私はまえまえから、日本の経済学者は解説や他の人の意見の批判はするが、日本経済をどうすれば良いと言う前向きの提案が素人の私の知る限りでは殆どないと書いてきました。
その中で私が気づいた前向きの提案をしているものを紹介します。
ダイアモンド・オンラインの早稲田大学ビジネススクールの遠藤功教授の意見です。
タイトル:新興国信仰が招いた志の低下・円高を乗り切るには世界が「あっ」と驚く商品をつくれ
概要:ユーロのソブリン危機に米国の景気後退懸念で、円高は収まりそうにない。目先の円高 日本企業が本当に考えるべき円高対策とは何か。実践的な戦略論で名高い早稲田大学ビジネススクールの遠藤功教授に、日本企業が目指すべき方向について聞いた。遠藤教授は、日本企業が我も我もと新興国だけを目指している結果、安く作ることばかりに目が向き、企業の志が低くなっている。本当の円高対策は、世界が「あっ」と驚くような、新しい価値を生みだすことにある、と指摘する。 (紹介文の抜粋)
以下はサブタイトルと提案部分の概要です。 (括弧内は私の意見です。)
・今回の急激な円高局面ではパニックには陥っていない
・わくわく感、どきどき感がある新しい価値を生み出せていない
a.どこで作るかでなくて何を作るか
円高にあって、日本でつくるか海外で作るなど「どこで」作るのかとでなくてより本質的な課題は「何を」作るかだ。
b.何を作るか
日本企業は、やはり世界がわくわくするような、魅力的な商品やサービスを、生み出していかなければならないし、日本企業はそれが出来る。
付加価値の高くないものを作ろうとするから、日本国内で作るのが無理になる。
c.わくわくする商品を産み出せる国は限られている
産業競争力という観点からみると、今、世界的にみて競争力があるのは、少なくともモノづくりでいえば、日本、ドイツ、韓国、台湾だけだ。 (韓国、台湾は産業競争力はあるのでしょうが、まだこれといったわくわく製品を出しているのを聞いたことがないし、今後も出せるかどうか判りません。)
米国はほぼアップルしかない。アップルは潤っているけども、アメリカは衰退する。これが「アップル化現象」だ。ボーイングがあるといっても、その部材の多くは日本製だ。 (と著者は書いていますが、今までの米国との比較の問題で、その底力は著者のように軽視は出来ないと思います。)
d.日本の例:豊田佐吉翁の自動織機、ソニーのウォークマン、TOTOのウォシュレット、ヤマト宅急便、最近ではユニクロのヒートテック、トヨタのプリウスなど、みんなが「あっ」と言うようなものを生みだしてきている。 (ソニーはユニークな製品を出すので有名でしたが最近はすっかり普通の会社になってしまいました。)
・新興国に目が向き過ぎて同質的な競争に陥っている
気になるのは、我も我もとみんなが新興国に目が向いて、競争が非常に同質的になっていることだ。新興国を狙うから、みんな似たようなものを、安く作らなくてはいけないということになって、いかに差別化するか、いかにイノベーティブなものを作るかという意識が、非常に薄くなってしまっている。
・ユニクロがニューヨーク5番街に旗艦店を出した感性と心意気
[私の意見]
確かに著者が言うように最近テレビに紹介される優良会社と言うのは、自社独自の製品を開発し、そのお蔭で全員が正社員、終身雇用、改善活動など、かって日本が得意として経営方法を取り入れ、地域に根付いた経営をしています。
ただ問題はその製品は所謂ニッチの隙間製品です。
例:株式会社堀場製作所 (1185.56億円)、日本電産株式会社 (6885.30億円)、ノーベル賞の田中さんを産んだ株式会社 島津製作所 (2527.07億円)(記憶のあるものを挙げただけですが、たまたま京都府に固まっていますが何らかの原因があるのでしょう)
ですから経営規模も小さく、日本経済に大きな影響を与えることが出来ません。
逆の例ではパナソニックがテレビ事業からの撤退で1万数千人のリストラ発表など大企業はそれだけの大きな影響を与えています。
もう一つの問題は著者の言うあっと言う製品や商品を作れと言うのは言うは易いうのですが、どの会社も作ろうと必死になっているのが出来ないで困っているのです。
著者はそのような製品をいかに作り出すかまで説明しなければ、ダルマの本体を作って眼をいれないようなものです。
私は従来の方式で言えば、正規、非正規を問わず社員からどんな思いつきでも良いから提案させる→その提案を実現するための技術陣を揃える、会社に忠誠心をもたせる→そのためには非正規社員などの差別を無くさせる→その為に何とかして会社の利益を上げる→そのために合理化は勿論、優れた製品を作り出す→と言う良い方向の循環をさせる必要があると思います。
詰まり現在の悪循環をなんとかして逆転させることです。
著者はこの難しい問題にも触れるべきです。
それと著者も判っていて書かなかったと思いますが、そして私が韓国、台湾が開発で日本を追いつけないと思った理由は、大学の企業へのサポート体制の問題があります。
私は結局は著者の言うように海外進出や、非正規社員の採用など姑息な手段ばかりに頼らずに、日本の企業は分かりきったことを地道に進める、そして政府はその活動を支援するしか、今のグローバル化の中を生き抜く道しかないような気がするのですが。
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新自由主義、構造改革の行き過ぎなどという実業を知らないマスコミや実業を知らない右翼学者の言葉に騙されてはいけないと思います。
雇用が自由なアメリカでも、非正規が社内で2割でも超えようものなら、まともな製造業はやっていけません。まさに製造業の命の品質や従業員の意識は保てません。企業は人なり、これは万国共通の価値観です(先進国では)。
異常に非正規を増やさないといけない元凶は、まさに雇用 の硬直にあります。年功序列、定年、定昇、業績に関係なく払われるボーナスなど、これだけ正規に待遇すれば、不景気になれば、それ以外のところにしわ寄せをしているだけなんです。
20年低迷し、まだ戦後の成長期(いまの韓国、中国、タイと同じ新興国の成長)の日本企業の成功の幻影を追い求める意識そのものがひたすら、変化を拒む日本の不振の原因と思わない限り、日本が蘇ることはないでしょう。
日本人というだけでは、何も生まれないのです。
職場に民主主義はない。経済活動に民主主義はない。民主主義的な経営では会社が保たない。
経済活動の持つそのような特質やその暴走に歯止めをかけるのが、経済とは別の論理で成り立っているはずの、政治であり政治家だと思うが、冷戦後は政治が経済と同調してしまい(或いは侵蝕され)、歯止めが効かなくなってしまっている。この傾向が今後も続き、深化してしまうと、民主主義は死滅する。人は疲弊する。結局経済も行き詰まる。
戦争のような強烈な悲劇を経てやっとこのことに気づき反省する。が、それでは遅い。あまりにもバカだ。
現場で働く者は、現場のことは知っていても全体が見えていない。
戦争体験者は、個人の戦争体験で戦争の全体像を歪めてしまう。
ポジショントークの言い合いにはうんざりだ。
経済学者ではなく経済史学者の話が聞きたい。歴史を今後に役立てたい。
アッと驚いたりわくわく感がある製品は日本が最も多く作り出しています。
日本に無いのはそれを他にとられないようにする対策や、それをいかに長く保っていくかという戦略です。
何しろ日本人というのは、全員が性善説を信じるお人よしですから。
それでも最近は、少しは企業はやっていると思いますが、政府はスパイ防止法一つ作りませんから。
村田春樹氏は韓国について、日本で一番お詳しい方と思っています。
http://www.youtube.com/watch?v=dh9G97HTD64
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