普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

航空機製造と言う壮大な夢を描こう

2009-04-04 10:16:13 | 企業経営

 ネツトを見ていると国産ジェット旅客機の開発を計画している三菱重工のPRの資料を見つけました。 
その概要は、
[航空機製造の意味するもの]
・日本にも「零戦」に代表されるように、日本の航空機技術が戦前は高度なレベルを保っていたし、戦後は「YS-11」製造のノウハウも持っている。
・製造技術としては国産防衛機の生産や、海外旅客機メーカーへの部品サプライヤーとして、ボディや翼など部品の生産や機体材料の開発力は優れており、それなしにはいまや世界の航空機はつくれないとまでいわれる
航空機製造は三菱重工といった一企業の事業にとどまらず、日本のこれからの産業界の動向を決定づける重要な意義をもっている。

・航空機は絶対に墜落できない乗り物だから、高い性能、精度、信頼性、安全性が必須。 そこで培われた技術は、自動車や電機業界など、他の産業に波及して行く。
 日本の製造業の品質管理のレベルは世界一です。
・航空機に必要な炭素繊維強化プラスチック材料や空力設計のシミュレーション技術、またパイロットの操縦指令を電気信号によってアクチュエーターに伝えるFly-by-Wire技術などは、すでに自動車など他の産業でも利用されている。今後重要になるのは、組み込みソフトウェアの開発・検証技術だ。
 自動車の組み込みソフトの開発は世界でトップを走っていますが、航空機産業と組めば更に強力なものになるでしょう。

・自動車もソフトウェア技術の集約といわれ、搭載される制御ソフトなどのコード行数は700万行にも達する。ところが航空機はその数倍、2000万行に達する。
 自動車で培われてきた制御ソフト開発技術はそのまま航空機に応用出来るでしょう。

・航空機を納期どおりに納め、安全に航行させるためには、こうした膨大なソフトウェアを効率よく開発・管理する技術が不可欠。そこでのノウハウは、必ず他の輸送機器やエレクトロニクス製品にも活かせるはず。
 日本の製造業の納期厳守の姿勢は世界でも評価されています。そして著者の田野倉さんの言う様に自動車製造と航空機製造で開発された技術は相互に応用出来ます。

 三菱重工グループをはじめとする日本の航空機産業が自前の民間ジェットを飛ばすようになれば、その技術は、深刻な不況下で呻吟する製造業やIT産業にとっても、大きな突破口になる。
 
以上三菱重工の航空機開発を支持しているを日経エレクトロニクス編集長の田野倉 保雄さんの意見ですが、まさに彼の指摘する通りだと思います。

 波及効果が高いのは、なにも材料やソフトウェア技術ばかりではない。その数、25万点ともいわれる部品を機体に詰め込む生産技術や、飛行機を安全に飛ばすための飛行試験やメンテナンス技術も重要だ。そこでは、自動車などとはまた違った、航空機づくりのための独自のノウハウが積み上げられている。
 製造関係の大企業だけでなく、中小企業の持つ部品の製造技術は世界トップの力を持っていますし、残念ながら航空機は外国製ですが、その優れたメンテナンス技術は日航機の墜落事故以来、メーカー側の責任による小さい事故はあっても、日本側の整備不良による事故らしい事故もないことで知られています。

[航空機製造の必要性]
・今、自動車産業は米国の金融・経済危機のために減産に苦しんでいます。
 そしてその部品を供給する下請け会社は倒産の危機に陥っているところもあるそうです。
 ・一方、インドなどではすでに30万以下の自動車を売り出していますし、低賃金を売り物にした中国による低価格の自動車の激しい追い上げもあるでしょうが、自動車製造は日本の輸出の中心であることはまだしばらく続くでしょう。
 それで他国に負けないための技術力のアップのためにも、航空機産業のノウハウの導入は有力な武器となるでしょう。
・トヨタを始めとする自動車産業は航空機製造に関する技術を持ち、部品製造の下請けの中小企業と言う広いすそ野を持っています。
 逆に言えばその航空機製造のためのその広いすそ野の活用ができます。
 前に書いた幾つかの条件を考えると、自動車製造会社の航空機産業との協力は勿論、同部門への進出も夢ではないと思います。
・最近全日空系の会社がブラジルから中型機を数十台の輸入の契約を結んだように、少なくとも欧米の大企業の大型機でなくて、中型、小型機の需要がまだあることを示しています。
 特に狭い国土の日本と、そして作り過ぎだと言われている飛行場の活用の面からも、日本のメーカーによる中小型機の開発に適しているよう気がします。

[航空機製造のこれから]
 問題点としては
・重工の資料でも指摘していますが、YS-11の撤退以来、航空機売り込みのノウハウと市場を失っていること
・風洞実験やソフトの開発などの基礎的な研究が不足していること
など幾つも問題が有りますが、戦争直後の米国による航空機製造の規制のなくなった今、乗り越えて行けない問題では無い様です。
 それより航空機開発と言う壮大な計画を日本が持つことは、今の停滞した日本に大きな希望を与え、沈滞した気分の一掃は全体の経済自体の活性化に繋がるかも知れません。
 今こそ、かっての経済発展時代のように、政官民一体となっての夢へ向かっての前進が期待できますし、その実績もあります。
 政府も苦しい財政の中でも、将来を見据えた資金投入を考えたらどうでしょうか。

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