送金すると言う中国人女性。
きちんと整備された彼女達の部屋
そこには研修制度の意義を超越して、外国人も、従業員も皆家族同然に扱う昔ながらの日本人の良さがそのままの形ででていた。
研修期間終了後は多分涙の別れがあり、二人は親日家として帰国し日本の良い所をアピールしてくれるなど容易に想像できる事だ。
そして、これこそ日本政府の望む所だ。
・大連市の研修員派遣を取り扱う業者の所に並ぶ希望者の長い列
研修中途で帰国した人に対する200万円の罰金を徴収する契約の紹介
・日本の或る駅で契約途中で帰国させないでくれと騒ぐ研修員
何故なら彼らの帰国後に前述の罰金の問題がのしかかってくるからだ。
渋々僅かの現金を渡す使用者
・研修員たちを支援するNPOの所に支援を要請してくる研修員
調査の結果判ったのは、残業代として時間当たり300円(割り増し賃金でない),従業員のトイレ時間まで克明に記録し、その長いものに罰金、研修員が逃げられない様にパスポートを使用者が保管
これはまるで昔のタコ部屋そのままだ。
これらをNPOが指摘すると使用者側から突然の研修員との契約破棄。
理由は経営が成り立たないと言う。
行きどころを失った研修員を一時的に保護するNPO。
NPOの人とを含めた研修員達と使用者の団体交渉でやっと和解金支払いに応じる使用者。
これらのトラブルを経験して帰国した彼らが日本のことを何と言うだろうか。
結果はこのプログラムが期待した親日家の増加と真反対の結果を産むだけだ。
・これらのトラブルについて中にはこういった問題もあると他人事のように言うJITCOの責任者
[私の意見]
桜井よし子さんも指摘していたが、このうさん臭い外国人研修生・技能実習生の受入れプログラム自体の建前と目的の背離が諸悪の根源だ。
しかも送り出し先にも個人企業、受け入れ側の日本にも数々の営利企業が介在してその問題をさらに悪化させている。
トラブル続出の研修制度
「JITCO」をキーワードで読売新聞を検索したところ、
・渡航費、研修生に渡さず 受け入れ…外国人研修生問題
・中国人実習生を不正派遣
・ベトナム研修生、「不当賃金」とトヨタ下請けを提訴
・研修外国人向け保険、天下りの財団・企業が契約独占
・未払い賃金求め中国人実習生が農家など提訴…熊本地裁
(この報道では前記のように同じ熊本県のトマト農家でもうまく行っている所と、訴えられている所もあるのがややこしいところだ。)
の5件ものトラブルを報道されている。
さらに問題が深刻なのは、
・同じ外国人に対する研修機関でもJICAは現地で開発途上国の現状に常に接しているのに、JITCOは国内の事務所しかなく、完全な天下り機関で浮世離れした運営をしていること、
・この種のトラブルが経団連の主要な地位を何時も占めているトヨタ、ジャスト・イン・タイム等で日本企業の運営のお手本とされているトヨタのお膝元で一番多く発生していること、
・トラブルの内容が使用者側の労働基準法違反、正規賃金の未払い、パスポートの取り上げなど人権に関する問題で日本人としての品性を問われても仕方がないのものが多い、
ことだ。
使用者へ
私は使用者にも多くの言い分があり、難しい問題もあると思うが、外国人の労働者使う以上、使用者である先に自分は日本人であることの自覚が先決だと思う。
日本人として恥ずかしくないやり方は何かを考えて貰いたい。
そうすれば前述のトマト農家の例のように、色々問題が有り過ぎるこの制度でも道を誤らず、多くの日本贔屓の人を増やすと言う制度の最終目的を達成できる筈だ。
経団連へ
経団連は労働者派遣法や残業代ゼロ法案の提案で国民からすっかり信用をなくしてしまった。
日本の業界をリードする地位にある経団連も難しい立場にあるのは判るが、折角の国の制度で今度は世界から日本の信用を落とす事のないように、参加の企業及びその下請けの指導の徹底を図って貰いたいものだ。
参照:カテゴリー → 企業経営
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